コウの花図鑑番外編 地衣類
イオウゴケ(硫黄苔)
Cladonia vulcani Savicz.
ハナゴケ科 ハナゴケ属
花 期 : -
生育地 : 火山地帯の硫化水素噴出口付近
分 布 : 北海道~九州
RL指定 : なし
撮影 伽藍岳(大分県由布市)
硫黄の臭いが立ち込める伽藍岳で、不思議な生物らしきものを発見した
帰宅後調べてみると、火山帯で生育する地衣類のイオウゴケのようだった
イオウゴケとアカミゴケは、外見で区別するのは難しいようだが、生息環境からイオウゴケだと思われる
地衣類は、菌類と藻類の二者共生系と定義されてきたが、三者共生系として見直され始めている
イオウゴケは有毒な硫化水素を含む火山ガス噴出帯にだけ生息する特異な地衣類で、植物が枯死するような環境において地面を覆うようにマット状の群落を形成し、硫化水素のエネルギーを使って生育していると考えられている
この環境への適応には、第三の共生パートナーが関わっていると推測されていたが、近年その共生細菌が発見された
硫黄酸化細菌と水生真核生物の化学合成的共生は、硫化物が豊富な深海の熱水噴出孔等で発見されているが、陸生真核生物においては、そのような化学的共生は報告されていなかった
火山地衣類のイオウゴケは、硫化水素をエネルギー源として使用する可能性がある単一の細菌種と関係しており、日本各地からサンプリングした個体のすべてから、この細菌が検出された
この細菌のゲノムには、硫黄の酸化に関与する遺伝子が含まれており、真菌、藻類、細菌の三者共生システムにより極限環境への適応を可能にしたものと思われる
引用)
The third symbiotic partner of the volcano lichen Cladonia vulcani Savicz drove adaptation to an extreme environment
Mieko Kono , Yohey Terai
初版 2023年8月25日
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