to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

神様、もう少しだけ

2009-04-10 00:10:42 | TV dorama
1998年夏クールのフジテレビ
プロデューサー 小岩井宏悦
脚本 浅野妙子
演出 武内英樹、田島大輔、岩本仁志、西浦匡規
音楽 S.E.N.S
【主題歌】『I for you』 LUNA SEA
【挿入歌】『In the Sky』、『きらら』 工藤静香
出演 金城武/深田恭子/加藤晴彦/仲間由紀恵/宮沢りえ/矢沢心/東根作寿英/竹下宏太郎/益岡徹/平田満/田中好子

「下妻物語」が恭子ちゃんの映画の代表作なら
ドラマでの代表作は「神様、もう少しだけ」になるのではないかと今でも思う。

第18回ドラマアカデミー賞で、最優秀作品賞と監督賞、主演男優賞、助演女優賞、脚本賞、キャスティング賞、タイトル賞、主題歌賞などを総なめし、その年最高の話題作となった。

今でこそドラマレヴューアーの間で「深キョンは演技力云々よりそのキャラクターで許せちゃう」などとささやかれて、
温かい記事を目にすることが多いけれど、
デビュー間もない恭子ちゃんの熱演と、エキゾチックな金城さんの魅力があってこそ、
当時社会問題化していた「エイズ」「援助交際」という重いテーマのドラマでありながら
幅広い年代層の心を掴んだのは間違いないと思う

第1回「命を懸けた恋が今始まる…エイズウィルス感染の告知」
高校2年の叶野真生(深田恭子)は、憧れの音楽プロデューサー、啓吾(金城武)のコンサートチケットを無くし、その代金を稼ぐ為に初めて援交(ドラマ中では売り)をするが
その相手にHIVウィルスを感染させられてしまう。
そうとは知らない真生は、コンサートの帰りに偶然啓吾と出会い一晩を供に過ごし
お互いに惹かれあうが・・・


冒頭、暗いビルの屋上に立ち、地上に展開されている「生」を無表情に見下ろす
孤独な啓吾のナレーションで、この作品のテーマが語られる。
  人はみな生まれた時から死にかかっている
  生と死はビルとビルの間のほんの一跨ぎ
 遠い来世で俺を待っている恋人に聞いてみたい
  お前は今幸せか、、、
  それとも、生きたがっているのか、、、
 幸福でも不幸でもない―
  生きている振りをしているとき
  本当に生きていない人間は、いつかその報いを受ける日が来る

恋人を失った心の孔を埋められないまま、自分の人生の傍観者であった啓吾は
雨の中、「I LOVE KEIGO」という横断幕を掲げる真生を拾う。

「俺は2千人の中からキミを選んだ」という啓吾の中に、孤独を感じ取る真生もまた、
周りの女子高生について行けない、虚しさと、行き場の無い自分から抜け出したい想いを抱えていた。
一夜限りの、真生にとっては生涯の宝物で終わるはずの出来事だった。

啓吾との夜以来、真生は迷いを振り切り過ごしていたある日、
ワールドツアーを終えた啓吾から連絡があり、有頂天になるその時、事故はおき―

啓吾の傍観者的人生は終わりを告げ、
真生の人生の時計は音を立てて動き始める――。

           

この第1回で特筆すべきは、身体だけは売らずにチケット代を稼ぎたいという真生が、
最終的に身体を売ることになるその決め手が、テレクラのその男もまた自分と同じ、
日常の閉塞感から抜け出したい」という願望をもつ青年だったから、共感めいた心理が働く。
しかし、この事が原因で、彼女には今までの退廃的日常とは無縁の人生が展開されていくのだ。

よく、悲劇の出会いをした恋人たちを、「こんな出逢いでなければ」という目で見てしまうが、
出会いは突然であっても、その前に幾つものちいさな選択の場面があり、
素晴らしい出会いも、悲しい出会いも、その選択の延長線上に訪れる。
ここで真生は、あの日人生最大の決心を持ってウリをしたことで、「ウィルスに感染し」
「コンサートに行き」
生きてる振りをして虚無感を抱えた「啓吾と出逢う」。

そして、彼女がHIVに感染していたことで、その出会いは「運命」になった―のだと思う。。。
           

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このドラマを観るまで深田恭子ちゃんを全く知りませんでした。
(コレ以前の出演ドラマ「FiVE」はビデオで、「それが答えだ!」はその後某サイトで観ました)
私の中では特別な思い入れのある作品。
思い入れが強すぎてなかなか記事に出来ませんでしたが、
この春期待していた「淀殿」登場もかなり後になるようなので(ただの推測ですが)
少しづつストーリーをなぞるだけになるかも知れないですが、
人生をただ素通りしてきた女子高生真生と、
才能に恵まれながらも、恋人の死に責任を感じ、生きる意味を見失っていた啓吾の
真に生きるための戦いを綴っていこうと思います