「北の山・じろう」日記

内容は主に時事問題。時々株式投資関係の記事も交じります。

アメリカのインフレが招いた物価高騰と生活苦の度合い<2024・11・09

2025-01-11 03:12:56 | アメリカ合衆国

Newsweek
https://www.newsweekjapan.jp
2024.11.08
『ハリス氏惨敗の背景に「アメリカの中流階級の生活苦」の悲鳴が聞こえる』

アメリカのインフレは、一時期は年率8%を超えていましたから相当ひどいです。ハイパーインフレの一歩手前です。
10%を超えてくるとハイパーインフレと言っていいでしょう。イギリスが、この例です。イギリスの庶民や低所得層の生活苦は、アメリカより遥かにひどかったです。

特に問題なのは、インフレで値上がりした物価やサービス料金は、インフレが低下しても元には戻らない点です。上がった分は、そのままでその後更に上がり続けます。政治家や評論家は、この部分に気が付かないか無視します。

日本の場合は、相当遅れてインフレが始まりましたし、日本企業は価格転嫁をぎりぎりまで我慢する傾向があります。便乗値上げを悪と考える精神風土もあります。
欧米は、逆で便乗値上げを好機と考えます。
だから、何でもかんでもどんどん値上がりします。
生活苦の度合いは、日本よりはるかに深刻です。

記事ではミネソタ州グランドラピッズで暮らす5人家族のお母さん(クリステイン・マデイ44歳)の例を取り上げています。
奥さんは看護師として普通の給料をもらっています。
亭主は重機のオペレーターの仕事をしているそうです。
夫婦の年収が(多分手取り)17万5千ドルくらい。
日本円だと2625万円くらいです。
収入が一見日本的感覚では高いように見えます。
ところが❓
「生活費を切りつめても、毎月の出費はどうにか賄えるけど手元にはお金は全く残らない」
と言う状況だそうです。

旅行にも行かず、安売りの商品を買って出費を抑えてもこんな状況だそうです。
食品高騰を乗り切るために家でニワトリやガチョウやカモを飼い始めたのだそうです。
ここら辺は、日本とは相当住宅事情が違います。

政治家(民主党)や評論家は何と言っているか❓
(バイデン氏)
「ソフトランデイングできそうだ。私の政策は効果を発揮しつつある。そう書いておいてくれよ」

クリステインさんは、切り詰めても生活するだけで精いっぱいだと言っています。ちなみに一番上の息子は成人して自活しています。
これが、アメリカの庶民の平均的な懐具合だろうと思います。

そしてクリステインさんは、政府に対してどんなことを感じているか❓
「現政権から無視されているという思いを抱いている」
「経済は堅調だという政府の言葉を聞くと突き放されたように感じる。そうした主張は私たちが日々の生活で体感していることと全く違う」

バイデンさんが言っているのは、多少インフレ率が低下してNY株式市場が絶好調だから政策が上手くいっていると言うのだろうと思います。

クリステインさんの他の人の事例も記事では取り上げています。インフレでも生活費に困らないのは、おそらく日本円だと5000万円以上の、かなり収入の高い人たちだと思います。
クリステインさんの例だと2625万円でしたね。
クリステインさんは看護師で夫婦共稼ぎで、これくらいの収入です。
一番多い層でしょう。
もっと収入の少ない層も多いと思います。

つまり民主党は、このような中所得から低所得の人々を全く無視しているわけです。

だから民主党は、大きな労組2つから支持を得られませんでした。
そのうちの1つは、アメリカ最大の組合員数の(130万人)全米トラック運転手組合です。自由投票を決めました。
ここもハリス氏が本部に乗り込んで支持の取り付けを図りました。しかし組合幹部がハリス氏と話し合った結果として、自由投票を決めました。
組合が納得するような政策や展望を示せなかったと言うことだろうと思います。

2つ以外の労組は民主党支持を従来通り示しました。
しかし、組合員がそれに従うとは限りません。
トラック運転手労組を見るなら、各組合では個人の判断で投票先を決めた人が結構いただろうと思います。

まあ、やや漠然としていますが、このような事がアメリカ国民がトランプを支持した大きな理由だと思います。
民主党支持者は、比較的ハリス氏に投票したでしょう。
<しかし、最新の無党派層の数>
ロイター
『米大統領選、無党派の投票者が民主党員上回る=調査』

これは投票した人の出口調査です。
(実際には、無党派層は約4割と言われています。)
無党派34%
民主党員32%
共和党員34%

日経新聞
2024・08・04
『米国の無党派層とは 国民の4割 大統領選の勝敗左右』
無党派41%
共和党支持30%
民主党支持28%

共和党の方がやや基礎票は民主党より多いです。しかし数%でしょうね。
結局、数の多い無党派層がどちらに投票するかで勝敗が決まります。
それが一番顕著に現れるのが、激戦7州の投票動向です。
今回、トランプ氏が7州総取りです。
(2016トランプ6、2020バイデン6)
そして民主党が勝利した州でも、結構トランプに票が入っています。それが獲得票数に現れています。

ほぼトランプと共和党の完勝と言えます。
つまり、無党派層にはインフレと生活苦からトランプに投票する人が、結構いたと言うことです。

どうも民主党やハリス氏の主張を聞いていると、ピントがずれているような気がしていました。
アメリカの有権者も同じように考えたようです。

個人的に一番腹が立ったのは、このような問題を無視してハリス氏が最後に言い始めたのが、女性の権利についてです。
ニュースを読んでいると日本人の私ですら、今回の大統領選の最大のテーマがインフレと物価高騰であることが分かります。生活苦を訴える人も多かったです。
ハリス氏は、都合が悪いから女性の権利に話を刷り替えました。
要は、一番大事な問題から逃げたと言うことです。
大統領の座も逃げていきましたね❓


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