水耕栽培による家庭菜園日誌

屋上での水耕栽培・人工光源を使った室内水耕栽培および屋外での有機水耕栽培に取り組んでいます。

室内水耕栽培16 (H23.9.30~10.15)

2011年10月19日 | 室内水耕栽培
<炭酸ガス施肥>
9月30日 光合成を促進させるには光と水と炭酸ガスが不可欠ですから少しでも完全な植物工場を目指すなら炭酸ガスの施肥も必要になってきます。高辻氏はその著書「完全制御型植物工場」の中で炭酸ガスにより成長促進効果が大きいこと、また野菜の品質を決める含水率にも大きく作用すること、また濃度としては1200ppmで最大になる旨書かれています。炭酸ガスは確かに植物にとっては光合成をするための肥料であるという認識が必要かも知れません。そこで炭酸ガスを供給できる装置を設置したいと思い、インターネットで調べるとGrowshopさんから炭酸ガスレギュレーターと炭酸ガスボンベを販売しているようなので早速発注する。また炭酸ガス濃度を知るために簡単な炭酸ガス濃度計を佐藤商事に注文する。
 

10月3日 入荷したので早速設置する。栽培室が大きいので5kgボンベでは小さすぎますがひとまず実験ということでマニュアルに従って添加時間を設定。ただ部屋が大きすぎるので最大供給量にしても充分には炭酸ガスを供給できない。部屋全体に炭酸ガスを充満させる必要もないので炭酸ガスが栽培棚周辺に広まるようにホースを設置。炭酸ガス濃度計が入荷すれば測定しながら添加量を調整することにします。また炭酸ガスボンベについて出入りの酒屋さんに尋ねると5kg、10kgのボンベなら何時でもご用意しますとのことなので当分は酒屋さんで調達することに。
*疑問:
常に間断なく消費されている炭酸ガスを連続的ではなくインターバルを置いて供給するため方法についてはよく理解できるがマニュアルにある炭酸ガスの消費時間が3時間というのはその根拠が分からない。野菜の多少によって消費量も消費時間も異なってくるはず。


10月4日 炭酸ガス濃度計が入荷したので早速計測すると830ppmほどでした。今の設定ではやはり炭酸ガスの供給量は少ないようです。入口ドアの下に隙があるので目張りを行う。その後30分ほど供給するとやっと1140ppmまで上がってきました。2,3日は様子を見ることにします。


10月5日 朝来てみると炭酸ガスは消費しきっていました。3日で5kgなくなるのであれば少し早すぎます。理論的には1日に1kg以上は消費しないはずですから少なくとも5日は持つと思っていましたのでびっくりです。今日酒屋さんが10kgボンベを持ってきてくれたのでそれを設置して炭酸濃度を測定する。


夕方まで炭酸ガス供給がなかったので空気中の炭酸濃度は440ppm。供給量を2ft/hで設定し時間別のppm値は次の通りでした。
30分後 980ppm  45分後 1250ppm  50分後  1360ppm
この値を見て再度タイマーの設定を次のようにしました。
6時から1時間 その後2時間毎に45分間供給 合計6回炭酸ガスを添加。
この設定で時間別の濃度がどうなるか、また10kgボンベで何日使用できるか明日以降チェックしたいと思います。

<またも失敗 炭酸ガス施肥>
10月6日 朝会社にくると警報音がけたたましく鳴っていました。炭酸ガス濃度が1500ppmを越すと知らせる警報音です。ボンベを見るとほとんどのガスが消費されています。原因は接続バルブからのガスもれで恐らく昨夜中に漏れていたのでしょうす。可燃性ガスなら大変なことです。かなり接続には注意をしてレンチでしっかり締めていたのですが完全にシールされていなかったのでしょう。恐らくパッキンの不良と思われる。とにかく換気扇を回して炭酸ガスを排出し警報音も停止しましたが炭酸ガスの無駄消費はここ4日間で1万円を越えています。


10月12日 今朝来て見るとボンベのガスが空になっていました。最初にかなりのガス漏れがあったので3日間で10kg分がなくなったことになります。新しいボンベに入れ替えて今度はしっかりとスパナで締めつけましたが今日一日漏れがないか再度入念にチェックします。

10月14日 今回はガス漏れもなく順調に炭酸ガス供給が行われています。現在のセット内容は2時間ごとに30分供給ですが1時間ごとに15分供給に変更した方がいいかもしれません。いずれにせよこの状態で10kgボンベが何日持つのか確認する必要があります。

<本日の様子>
10月3日 大阪しろ菜を5株収穫して重さを量ると400gありました。まだ充分な大きさとはいえません。
 

レタスの様子です。メタルハライド照射のレタスはしっかりと育っています。パナソニックの方もそこそこです。
 

サラダ菜の様子です。


10月4日 サニーレタスと玉レタスを味美菜の後に定植する。

<サラダ菜の最適成長条件・成長理論>
10月5日 高辻氏の「完全制御型植物工場」に掲載されている「環境要因と成長の定量化」および「サラダ菜の最大成長曲線」図です。この図には主要要因として気温・液温・日照時間・炭酸ガス濃度と生産量増加量の関係および最適成長条件が示されています。この条件に如何に近づけていくかが室内水耕栽培の目標かと思います。



