to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

僕と妻の1778の物語

2011-01-21 21:56:31 | the cinema (ハ行)
製作年度 2010年
上映時間 139分
原作 眉村卓
脚本 半澤律子
音楽 本間勇輔
監督 星護
出演 草なぎ剛/竹内結子/谷原章介/ 吉瀬美智子/陰山泰/小日向文世/浅野和之/大杉漣

TVドラマ「僕の生きる道」「僕と彼女と彼女の生きる道」「僕の歩く道」を手掛けたスタッフが、再び草なぎ剛を主演に迎え、実話から生まれた感動の物語を映画化したヒューマン・ストーリー。
SF作家の朔太郎と銀行員の妻節子は、高校1年の夏休みに付き合い始めてからずっと一緒だった。だがある日、腹痛を訴えた節子が病院に入院し、彼女の体が大腸ガンに冒されていることが判明。医師(大杉漣)に余命1年と宣告された朔太郎は最愛の妻にだけ向けて、毎日原稿用紙3枚以上の短編小説を書くことにする。

これは・・多分予告は観たような気がします。が、
昨年後半、特に12月は劇場鑑賞はほとんどチャンスがなかったので実を云うとメインの2人が「黄泉がえり」のふたりで、難病モノというぐらいの情報しか残っていませんでした。

で、観ていると、キャストも谷原さん浅野和之さん大杉漣さん小日向さん「僕生き」、
小日向さん大杉漣さん浅野和之さんの3人は「僕カノ」と「僕アル」にも揃って出演されていましたよね。
で、これらは剛クン主演のドラマ「僕シリーズ3部作」と呼ばれている訳ですが、、、
この映画のタイトルで気づけよってカンジですよねσ(^_^;)キャスティングもヒロインを除けば全く同じ
シリーズ中の「僕生き」を彷彿とさせるシーンが見受けられたのは、帰ってから調べてみたら演出は同じ星護さんだから当然といえば当然なのですね。
ちなみに、シリーズは全部観ましたが、私が一番好きだったのは「僕カノ」で、演出のメインは平野眞さんと三宅喜重さんでした。
そして、ドラマの3本の脚本は全て橋部敦子さん(「フリーター、家を買う。」など)でした。

前置きが長くなりましたが、これもステキなお話であるのに、上に書いたような作品が脳裏に甦り、
柳の下の泥鰌(ドジョウ)を狙った作品という印象が残ってしまいました。

おそらくSF作家・朔太郎のショート・ショートは実際の1778篇の中から選ばれたものと推察しますが、
3割方はチョット笑える、或いはチョット愉しい。
そして何れも小説のタイトルがキャッチーで良かったです。

空想がちで不器用な朔太郎の、医師の「笑えば免疫力があがる」という言葉に賭けた1日1編のショート・ストーリーは、
一般観客向きでなくてもイイのかも知れない。彼の理解者であった節子が楽しめれば・・、それが目的なのだから。
純粋にSF小説を愛する夫婦の仲の良さが心地いい始まり―。
でも、びっしり積まれた原稿用紙・・・・・・。
舞台となる時代を設定されていたら、ケイタイもパソコンも登場しない、
ファックスと万年筆の世界に、もっと納得したのかも。
個人的には、節子が自分の母親に向かって本音を口にするところでうるっとしました。が、、、、

「僕生き」での思い出の木→「僕妻」サクと節子も木を求めて旅をする
「僕生き」コーラスの生徒→「僕妻」病院の患者と関係者、のシーンにはやっぱり気持ちが引いたし、
これは監督自身が原作に感動し実現した映画なのに、ヒットした自身の作品と同じようなシーンを挿入・・って、
ファンは喜ぶものなんだろうか??
それに、後半は引っ張りすぎもあってやっぱり長いと感じてしまったし、
余計な演出で私的には最後盛り下がってしまった、ちょっと残念な作品でした。

感動ものと謳っているわけですが、特に泣かせよう的演出も無く、前半は結構楽しめました。
穏やかで思いやりのある夫婦の姿は観ていてとても気持ちの良いもので、
奇跡を願って積み重ねていく原稿の高さは、サクの(眉村氏の)愛情の軌跡。
これが実話だということが先ず素晴しい世界だと思えます。

特にシリーズの中でも、「僕生き」がお好きな方とか、
出演者のファンは満足されるかも知れませんね。