当地には「青線」とも呼ばれる水路が走っているが、いわゆる「基幹インフラ」でもある。稲作・畑作に水が必要不可欠なのはご存じのとおりで、農村地帯には必携の設備で多くの農家が関わっている。我々が関与する農地にも水路が引かれており、水利組合が設置されて維持管理に勤しんでるのは他の地域と同様かと思う。今回は青線に関わる小さな工事が発生したので、そのお話。以前にも説明したかと思うが、当地では青線の所有権は地元の自治体に、利用権は水利組合に、私的な工事は利用者に・・・・といった案配で配分されている。青線に付帯する私的な利用については個々人の担当なのだ。
今回の懸案は青線に掛かる小さな橋の改修工事だ。主な通行者は師匠宅で、我々もその恩恵に便乗している。改修に至った理由は、増水時にゴミ等が流れ来て水路が詰まりやすく、清掃に手間暇が掛かるとのことだった。この詰まりには子狸も手を焼いていた。現場には小さな石橋が架かっており、コンクリートで固定されているので、ゴミ等は水路に入り込んで棒などで掻き出すしか無かったのだ。何とも難儀な作業で、増水時には不自由していたのだ。
師匠の発案は、石橋を撤去し、水路を慣らしてU字溝とグレーティングの設置というプランだ。無論、腰を痛めた師匠では不可能でその筋のプロに依頼するようだ。まだ先かと思っていたら、何時の間にか根幹の改修は終わったみたいだ。段差が存在して滝のようになっていた水路が改修され、斜面状に慣らされていた。U字溝も設置済みで、あとはグレーティングの配置と生コン利用での敷設工事の模様だ。事実上の完了だろう。
若しも増水時にゴミ等が詰まっても、撤去作業は簡単に可能となる。まことに持って有り難い改修工事である。此処で不可解かとの疑問が生じることもアリかと。水路の所有権が自治体にあり、利用権は水利組合に、ならば改修工事も公共団体では・・・・・との疑問だ。ある意味もっともかとも思えるが、使用収益と費用とのからみだろう。今回の石橋だが、元々は師匠宅への通行路であったのだ。元の師匠宅が我々の耕地を通り過ぎた奥地にあって、専用通路として畦道が利用され、石橋も師匠宅が設置された模様。そうした経緯があって、現在地へと転居されたので、師匠は当然の負担と考えられたのだろう。公共工事でも、場合によっては地元負担といった分担金の発生もあり得るのだ。某県で新幹線の開通に伴う分担金でもめてるのも、費用負担そのものでは無く応益権との兼ね合いだろう。
困難な事案だが、地域によって各種の慣例もあり、一概に方法論を決めつけるのは出来ないだろう。結局は常識と地域の慣習に従うのが、一般的な手法だろうか。