to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

スラムドッグ$ミリオネア

2009-04-20 19:18:16 | the cinema (サ行)
運じゃなく、運命だった。
製作年度 2008年
製作国 イギリス/アメリカ
上映時間 120分 映倫 PG-12
原作 ヴィカス・スワラップ 『ぼくと1ルピーの神様』(ランダムハウス講談社刊)
監督 ダニー・ボイル
音楽 A・R・ラーマン
出演 デヴ・パテル/マドゥル・ミッタル/フリーダ・ピント/アニル・カプール/イルファン・カーン/アーユッシュ・マヘーシュ・ケーデカール/アズルディン・モハメド・イスマイル/ルビーナ・アリ
テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、賞金を獲得したジャマール(デヴ・パテル)だったが、インドのスラム街で育った少年が正解を知るはずがないと不正を疑われ逮捕される。ジャマールになぜこれほどの知識があり、この番組に出演するに至ったのか。警察の尋問によって、真実が明らかになっていく。(シネマトゥデイ)

アカデミー賞8部門を受賞した話題の作品、観て来ました~。
予告からなんとなく抱いていた予感通りの展開でしたが、面白かったです

レオの「ザ・ビーチ」もキリアン・マーフィー、真田広之の「サンシャイン2057」も未見だし、
「28週後...」もパスしてきて、こちらの監督作品は初めてでしたが、多分あるだろうと予感していたイタイシーンもそれほどなかったし、大丈夫でした。

いかにも純朴そうなジャマールが、インドの国民的人気番組“クイズ$ミリオネア”で正解を重ねていき、
最後の1問となったところで、あらぬ嫌疑をかけられ、
執拗に自白をせまる取調べで、あきらかになっていく答え
なぜ、このクイズミリオネアだったのか?
どういう動機と経緯があったのか―、
彼はなぜ答えられたのか――。
スラムに育った少年の過去に全ての答えがある。

幼年期、少年期、青年期と、
文字通り、ムンバイのスラムの雑然として生活臭ただよう暮らしの中で、
既に運命の問いかけは始まっていて、
愛と笑いの中に確かにあった幸せが奪われるときにも、
肩寄せ合って兄弟で生き抜いてきたその時間の中にも、運命のキーワードは潜んでいた。

この幼年期を演じる3人の子供がいい。
ちょっとのんびりで、一途な弟と、はしっこくて一端の大人のような狡さも持った兄、いつも従順にそばにいる可愛いラティカ。
見た目はどこからみてもインドの子、のこの3人が列車に飛び乗るシーンは、
なぜか古い香港映画を観ているようだった。
そんなシーンを見たとか言うのではないが、、幼い兄弟が心を通わせた少女と
人生のまだ始まりの時に離れていく・・・どこか懐かしい感じのするシーンだった。

ストーリー的にも、一人の女の子を挟んで、袂を分かつ兄弟。
一方は堅気で、一方は裏社会というのも、そんな感じ。
とくに新しさも感じないが、しつこいまでにラティカを求めるあきらめない姿はやはり応援したくなる。

経済の急成長を遂げたムンバイの、格差を見せ付けながら、
たくましく生きてきたからこそのその運命の時までを、疾走感あるカメラワークで引き付けてあっという間の2時間。

ラストは多分好き嫌いの分かれるところ。
25年前の深作欣二監督の「蒲田行進曲」を思い出してしまったが、あの作品のそれとは全く違う。
へぇ~!そうきたか~という遣られた感はない。
作品そのものには意味のないパフォーマンスだったので、
"なかなかいい"人もいるかも知れないし"やめたほうがいい"となるか"どっちでもいい"か(笑)

それにしてもこれがアカデミー作品賞というのは、ちょっと正直不思議な感じもしたなぁ~。