7月に見つけた野草の花
クモラン(蜘蛛蘭)
Taeniophyllum glandulosum Blume
ラン科 クモラン属
花 期 6~7月
生育地 杉や梅などの樹木に着生
分 布 福島県以西
RL指定 なし
撮影 7月 佐賀県
クモランは、福島県以西の主に太平洋側に自生する着生ランで、空中湿度が高い場所でスギやウメ等の樹木に着生するが、一度着生床から剥離してしまうと、再活着は難しいとされる
葉は退化しているが、根の皮層細胞に光合成色素を持ち、比較的高い光合成能力を有する
気孔を持たないが、特殊な通気組織を持ち、乾燥に有利なCAM型光合成を行っている
着生床である樹皮等には、共生菌の存在が必要で、種子の発芽率は、保水された環境でより高く、コケを保水材として利用できるような環境で、より良好に生育すると推測される
カヤランの根に播種した種子の発芽が良好であった事から、共生菌はカヤランと共通である可能性がある
温帯の地生ランは、種子の休眠性が強く、実生栽培は難しい
一方、着生ランの種子は、休眠せず、高い発芽率を示すのだが、クモランによる試験においても、共生菌の存在下で、高い発芽率を示し、また幼苗の生育も良好であった
よって、クモランは共生菌の影響を強く受ける事が明らかとなり、その共生菌はケラトバシディウム属の菌と同定された
参考資料
クモラン(Taeniophyllum aphyllum (Makino) Makino)の菌根共生(谷亀 高広, 大和 政秀, 岩瀬 剛二)
Aerial roots of the leafless epiphytic orchid Taeniophyllum are specialized for performing crassulacean acid metabolism photosynthesis(Kenji Suetsugu, Ryohei Sugita, Akiko Yoshihara, Hidehito Okada, Kae Akita, Noriko Nagata, Keitaro Tanoi, Koichi Kobayashi)
ラン科着生種クモラン(TaeniophyllumglandulosumBlume)を用いた野外播種試験と栽培条件下での共生菌を活用した播種試験の検討(蘭光健人,山下由美,遊川知久,辻田有紀)
初版 2015年7月10日
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