(神は)わたしの敵からわたしを救い出されました。まことに、あなたはわたし に逆らって起りたつ者の上にわたしをあげ・・・・・。(詩篇一八・四八)
あなたがたは上にあるものを思うべきであって、地上のものに心を引かれてはならない。(コロサイ三・二)
高度
「高く飛ぶほうが安全です」と操縦士は言った。私たちは千フィートばかり更に上昇した。高く上がれば上がるほどよりすばらしい非常着陸用の飛行場が前方はるかの眼下に見えるのだ。
「高く飛ぶほうが安全です」。次のような場合にもこの言葉はこだまする。良心が注意を促し、卑しい肉的なものに心を奪われ、罪が極彩色の衣をまとって姿を現すときにも。
空の道は、勝利者のための公道、少数者の仲間になって、生きようとする人たちの道だ。人生でも、空の旅と同じように地上を離れれば離れるほど視界は広くなってゆく。
困難の丘は、もはやなく、絶望の山も、平らかになる。高所からあなたの問題を眺めるとき、深い暗黒の谷も、みぞのように見える。
広々とした日光の照る場所にあなたが生き、高所から、あなたの輝いた道を見るとき、いかなる霧も、境界線を曇らせない。邪悪の暗黒をあいまいな灰色に見せることはできない。
「高く飛ぶほうが安全です」と使徒は言う。この世は眼下にあり、神の青空は上にある。覚えておきなさい、キリストは天に坐しておられ、あなたはそこで、彼とともになる。ああ、これが愛のクライマックス。
あなたが高所に住んで、賢明に正しく、価値判断ができるようになるとき、この世はなんと価値なきものとなることか、この世の輝きはなんと鈍くなることか。それなのに、どうしてあなたは・・きょう高所に住もうとしないのか。
ウィル・H・ホートン博士
L・B・カウマン著 「山頂めざして」より