お店に帰って、早速色々いじります。
安達製作所製品らしい、C55
かなり古いものですが、一見、妙に綺麗です。
松本吉之さんの著書によると、1976年昭和51年製品のようです。
簡易化を進めた普及製品で、かなりの部分がダイキャストとプラ部品という当時の「一般製品」だったようです。
シルエットはC55にしかみえない優れた製品ですね。
ただ、走りません。
さて、どうしたもんか。
既に38年が経過しているモデルですが、走行した様子が殆どありません。
このオーナー様の一連のコレクションを知っているのですが、ほとんどが走行をかなりしたものなのに、これはやたらと走行した形跡がありません。
「なにかおかしい」
そう思うのが、私の「感」です。
きっと、致命傷を負っているものではないか・・・。
見た目は先頭連結器すら取り付けていない、ちょっと部品類がゴム系接着剤はみ出し気味の「きれいなモデル」
なにか「おかしい」
モーターは、唸ったっきり、動きません。
唸っただけよしとしましょうか。
ギア開腹。
なんと、ナイロンギアには汚れひとつついていません。
つまり「ほぼ未走行」です。
おかしい・・・・。
普及品が部品を取り付けただけで未走行なのは、なにかおかしい。
普及品は安価だったから、ガンガン走って逆に摩耗でボロボロのものが普通だ。
それがこんなに綺麗。
お か し い 。
奥のウォームギアは・・・・?
ボディを外します。
ん?
とりあえず、ゴムジョイント経年劣化で交換決定。
そんなのしょうがありません。
摘もうとすると、・・・・ん???
ん??
んんん??
解りますか?
動いちゃいけないウオーム軸が動いているのがわかりますか?
ほら。
ね?
これ、こんな動きしちゃいけない。
ウォームギアが左右に動くなんてありえない。
嫌な予感。
(;゜д゜)ァ....
「オイルレスメタルが無い!!」
なんで?なんでなの?
軸がグラグラです。
でも、暴れた形跡があまりありません。
取っ払ってからほとんど動いていない。ってこと。
つまり、予想。
「新車早々、部品取りでオイルレスメタルがどっかに持ってかれた」
という、予想。
つまり、「新車早々部品取りになるような、もっと致命傷がこのマシンにはある!!!!」
うわーーーーーーー。
。・゜・(ノД`)ヽ(゜ω゜=)モニュニュ
それどこだよwww
ギアにカビが生えているって、初めて見た。
はぁ・・・。
カビてるギア。
気を取り直してチェック続行します。
フレームは、幸い曲がっていませんでした。
ダイキャストが曲がっていたら、修繕からはもう逃げるところです。
その致命傷ではないようです。
連結棒だけにして、転がします。
結果「ダメ」
位相がずれているようです。
ここは致命傷の一つでは有りますが、修正でけないこともない部分であり、またギクシャクしても走ることは走るレベルでした。
つまり、致命傷ではない。
第三輪のピンを取って転がします。
結果「ダメ」。
第二動輪を外してチェックします。
合格。
スム~ズです。
ということで真ん中のギア軸の位相がずれている。
3時間経過
やっと調整完了。
綺麗に転がるようになりました。
軸持ちも研磨。
バリ取り。
カビ取り。
ギアが潰れています。
唸ったのはここが潰れた音と思います。
オイルレスメタルが無いのはどうしようもないので、仕方なく、安達の現代版ギアボックスからメタルを持ってくるしかありません。
1200円位。
メタルがはまらない。
年代が違うからか、現代のほうが大きい。
ショウガナイから、ドリルレースで直径を小さくするように加工。
フィット。
チューブも交換して、修理完了。
実にスムーズに動くようになりました。
パーツ類はゴム系接着剤が劣化してポロポロ外れてしまいます。
安全弁も
接着剤だもん。。。。
とりあえず、劣化して外れてます。
出来る限りで修正。
こりゃ、上回りについては上掛け塗装が必要のようです。
軽く研磨して、上掛けで薄っすら塗装して終わりましょう。
塗装は最後行程です。
試運転したら、石炭車が脱線して歩みを止めてしまいます。
簡単に脱線します。
見事なくらい簡単に脱線します。
あ・・・これは致命傷的に脱線する・・・。
なんで?簡単な構造のはず・・・。
ひっくり返します。
台車バネがありません。
なんで?
台車が歪んでいること発見。
車輪が浮いてる。
しかも、普通の4点支持なら、これは地平に密着するはず。
つまり4点支持が効いていない?
おいおい!
4点支持の構造になっているのに、動く部分ががっちりカシメで組んでいて、それが「動く上にめちゃくちゃ固い」
つまり、チョットのはずみで、ネジレたマンマで固定されるから、車輪が浮く。
脱線する。
当たり前。
車輪も外せない構造。
ああ、工程省略のために、カシメでやっちゃったんだ・・・・しかもガッツリ強く。
だから、4点支持にならない。
歪んだまま。
ネジで組んでくれれば普通に治せるのに・・・・。
更に、ボルスタ板がゆがんでる。
曲がってる。
まっすぐにならない。
カシメがキツイのと、まっすぐにならない場所でカシメの力が掛かっているから、どうにもならない。
見ての通り、車体を支える部分が水平じゃない。
つまり「どこにも水平が出ないで歪んだママの状態しかなりえない」
これはあかん!
脱線しないわけない。
普通なら台車を交換しますよ。
ただ、これ、そういったジャブジャブ修繕部品を使っていい案件じゃないのです。
置き直してみる。
もうね、全然ダメだわ~
見たとおり、線路に全く乗る気配がないくらい、デフォルトで台車の歪みが消えない。
脱線するはずだ・・・。
これか?致命傷は・・・。
ただ、日光モデルか何処かの台車交換で終わるはずなんだけどなぁ・・・・。
さて、
台車交換すれば簡単なこの案件。
それは出来ないのでございます。
そうすると手段はひとつ。
「なんとかする」
そこを最大限考える。
つまりこの車。
・位相が狂っていてギクシャク
・炭水車が(前オーナー的に)謎の脱線を繰り返し
新車早々、動かくすことを諦められたモデルのような気がします・・・。
綺麗だから、コレクションからこの夕張鹿鳴館に「動態用」として配備されたものの、動かなかった。
そう、綺麗だから持ってくるのは、詳しくない方からすると「当たり前のセレクト」でしょう。
しかし「綺麗なバラには刺がある」
ということで、マトモに走らないから、飾っていただけで綺麗なのですよね・・・・・。
でも、なんとか走らせるのが、私の役割でありまして・・・・。
ほぼ新品。
ドエライきれいな棒モーターに注油だけして今日は〆る。
こんなにローターがきれいな棒モーター、初めて見た。
それだけ、走ることに諦められた車なんですね・・・
38年経って、元気に走ることが出来るか!?
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