チームリーダーの畑を覗いているときだった。不思議な葉っぱと長いツルが目に入った。どうやらヤマイモ栽培へと挑戦中の模様だ。ハートのような独特な形状の葉っぱと細めのツルを見ていると、幼少時の思い出が蘇ってくる。何せ田舎の山間部の育ち、アニメやゲーム機等も無かった時代のこと、遊びの場は専ら野山や川であった。近所の悪ガキどもと一緒にヤマイモ掘りに出かけるのも遊びの一つ、目星を付けたツルの先を掘るのだが、小学生に掘り出せるほどヤワな存在では無い。ヤマイモはほぼ垂直に成長し、掘り出すには周囲を深く掘る必要がある。大抵は20~30センチも掘って諦めるか途中でイモを折ってしまうかが関の山だった。最近は品種改良され、用具も開発されて割と容易に栽培できるようになったようだ。
このヤマイモだが、当時は専用の固有種の名称かと思っていた。長じて追々と解ってきたのだが、該当のイモ達の総称だそうな。山地に自生し我が国在来の植物らしいが、最近はナガイモとも呼ばれる新たなイモが開発され、ひっくるめて広い意味でヤマイモと呼ばれているとか。農地で栽培されるのは専らこのナガイモらしく、チームリーダーの栽培物もナガイモかと思われる。
栽培手法は独特で、地下に斜めにパイプを埋め、イモの先がパイプの中を伸びていくような仕組みだ。収穫時にはパイプを掘り出せば良く、パイプも寝かせたような存在なので収穫も楽なんだとか。栽培は春に種芋を植え込み、秋に収穫するのが通例のようだ。上記のヤマイモ掘り遊びも晩秋の頃だったように記憶している。紅葉の葉っぱが落ちてしまう頃だ。ヤマイモ掘りは地面を深く掘り下げるので、地面が破壊されやすい。掘りやすいように斜面地を選ぶので、崩壊の原因とも成りやすく、ヤマイモ掘りを避ける地域もあるようだ。
チームリーダーのヤマイモ栽培がうまくいって収穫可能となるのかは見物だが、注視していこうかと思っている。1メートル近くもあるようなヤマイモの出現を期待したいが、耕地の加減で無理があるかな。ともあれもうしばらくの待機、仲秋から晩秋の頃、彼が掘り出す時期に再び覗きに出向こうかと待ち構えている。