7月に見つけた野草の花
イヌタヌキモ(犬狸藻)
Utricularia australis R.Br.
タヌキモ科 タヌキモ属
花 期 : 7~9月
生育地 : 湖沼、ため池、水田
分 布 : 日本全土
RL指定 : 環境省準絶滅危惧種
撮影 7~9月 佐賀県 大分県
イヌタヌキモは根がなく、水中を漂う浮遊植物で、捕虫嚢によりミジンコ等を捕らえて養分としている
捕虫嚢は、つぶれた状態で閉じており、入口の感覚毛に微生物が触れると、一瞬にして開口して水もろとも微生物は内部に吸い込まれる仕掛けなのだ
形態によるタヌキモとイヌタヌキモの区別は難しいとされ、酵素多型分析による識別等も提唱されている
イヌタヌキモはタヌキモの品種として扱われた事もあったが、どうやらイヌタヌキモとオオタヌキモの雑種がタヌキモの起源であり、イヌタヌキモの方が元祖タヌキモであるようなのだ
タヌキモは雑種起源で不稔なのだが、集団間の遺伝子型が多様であるとの事
繁殖は、切れ藻や殖芽による栄養繁殖で、その分布拡大には水鳥による長距離散布が関係していると推測される
一方イヌタヌキモは、有性生殖能力を有しているが、集団内の遺伝子多様性の拡大にはほとんど寄与しないそうだ
なお、九州はタヌキモの分布に含まれないとの資料が多数みられるが、九州内においても、稀に生育が確認されているようだ
参考資料)
水生植物タヌキモ類における雑種形成と集団の維持機構
亀山慶晃 外山雅寛 大原雅
浮遊植物タヌキモ類の繁殖様式と集団維持
亀山慶晃 大原雅
初版 2012年9月19日
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