日本には、数学の世界に和算というものがあった。今はほとんど顧みられていない。
現在、鶴亀算という言葉を知らない人も多いのではなかろうか。
新潮新書で、三田誠広著・「父親が教えるツルカメ算」という本が出ている。
鶴亀算が懐かしく買った。
小学生に算数を教えるのは結構難しい。
鶴亀算はその良い例である。
小学校生は連立一次方程式を習っていないからである。
鶴と亀が12匹、足の数は38本です。鶴と亀はそれぞれ何匹ですか。
この問題が典型的な鶴亀算です。
連立一次方程式で解けば、
鶴をⅩ、亀をYとすれば、X+Y=12 2X+4Y=38 を解けばすぐに答えが出る。
方程式を使わなければどうするか。
鶴亀算の解き方はもうすっかり忘れてしまった。
挑戦することとした。
仮定から始めることとした。
幸い偶数匹なので、鶴と亀が同数の6匹と仮定した。そうであれば、足の数は36本となる。
2本足りないことが分かる。
足の数が少ないということは、足の数が多い亀が足りないということである。
足の数は亀の方が2本多い。従って、設問の場合、鶴、亀同数とすると足の数が2本足りないのであるから、鶴と亀が1っ匹入れ変わらなければならない。
従って、正解は鶴が6引く1で5匹、亀が6たす1で7匹となる。
これが私の解き方である。
全部鶴、逆に、全部亀である場合も想定できる。
仮に、全部鶴と想定すれば、足の数は12の倍の24本となり、14本足りなくなる。鶴と亀の足の本数の差は2本なので、14を2で割った答えの7が鶴と亀の入れ替わる数となり、答えは亀7匹、鶴5匹となる。
鶴亀算を公式的に言えば、亀の数は、足の数(38)から鶴と亀の合計(12)の2倍を引いて2で割る、と言うことになる。
これを丸暗記すれば単純な鶴亀算は容易に解ける。
鶴亀算で大事なことは、鶴と亀の足の数の差が2であることに気が付き、ある仮定の鶴と亀の数から計算すればよいということに気が付くことである。
それを一般化するために、いずれか一方をゼロにすれば、前述の公式が生まれる。
鶴亀算は一つの問題、課題を自ら考え、一定の結論を出すという過程を重視する点にある。
学校教育では考えるということの重要性を教えているはずである。
ところが算数や数学の入試では正解のみが問われ、その考え方の道筋はないがしろにされているために、公式を丸暗記し、それに数字を当てはめるることとなる。限られた時間で答えを出すには当然そうなる。
日常的に入試の問題集を数多く解いている中では、どの公式に当てはめれば正解が出せるかということのみ考えるようになる。
原点に返って、物事を考えなくなってしまう。
世の中、ステレオタイプの行動をとる人が多くなった、これも、考えるということを忘れた人が多くなってしまった結果ではなかろうか。
管改造内閣が船出した。
前途多難なことは誰しも認めることであろう。
政権交代後の政治は迷走している。これも誰しも認めることである。
政権交代前夜、国民・有権者に一度やらせてみてはという風潮が蔓延した。
選挙において「風」という言葉に象徴されるように、時流、正に、その時の流れに国民・有権者は流されている。国民一人一人が主体的に考え、行動しなければ、この国の行く末は危うい。