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「オセロー」 舞台内容 一幕一場  (1)

2009-09-22 20:51:13 | 「オセロー」

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 ヴェニスの街中で、ロダリーゴーとイアーゴーが話していた。
 Roderigo: 'Tush, never tell me; I take it much unkindly
            That thou, Iago, who hast my purse
            As if the strings were thine, shouldst know of this.'
 (ロダリーゴー:ええっ! 言うな。俺の懐をさんざん利用しておきながら、
         イアーゴー、おまえは、こうなることを
         とうに知っていたんだからな、薄情な話だぜ)


 舞台が始まったばかりだから、それぞれの立場、関係を速やかに明らかにする必要があるのだ。
この辺り、物語の導入の仕方は、さすがシェークスピアといったところでしょうか。
観客を、物語りに一気に引き込む力を感じる。




 ロダリーゴーとイアーゴーの関係は、犠牲者と犠牲を要求するもの。
イアーゴーは、何かの計画を着手しており、ロダリーゴーは、それに必要な資金を提供している。
そして、ロダリーゴーは、イアーゴーが何事かを隠していることに不満を抱いていた。
 Iago: 'Sblood, but you will not hrar me:
         If ever I did dream of such a matter,
         Abohor me.'
 (イアーゴー:とんでもないぜ。あんたは俺の言っていることを
        ちっとも聴こうとしないくせに。誓って、俺はそんなこと
        夢にも知らなかったんだ)


 二人の関係が、もう一つ明らかになる。
イアーゴーは、ロダリーゴーに軽口を叩ける立場であるということ。

 この二人を結び付けているものが、第三者に対する二人の恨みであり、その第三者は、二人に対し優勢な立場であることを明らかにしているのだ。


 Roderigo: 'Thou told'st me thou didst hold him in thy hate.
 (ロダリーゴー:あんた、奴が憎いって言ってたじゃないか)


 このあとに続くイアーゴーの言葉によって、その事実が知らせれる。




 イアーゴーは将校であり、イアーゴーが「彼」と呼んでいるは、上官で、その人物は、副官に就きたいというイアーゴーの望みを裏切った。


 そして、その裏切りに二つの理由から、イアーゴーの癇に障ったのだった。
第一に、自分が副官になるため、三人の身分高い人物から推薦を受けたのに、既に手遅れだったこと。
第二に、自分の代わりに副官に任命されたキャシオーという男は、イアーゴーの評価によれば、自分より遥かに劣る人物だったということだ。


 イアーゴーは、この屈辱を胸にたぎらせて、恥も外聞もなく恨みをぶちまける。
そして、いつか復讐するために、今は旗手の地位に甘んじているのだと告白するのだった。



 嫌だね~、 男の嫉妬ってやつは!!




 そして、復讐の機会を待つための、自分の猫かぶりを自慢するのだった。
 'For when my outward action demonstrate
   The native act and figure of my heart
   In compliment extern, 'tis not long after
   But Iwill wear my heart upon my sleeve
   For daws to peck at: I am not what I am.'
 (この俺の胸のうちを
  身振り手振り表に出すようなことをしたら、
  それこそ大変。この心臓を
  袖にぶら下げ、カラスに突っつかせた方がいい。
  俺様は見かけとは違うんだ)


 では、ロダリーゴーの恨みは、何であるのか。
それは、自分が好きでいる女を、その彼が妻にしてしまい、見事、駆け落ちをして、ロダリーゴーを出し抜いたからであった。



 しかし、嫉妬とは、恐ろしい。
アレクサンドル・デュマの「モンテ・クリスト伯」の中で、嫉妬について、こう述べている。
「嫉妬とは、本人があずかり知らぬところで生まれ育ち、大きくなる。厄介ですな。そして本人は全く何も悪くないのですから」、全くその通りですね。




 そして傷つけられた二人は、駆け落ちのことを知らせることと、そのあとを追わせるために、女の父親の元へ向かっているところだった。


 二人は、眠っている女の父親を、激しく騒いで叩き起こす。



 この作品「オセロー」は、イアーゴーの下品な毒舌ぶりが遺憾なく発揮されるところが見物なのだ。





「オセロー」 舞台内容 あらすじ

2009-09-22 04:31:00 | 「オセロー」

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 ヴェニス公国に仕えるムーア人の武将オセローは、元老院議員フラバンショーのひとり娘デズデモーナと愛し合うようになり、密かに結婚してしまう。


 一方、オセロー軍の旗手を務めるイアーゴーは、自分を差し置いてキャシオーを副官にしたことや、自分の妻エミリアとの不倫関係の噂があることなどの理由からオセローに恨みを持っていた。


