to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

イップ・マン 序章

2011-03-10 19:55:04 | the cinema (ア行)
          
原題 葉問:Ip Man
制作年度 2008年
制作国 香港
プロデューサー レイモンド・ウォン
アクション監督 サモ・ハン・キンポー
監督 ウィルソン・イップ
音楽 川井憲次
美術 麥国強
出演 ドニー・イェン/サイモン・ヤム/池内博之/ホァン・シャオミン/リン・ホン/ゴードン・ラム/渋谷天馬

詠春拳の達人でブルース・リーの師匠、イップ・マン(葉問)の生涯を描く。その第1章に当たる。
1930年代の中国広東省佛山。家族と共に平穏な日々を送る詠春拳の達人、イップ・マン。その実力と人格で人々の尊敬を集める一方、彼を倒して名を挙げようとする武術家たちも多く、心ならずも手合わせをしては、いずれも一ひねりにしてしまうのだった。ところが折しも日中戦争が勃発、佛山を占領した日本軍によって家屋を奪われ、窮乏を強いられる。やがて空手の名手でもある日本軍将校・三浦がイップ・マンの実力に目を付け、日本兵たちに中国武術を教えるよう迫るのだが…。

運良くこの「序章」~「葉問2」という順序でご覧になれた方はどれだけいるのでしょうか?
例に漏れず私も「葉問2」を観てから、この序章に池内君が出ていることを知り、
しかも彼には珍しい「悪役」「アクション」ということで、期待と不安を抱えながらの鑑賞でした。


舞台が1990年代の中国ということで、日中戦争の日本軍が敵としてして描かれていますが、
これを伝記ものというにはちょっと無理があり、
純粋にカンフー・アクション映画として観れば、日本人としても楽しめる作品になっていたと思います。

ストーリーとしては、全く、先に公開された「葉門 2」と同じだと言えます。
単に悪役が香港を統治するイギリス人から、中国を支配する日本軍になっただけ。
ボクシングvs中国武術が、今回、空手vs中国武術(詠春拳)。
魚河岸のシーンから綿工場へと乱闘シーンが変わっても、基本パターンはまるで同じなんです。

見事に同じストーリーをなぞりながら、それでも引き入れられるのは、
やはり、武道家としてのイップが、人徳のある素敵な男性として、
富める時も貧しい中でも、邪心のない強い男としてのスタイルを貫いていたからでしょう!

見所は、序盤に展開される北方からやって来た道場破りの金(ルイス・ファン)が、一旗あげようと
佛山の武術家に次々と挑み、蹴散らし、イップ・マン邸で闘うところ。
あとは終盤のイップ・マンと空手の1対10のシーンと、
池内君演じる日本軍将校三浦との対決シーンでしょうか。

ただ、、、ここで日本軍と中国武術家たちの通訳を、かつて警官だったラム・カートンが演じてるのですが、
これが日本語下手過ぎてセリフが聞き取れません
当然日本語の部分は字幕がないし・・・字幕つけろよ~~~でした.....

池内くん、かっこ良かったです

この年(2009年)の香港電影金像奨・最優秀映画賞を始め、数々の映画賞を総なめにした本作品ですが、
最優秀作曲賞の川井憲次さんの音楽が素晴しい。
そして、もう一人、最優秀美術賞の麥国強(Kenneth Mak)さんが素晴しいです!

ただ、先に「2」を観た方はちょっと消化不良の点もあるのです。
続編ではイップに会っても全く認識できないほど精神を病んでいた親友チョウ(サイモン・ヤム)は、日本兵に撃たれてと息子のセリフがあったのですが、、
最後までそのシーンは描かれていなかったです。
その時にたしか「私の所為だ」とイップが言っていたので、そのシーンがあるかと思ったんですが

それと、
この作品中では、イップの邸宅は日本軍に奪われてイップの家族は極貧生活を余儀なくされるとなっていますが、
実際にはこの時代よりも後の1949年に、イップは中国共産党によって財産すべてを没収され
それで中国共産党を嫌って香港へ逃げて行ったのだとウィキに書いてありました。

両方見終わってみれば、この(日本人が悪役の)「イップ・マン 序章」が、中国で大ヒットというのが、
作品としても、観客の国民感情としてもなるほどと、頷けるものがありました。

●『イップ・マン 序章』公開劇場
公式サイト