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「ハムレット」 舞台内容 一幕二場 (2)

2009-09-08 19:58:08 | 「ハムレット」

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 さらにハムレットは、
 'to post with such dexterity to incestuous bed'
 (あのように大急ぎで不義の寝床へ急いだ)


といっている。
 'incest'はは近親相姦という意味であり、当時の西洋(キリスト教圏)では、結婚した人の双方の兄弟(姉妹)は皆真の兄弟と見なしていた。


よって兄は死んで、弟が、兄嫁と結婚するのは、近親結婚となるのだ。


 ハムレットは、この結婚が近親相姦であり、言葉が悪いが、犬畜生の結婚であると唾棄していたのである。
 'It is not, nor it cannot come to, good;
  But break, my heart; for I must hold my tongue!'
 (これはよくないことだ、よい結果になることなどありえない。
  ああ、張り裂けよ、この胸! わたしは黙っていなくてはならないのだから)


 と、苦しんでいるところにホレイシオたちがやって来る。
ホレイシオたちの話がつじつまが合っていないことを見て取ったハムレットは、亡霊が本物か否かを探るため、彼らに質問する。



ハムレット 「武装しておられたというんだね」
一同    「武装しておられました。殿下」
ハムレット 「その時、顔を見なかったのだね」
ホレイシオ 「見ました、殿下、顔当てを上げておられましたから」
ハムレット 「では、顔をしかめておられたのか」''
ホレイシオ 「怒りというよりは悲しみのお顔でした」
ハムレット 「青ざめていたか、それとも赤かったか」
ホレイシオ 「いや、真っ青」
ハムレット 「君に眼をすえておられたか」
ホレイシオ 「じっと、わき目もふらずに」


とこんな感じだった。



 ハムレットは、自分で亡霊を見ようという意思を表明し、この後、彼の独白で、亡霊の出現は、何か不正が絡んでいるのではないかという考えをほのめかすのだ。


 'My father's spirit in arms! all is not well;
   I doubt some foul play: would the night were come!
   Till then sit still, my soul.  Foul deed will rise,
   Though all the earth o'erwhelm them, to men's eyes.'
 (父の亡霊が武装して? 何かよくないことがある
  不正があるのではないか。夜が来ればいい!
  その時までは静かにしておくれ、わたしの魂よ。不正の行いは
  例え大地全体が押さえつけようとも、必ず人の眼に現れてくるものだ)





「ハムレット」 舞台内容 一幕二場 (1)

2009-09-08 15:24:12 | 「ハムレット」

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 舞台は場内の会議の場である。
場には新国王クローディアスと家来たちが集まっており、中にはハムレット王子もいた。


 国王は彼らに向かって公式の演説をするのである。
これは、彼の口を借りて観客に舞台状況を説明させているのだ。


・ 現国王クローディアスは、先王(老ハムレット)の弟であること
・ クローディアスは、若い王子ハムレットを押しのけて、自ら王位に就いたこと
・ 即位後、先王の妃ガードルード(ハムレットの母)と結婚し、そのことについて貴族たちの同意を得たこと
この内容は、先王の死が非業のでなかったかという噂が一つも流れていなかったという証拠になっている。


 次にクローディアス新王は、ノルウェイ国王に対してノルウェイ国王の甥であるフォーティンブラスのデンマークに対する軍事行動を禁止させることを要求する使者を送る。


 そしてレアーティーズを紹介する。彼は宮内大臣ボローニアスの息子であり、オフィーリアの兄である。彼の望みは、父の反対を押し切ってパリに帰ることで、国王はそれを許可した。


 さらにクローディアス新王は、ハムレットの方を向く。
ハムレットの思い詰めた暗い顔と、何か咎めるような素振りは、国王と王妃の神経を逆立てる。
彼らは、素知らぬ顔をして、ハムレットに話しかけ、機嫌を取ったり、他愛のない話などして、彼の気分を転換させようとする。


 しかし、ハムレットは毒舌で、国王の言葉「甥であり、息子であるハムレット」に対し、冷たい、皮肉な言葉を返すのだった。



 'A little more than kin, and less than kind'
(身寄りというよりはちょっとばかり濃い間柄だが、自然の情愛は薄い)


 国王が、父親が子に先立って亡くなることは普通のことだ、などと決まり切ったことを言い聞かせ、「お前を私の子として扱おう、その証拠に、お前がウィデンベルグの大学に帰らないように頼むのだ」
と言うと、義務感の強いハムレットは、国に留まることに同意してしまう。
 その言葉を聞いた国王や妃、家来たちは、喜びの色をあらわしながら退場し、ハムレットが独り残された。


 ここで一度、ハムレットの境遇を整理してみよう。
 大学に在学中だった彼は、父の突然の死のため呼び戻された。
父親の葬儀後、一ヶ月余りで母親が叔父と再婚した。その叔父が国民の賛成を得て王位に就く。
ハムレットは、あらゆる思いやりを持って扱われ、王子にふさわしい待遇を受けるのだが、そんな外観とは違い、彼の内面(気持ち)は深く沈んでいたのだ。






ハムレットは独りになると、自殺について考えはじめる。

その原因は母親の急ぎすぎた結婚であった。



  O that this too sullied flesh would melt,
  Thaw and resolve itself into a dew,
  Or that the Everlasting had not fix'd
  His cannon 'gainst self-slaugther. O God! God!
  How weary, stale, flat, and unprofitable
  Seem to me all the uses of this world!
 (ああ、このあまりにも穢れた肉体が溶けて、
  流れて、露と消えてくれたらよかったのに。
  あるいは、神がその掟によって
  自殺を禁じてさえいなければ。ああ、神よ!神よ!
  この世のあらゆる事柄が、なんと気だるく、陳腐で、退屈で、
  何の役にも立たないように思われることか)


 太陽神のように立派だった父に比べたら、その弟クローディアスは、好色で半分けだものような男ではないか。父もあんなにも母を愛し、母も父が亡くなったときは、あんなにもすがりついて悲しんだのに、ふた月とかからず、あんな男と結婚してしまった。と、


 ここでかの有名な台詞
  Frailty, thy name is woman!
 (弱きもの、お前の名は女!)