 デズデモーナに横恋慕していたロダリーゴーは、金はあるが、少々お頭が弱い男で、イアーゴーは、彼を使って復讐を企てる。


 オセローとデズデモーナが、秘密結婚をしたと知ったイアーゴーは、ロダリーゴーと共にフラバンショーの元へ行き、露骨で卑猥な言葉を持ってして、その事実を伝えるのだった。


 折りしもトルコ艦隊が、ヴェニス公国領のキプロス島に向かっているとの知らせを受けて、'ヴェニス大公は緊急会議を開いていた。


 フラバンショーは、その場に駆けつけ、娘のデズデモーナが、オセローにかどわかされたと訴える。
しかし、その場にいたオセローが、自分とデズデモーナが愛し合うことになった経緯を語り、その場に呼び出されたデズデモーナも、自ら言葉で、オセローへの愛をはっきりと証言する。
二人の態度を見ていたフラバンショーは、渋々と二人の結婚を認めるしかなかった。


 オセローは、ヴェニス大公から、キプロス島行きを命じられ、新妻のデズデモーナも自ら願い出て同行することになったのだった。


 トルコ艦隊は、嵐のために自滅。
キプロス島では、勝利とオセロー将軍の結婚を祝って、酒宴が催される。


 イアーゴーは、酒に弱いキャシオーに無理やり酒を飲ませおき、ロダリーゴーを使って喧嘩を起させる。
喧嘩の騒乱の中、キャシオーは、前総督モンターノーに傷を負わせてしまった。
騒ぎのために新婚の床から呼び出されたオセローは、激怒し、キャシオーを罷免する。


 失意のキャシオーに、イアーゴーは、言葉巧みに近づいて、デズデモーナの執り成しを通じて復職を願い出るように勧める。


 イアーゴーの勧めに従い、キャシオーは、デズデモーナの元を訪れ、オセローへの執り成しを頼んだ。
そして、キャシオーが立ち去るところへイアーゴーは、オセローを伴って現れ、デズデモーナが、キャシオーと不倫を働いていると騙すのだった。


 さらに、デズデモーナが、うっかり落としてしまったオセローから貰ったハンカチを、彼女の侍女している妻のエミリアから手に入れると、それをキャシオーに拾わせ、浮気の証拠としてオセローに告げ口をする。


 イアーゴーからの話を聞いたオセローは、嫉妬に狂い、デズデモーナに問題のハンカチを出すように迫るが、ハンカチを失くしてしまったと思っている彼女は、それに応えられず、しかもキャシオーから頼まれた、彼の復職を執拗に迫るのだった。


 かたや、何も知らないキャシオーは、問題のハンカチを拾い、綺麗な柄だと思って、その柄を商売女のビアンカに写すように頼む。


 イアーゴーは、キャシオーにビアンカとの関係について語らせ、それを物陰からオセローに見せる。
キャシオーの得意な様子を見たオセローは、キャシオーが自分とデズデモーナとの関係を吹聴している誤解して、ますます逆上するのだった。


 そして、キャシオーとデズデモーナの不倫を頑なに信じてしまったオセローは、デズデモーナとキャシオーを殺すことを決意する。


 そこに、オセローをヴェニスに召還し、留守の間のキプロス島をキャシオーに任せるという手紙が届く。


 キャシオーにとって良い知らせをデズデモーナが喜ぶ姿を見たオセローは、彼女を人前で殴ってしまう。
さらにエミリアに、デズデモーナとキャシオーの関係を詰問するが、エミリアは、デズデモーナの潔白を申し立てる。
しかし、完全に邪推しているオセローは、エミリアが強く申し立てるほどに疑いを深めていくのだった。


 一方、イアーゴーは、自分が陰謀を企てたことを隠すため、ロダリーゴーを炊きたてて、キャシオーを殺すよう仕向け、あわよくば、二人とも亡き者にしてしまう計画を進める。


 しかし、ロダリーゴーは、キャシオー殺害に失敗し、自ら負傷を負う。
それを物陰から様子を伺っていたイアーゴーは、後ろからキャシオーを斬りつけ、足に負傷を負わし、ロダリーゴーを口封じのため殺害したのだった。


 デズデモーナを殺すことを決めたオセローは、人払いしてひとり待つ寝室の彼女の首を絞めてしまう。
目覚めたデズデモーナは、必死に命乞いをするが、オセローは、結局、彼女を窒息させてしまった。


 そこに、エミリアがやって来て、叫び声をあげた。
彼女の叫び声に人々が集まってきて、エミリアが、夫イアーゴーに問い質すうちに真相が明らかになっていく。
それに焦ったイアーゴーは、エミリアを刺し殺し、逃亡を図るが、オセローに取り押さえられてしまう。


 そして、やっと自身の誤りに気付いたオセローは、「賢くないが、深く愛しすぎた者」と言い残し、自らの短剣で自害してしまうのだった。