その条件を見ると
①気温では光合成適温は20度、成長適温は22度とのこと。今の時期ではかなりクーラーを効かせないとこの温度設定は難しい。
②日長時間であるが24時間で最大になるとのこと。
③炭酸ガス濃度は成長促進と含水率低下に貢献し1200ppmで最大になるとのこと
④光強度については200μmol程度が必要とのこと
⑤液温については生育段階により変化するが26度位が最適温度のようである。
⑥培養液の管理ではpHとEC値の関係を重視する必要があるとのこと。
私見であるが成長と肥料成分の吸収過程を各野菜別に分析したデーターが必要と思われるがいろいろ調べてみても見つからない。

この理論をよりどころにしてコストを考えながら100g程度のサラダ菜やレタスがコンスタントに栽培できるようにしたいと思います。

また成長段階を3段階にわけて発芽期・生育期・促進期に分けそれぞれについて条件設定も94pの表5・2に記載されています。

この表に従うとすれば発芽期は苗が2~3gまで生長する期間でこの期間は栽培室とは別の場所で自然状態で発芽させることで可能、次に炭酸ガスを制御できる栽培室に移し、生育期間は苗が10gまでになる期間で日照時間を10時間に設定、促進期間は100gまで生長する時期で日照時間を24時間にセットすることも可能。問題は光強度であって蛍光灯では150~180μmolが限界なので生育期の256μmolに対しては60%, 促進期の219μmolに対しては70%程度しか供給できないのでこれが一番大きな問題です。メタルハライドでは可能ですがその際は同じサイズの定植パネルを使って移しかえれるようにする必要があります。また室温についても20度はかなり厳しい温度設定でメタルハライドを使用するととても達成できる温度ではありません。この点からも高輝度の発熱しないLED照明が必要になってくるのかもしれません。まずは実現可能な範囲でトライ&エラーを繰り返すしかなさそうです。

苗の重さと外観ですが10gですとレタスで背丈が18~20cm位、2gですと5cm位の大きさが目安になるようです。
5cm位までは育苗期間で18cm位までが生育期間、それ以上が促進期間と判断すればいいのでないかと思います。
 

<蛍光灯とメタルハライド>
10月9日 メタルハライドで育てているレタスは葉が大きく1株採って計ってみると100gはありました。ところが蛍光灯で育てているレタスは相変わらず徒長気味で葉が小さく茎で重さを稼いでいる状態です。光量は蛍光灯も100μmol以上はあるのですがどうもこれではやはり光量不足なのでしょう。ただ高辻氏の「LED植物工場」の事例紹介ではコスモファームは100μmolで育てていると書かれているので他の要因があるのかもしれません。いずれにしろまずこの問題解決が当面の課題です。
 
 

<LEDライトを検討>
10月11日 蛍光灯の使用方法の検討とあわせ改めてLEDライトについても検討してみることにしました。
昨年来照明機器メーカーから高輝度の植物育成ライトが発売されているのでコストや購入先などを調べています。昔買った中国製のLEDライトは光量不足で使い物にならなかったことがあるので今回はできれば信頼性の高い国産品を使用したいと思っています。

<レタスの育苗・生育>
10月12日 今後はリーフレタス・玉レタスおよびサラダ菜について10日毎に20粒ずつ播種しそれぞれの育ち方を観察していくことにしていきたいと思っています。現在栽培しているサラダ菜と玉レタスを時系列で並べてみると次のようになっていますが蛍光灯で育てているものはいずれも徒長気味です。次回は10月15日に播種。

 
9月13日播種してサラダ菜と玉レタス
 
9月18日に播種したサラダ菜とレタス
 
8月25日播種のレッドリーフレタスと玉レタス すでに徒長気味
 
10月5日播種のサラダ菜と玉レタス

<育苗棚の蛍光等を変更>
10月14日 現在使用している育苗棚の蛍光灯はビオルックスHGを6本使っているのでかなり明るく光量子束密度も高いのですが
育苗面ではビオルックスAの方が優れているのでHG3本、A3本に変更する。(写真を撮っても光質の違いが分かる)光量子束密度も220以上あり光源としては申し分なしです。後は炭酸ガス濃度が高くならないようにアルミホイルで覆って炭酸ガスが入らないようにして発芽後10日間ほどここで育てれば第一の発芽期の栽培条件はクリアできるはずです。3g程度の大きくなれば今度は生育期に入るので光度の高いメタルハライドの栽培棚に移して育てると第二の生育期の条件もクリアできます。
 

<レタスの根>
10月14日 室内水耕なので全く病気が発生していないこともあり根が白く育っています。また温度の高いメタルハライドの下でも青藻の発生がなく根は順調です。
 

10月15日 玉レタス・レッドリーフレタス・中葉春菊を各40粒ずつ播種する。