となるのだ。



ここの"Frailty”は、「体力がなくてか弱い」という意味でなく、「性的な誘惑に対して弱い」という意味。(一応、断わっておきますが、これはヴィクターの考えではなく、あくまでシェークスピアの、言い換えれば、当時のイギリス社会の一般的な通念です)




 母ガードルードが、父の死後まもなく、その弟と再婚し、新しい夫に寄り添って幸せそうにしている姿に、ハムレットは「女」見てしまった。
 そして、そのことをハムレットはどうしても受け入れることが出来なかったのだ。


 母の再婚は、ある種の裏切り行為であって、さらには母に見た「弱さ」を女性全体に広げてしまう。
よって恋人のオフィーリアに辛く当たってしまう。(どう見ても八つ当たりなのです)



しかし、ハムレットも子供ではないのだから、母親に対するこのような反応は、いささか幼すぎるし、潔癖すぎる。
 どう見ても、世間知らずのマザコンお坊ちゃまだ。この手の男は、いくら王子様といってもボーイフレンドに持たない方が賢明だと思うのだが、ヴィクターは男なので、よく分からないが、反って、こういうタイプに母性本能を揺さぶられる、という女性がいるかもしれない・・・って余計なお世話か?




 
 



「ハムレット」 舞台内容 一幕一場

2009-09-08 00:01:48 | 「ハムレット」

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 城の番兵のフランシスコウが、城壁で深夜の見張りについているところに、十二時の鐘が鳴って、交代の番兵バーナードウがやって来る場面から始まる。


 ここでバーナードウが動き回っているフランシスコウを見て驚き、「誰だ、そこにいるのは?」と訊ねる。
本来なら番をしていたフランシスコウから訊ねるのが普通であるが、これはバーナードウが何かにビクついているからなのだ。




 彼が恐れているものは何か?それは前夜の夜に目撃した亡霊のせいで、フランシスコウが立ち去ろうとすると、バーナードウは心配となり夜番を共にするホレイシオとマーセラスに急いで来るようにと託けするのである。


 時間通りにホレイシオとマーセラスは現れるのだが、この二人の態度が対照的で、マーセラスは重々しくて、ホレイシオは陽気な態度である。
これは、マーセラスは、前夜の亡霊をバーナードウと共に亡霊を目撃していて、ホレイシオは、二人の話を聞いて、それが事実なのかを確かめに来たからだ。




 一時の鐘が鳴りると同時に亡霊が現れる。


 しかも亡くなった国王にとても似ていた。ホレイシオは直ちに亡霊に話しかけるが、亡霊は彼の言葉を無視して歩き去ってしまうのだった。
 ここでバーナードウとマーセラスは、ホレイシオに、亡霊が亡くなった国王に似ていることについて、その意味を訊ねる。そして議論する。




 彼らは、その議論において、近い将来に国家に良からぬことが起こる前兆であるのではないかと予測した。
 それは亡くなった先王がノルウェイのフォーティンブラス(シニア)から、領地の一部を奪い取ったことに恨みに思った彼の息子フォーティンブラス(ジュニア)が取り戻そうと企んでいるからだとした。


 その時、再び亡霊が現れた。


 そしてホレイシオが、また、亡霊に話しかけるのだった。
ホレイシオは、当時の迷信で亡霊が現れる理由とされる三つをあげる。



1.If there be any good to be done, that may to thee do ease and grace to me, speak to me.
(もしもお前の心を安め、また私の幸福をもたらすためになすべき、何か良いことがあるならば語れ)

2.If thou be privy tothy country's fate, which happily, foreknowing may avoid, O speak!
(もしもお前が国の運命を密かに知っており、予知をしたなら、多分、それが避けれるかもしれないというのであったら、さあ、語れ)

3.If thou hast uphoarded in thy life extorted treasure in the womb of earth――
(もしもお前が生きている時に、強奪した宝物を地中に蓄えておいたなら――)




 しかし、亡霊は何も語らずに、一番鶏の鳴き声を聞くと消えてしまった。


 そこで三人は事の次第をハムレットに語ることを決める。
われわれには何も語らなかった亡霊も、ハムレットであれば、語るかもしれないと思ったからであった。



ここで特筆すべきは、彼らが重要な事柄について思いつかなかったことである。それは、国王の死に不正(犯罪)が絡んでいるかもしれないということである。

 このことはデンマークの国民が現国王であるクローディアス新王を信認しており、新王を全く疑っていないことを意味する。つまり国民は、クローディアス新王を歓迎していたということである。




 さらにいえば、常に不安をもって眺められるのは、過去ではなく、未来であるということなのだ。