滋賀県大津市にある石山寺は西国三十三所観音霊場の第十三番札所としても有名な寺院です。
その歴史も古く、寺伝によれば天平19年(747)に聖武天皇の勅願で良弁僧正により開基されたと伝わります。
また、東大寺との関わりも深く、石山寺縁起絵巻によると、この地の巨岩の上に観音像を置き、東大寺大仏建立に伴う祈願をしたのが寺の始まりとされています。
手水舎横の長い石段を登ると正面にはお寺の名前の由来にもなった奇岩がそびえます。
硅灰石からなり国の天然記念物に指定されています。
順路を左に取ると国宝の本堂があります。
正堂と礼堂からなる複合建築で礼堂部分は清水寺舞台と同じ懸造りです。
ご本尊は"勅封"の如意輪観音像で三十三年に一度開扉されます。
平成28年(2016)がその年にあたり公開され、お詣りしました。
本堂内の一角には「源氏の間」があり紫式部が石山寺で琵琶湖の湖面に映える月を見て「源氏物語」を着想したと伝わります。
平安時代から都近くの観音霊場として貴族女性が参籠するようになります。
「蜻蛉日記」の作者・藤原道綱母は石山詣の情景を書いています。
また、清少納言の「枕草子」にも寺の名前が見えます。
多宝塔(国宝)です。
墨書から建久5年(1194)の建立で源頼朝が寄進したものです。
月見亭と芭蕉庵です。
9月の中秋の名月には夜間拝観も行われ、コロナ前には芭蕉庵で呈茶もありました。
境内には参拝道が整備されていて、四季それぞれに花々や景観を楽しむことが出来ます。
また、境内の多くに岩盤が露出していて、お寺が岩盤の上に建っているのが興味深いです。