木漏れ日の雑木林

金剛山の西山麓で里山の保全活動を行っています。自称若者集団ですが、実態は?

朝顔の君

2023年08月10日 05時22分40秒 | 余話

昔、小学生の夏休みの観察日記と言ったら、朝顔のそれが定番だった。鉢やプランターに種を蒔き、一時の花卉農家となられた方も少なく無かったのでは。最近は余り見かけなくなったなと少し寂しい思いもあったが、花街道で群落を見つけた。路傍であったので野生種か飛来した朝顔であろう。赤やオレンジ色が多い夏の花で、青紫の色彩は異彩を放っており、車を止めざるを得ない。幸いにして僅かなスペースがあり、他車の走行には支障は無さそうだ。

現場は路肩の一角、斜面となった草地と転落防止の柵とが花園に変化していた。どうみてもお好きな方が栽培されるような場所でも無く、何らかの形で種子が運ばれたものと思える。その後、環境に恵まれて開花の運びに至ったのであろう。青紫の朝顔と、足下にはオシロイバナとが咲き誇っている。今回はオシロイバナはカットしておきますが、これはこれで一つの主役でもあるのかと。

朝顔は夏場の風物詩でもある。小学生達が好んで取り上げるほど、栽培も容易であった。最近はトンと見かけなく無ったが、巷に残ってはいるようだ。観察日記をつけるような余裕が無くなってしまったのかも知れない。家庭でも、グリーンカーテンを作り上げる手間暇よりもエアコンの購入に走りますか。文明開化と共に、各種の風情も消え去るようで、何とも侘しい世の中とも言えますね。

朝顔と言えば、昔、学校で習った一句を思い出した。

  朝顔やつるべとられてもらひ水・・・・・・加賀千代女

説明は不要かと思いますが、簡単にご紹介しますと、朝早く起きて水汲みに出かけたら釣瓶の縄に朝顔が巻き付いて美しい花を咲かせていた。朝顔を除去して水くみするのも気が引けて、お隣まで水をもらいに出かけた・・・・・・・現代文にすると何とも味気ないですね。

尚、朝顔と言えば夏場の花、てっきり季節も夏と思いきや季語では秋となるそうな。何でそうなのかは不明だが、俳諧の世界では秋の季語となるそうなのでご注意を。彼女は江戸時代後期の俳人、若くして才能を認められ俳諧の世界で活躍したそうですが、18歳で結婚するも20歳で死別と、家庭的には恵まれなかった模様です。石川県の白山市のご出身だとか。

肝心の朝顔だが、今が盛りと咲き誇っている。もうしばらくは花期が続きそうで、走行時の秘やかな楽しみはまだまだ可能かなと。何も無い田舎道とはいえ、探してみれば花園とも思える世界が存在します。要は発見できるか否か、道行く者の気持ち次第でもありましょうか。

 

 

 

 

 

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