花追い放浪記

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ミドリネナシカズラ コウの花図鑑

2021-09-15 | コウの花図鑑

9月に見つけた野草の花(大分県)

 

ミドリネナシカズラ(緑根無葛)

 Cuscuta japonica Choisy f. viridicaulis (Honda) Sugim.

 

ヒルガオ科 ネナシカズラ属
花期 : 8~10月
生育地 : 林縁、路傍、畑地、草地、川岸
分布 : 日本全土
RDB指定 : 環境省カテゴリ:なし 大分県:なし

 

私はずいぶん前からマメダオシという絶滅危惧種を探しているのだが、未だに発見できていない
先日ももしかしたらマメダオシ? と思う植物を見かけたが、よく見るとミドリネナシカズラだったのである
ミドリネナシカズラ(ネナシカズラ)は珍しくもない植物なのだが、その生態は興味深いものがある

 

ネナシカズラは光合成能力を退化させ、他の植物に寄生し栄養を得る寄生植物である
葉緑素を持たず、光合成を行わないと解説している資料もあるが、それならばこのミドリネナシカズラの緑色は何に由来するのだろうか?
疑問に思い調べると、ネナシカズラの葉緑素の有無を実験により確認した資料を見つけ、少ないながらそれを保有しているという結果が示されていた
これは勝手な推測だが、ミドリネナシカズラはネナシカズラの色素欠損によりクロロフィルの色素が顕在化したものでは?

 

ネナシカズラ属の中には、光合成能力を保有しているものがあり、その能力は進化の過程で多様化した
ネナシカズラ自体は葉緑素を保有している事が分かったが、光合成能力を有しているのかどうかはわからない
ネナシカズラはどんな植物にも寄生できるのかというと、そうではないようだが、宿主特異性は低いとの事
発芽すると、素早くツルを伸ばし宿主を探すが、発芽後数日以内に宿主から栄養を得られなければ枯死してしまう

 

種子が発芽すると、回旋転頭運動(首を振るような動き)をしながらツルを伸ばして宿主を探し、宿主に接触すると締め付けるように巻き付く
そして、茎から寄生根を出し、宿主の体内へ侵入、宿主と自己の維管束を連結させ、宿主から栄養や水分を摂取する
ネナシカズラは根も葉もないので、自己で栄養を調達する事がほとんど(あるいは全く)できないのだ
ネナシカズラ属の植物は、すばやく宿主を探すため、宿主植物から発散される揮発成分や青色光に反応して、宿主を選別したり、回旋幅を大きくしたりするようだ

 

ネナシカズラが宿主から養分を吸い取る力は強く、宿主の成長を阻害するだけでなく、時には宿主を枯死させる事もある
宿主から吸収するのは水や栄養だけでなく、RNAやタンパク質も取り込んでいるようだ
ネナシカズラ属が他の植物からDNAを取り込み、自己のゲノムに加えているとの報告がある
これは遺伝子の水平伝播と言われるそうで、生物の進化に影響を与えるものである

寄生植物や菌従属栄養植物の生態を調べると興味深い事が多くて面白い

 

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