
香山リカ著 フォーラム・A P124より引用
ISBN978-4-89428-588-0 1200円+税
ーーーーーーーーーーーーーーーー
クラスの問題も学校全体で共有する
私が知るかぎりでは、教師にはそう
いう場がひじょうに少ないようです。
非公式な場、たとえばお酒を飲みに
いって愚痴るとか、帰りにお茶を飲
みながら先輩教師に相談するとか、
そういうレベルのことはあっても、
職員会議などの公式な場では、実務
的な話が多く、クラスで起きている
問題をほかの先生方と共有したりで
きないようです。しかも、みんなで
検討するような課題になる=担任が
処理しきれない問題が起こっている
ととらえられ、能力がないと思われ
るとか、教育委員会に伝わるのでは
ないかといった不安もある。という
話を知り合いの教師から聞きました。(略)
一人の教師がその問題で悩んで、あ
とはいきなりトップダウンで校長や
教育委員会から指導がはいるという
のではなく、もう少しうまいマネジ
メントがなされたり、縦でなく横で
問題を共有化するシステムがあれば、
ずいぶん救われて、こころの病にな
る教師も減っていくのではないかと
思います。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
▼病院の場合はケース・カンファレ
ンスというのが頻繁に行われるよう
です。(患者の症状や状態、患者と
の間に起きたことをスタッフみんな
で共有すること)TVドラマでもスタ
ッフがひと部屋に集まって皆で患者
の症状について討議をしているシー
ンをよく見ますが。そういったこと
は学校にはないのでしょうか。最近
は教師だけでは解決できない事例が
よく起こっています。たとえば児童
相談所とか、警察が入った方がいい
ような事例、犯罪・非行などの問題
を報道でもよく目にしますね。
悩みを誰にも相談できずに不眠症に
なることも新聞等で見聞きします。
悩みが重篤にならないような外部の
専門家も巻き込んでのシステムの構
築が早急に必要ではないでしょうか。
