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「ハムレット」 舞台内容 二幕二場 (2)

2009-09-11 22:27:39 | 「ハムレット」

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 ハムレットは、学友のロウゼンクランツとギルデンスターンに再会できたことを喜んだ。
しかし、彼らの不自然な応対を見て、何かあるのではないかと、勘ぐるのだった。


 そこでハムレットは、巧妙な対話で彼らが国王と王妃から遣わされて、ハムレットの真意を探っていることを吐かせてしまう。


 そしてロウゼンクランツとギルデンスターンは、国に旅役者の劇団が来ていることを話し、話題は、劇の芸術的批評へと移る。


 ここでボローニアスが、彼らに加わり、浅薄なお喋りをするが、ハムレットは、亡霊が語った父の殺人の場面を劇にして、国王と王妃の前でさせることで、亡霊の言葉の真偽を確かめることを思いつくのだ。
 この種のことは、証拠固めが必要と考えてのことだ。
亡霊の言葉は、ハムレットしか聞いていないので、彼自身が、確かなる確証が欲しかったのだろうと思う。




 ひょっとしたら、あの亡霊は、悪魔からの囁きで、ハムレットを許さざる犯罪へと誘っているかもしれない。
しかし、亡霊のいうことが真実であるならば、国王が罪を犯した兆候を見せることが期待できる。
そうなれば、そのまま復讐に向かって行動すればいい。
       'I'll have these players
   Play something like the murder of my father
   Before mine uncle, I'll observe his looks,
   I'll tent him to the quick, if a' do blench
   I know my course... The spirit that I have seen
   May be a devil, and the devil hath power
   T'assume a pleasing shape, yea, and perhaps
   Out of my weakness and my melancholy,
   As he is very potent with such spirits,
   Abuses me to damn me; I'll have grounds
   More relative than this-the play's the thing
   Wherein I'll catch the conscience of the king.'
 (あの役者たちに、
  叔父の前で、父の殺害に似た芝居をさせ、
  顔つきを観察し、痛いところを探ってやろう。
  もしも奴がビックとしようものなら、処置のしようがある。
  私が見た亡霊は悪魔かもしれない。
  悪魔は人好きのする姿になる能力を持っている。
  そうだ、私の弱点と憂鬱に乗じて、
  そういう気分につけ込む悪魔が、
  私を欺いて破滅させるかもしれない。
  これよりももっと確実な根拠が欲しい――
  芝居こそ、国王の良心を罠にかけるのに打ってつけだ)


 これで二幕が終わる。



「ハムレット」 舞台内容 二幕二場 (1)

2009-09-11 12:42:00 | 「ハムレット」

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 城内の謁見の間にて、国王クローディアスと王妃ガードルードは、ハムレットの学友であるロウゼンクランツとギルデンスターンに仕事を命じていた。


 その仕事とは、「ハムレットを遊びに誘い、また、彼をあのように(狂気の振る舞い)悩ましながら、余には見当がつかぬが、もしそれが分かれば、余が救ってやれるかもしれぬので、機会あるごとに探って欲しい」というものだった。
 つまり、スパイしろ、というものだ。
 クローディアスは、抜かりのない男で、彼自身、自分の罪が誰にも知られていないと信じていながらも、不正に手に入れた今の地位を確保するため、注意深く用心していたのだ。

 そしてハムレットの行動が変化すると、その原因を突きとめようと動き出す。
 クローディアスは、考えたのは、ハムレットが王位継承の望みを失って失望しているのではないかということだった。
 そこで、その見当が正しいかどうかを確かめるためにロウゼンクランツとギルデンスターンを使ったのだ。




 ハムレットの学友たちが退場すると、入れ替わるように大臣のボローニアスが、ノルウェイへ送った使者を伴い登場する。
 さらにボローニアスは、「ハムレット様の狂気の心因を突き止めました」と述べる。


 クローディアスは「話してくれ。その言葉を待っておったぞ」と、もどかしいそうにいった。
ガードルードは少しは良心が咎めるのか「あの子の父の死と、私たちの急ぎすぎた結婚が原因でないかと思います」と話す。


 しかし、ボローニアスは、ノルウェイへ送った使者の話を先に済ませ、ハムレットに話は、その後でということに。


 ノルウェイへ送った使者の話の内容はノルウェイ国王が命じて、甥のフォーティンブラスがデンマーク攻略のために召集していた兵を、そのままポーランド征伐に向けることになったというものだった。


 次にボローニアスが、ハムレットがオフィーリアに送ったラブレターをネタに話し、ハムレットの狂気の原因は、オフィーリアがハムレットを振ったことにあると説明する。


 そしてオフィーリアをハムレットの下へ「放ち」('loose')、彼と国王が物陰に隠れ、成り行きを見守ることを提案するのだった。
 このボローニアスという男は、どこまで下劣なのだろうか?
「放ち」('loose')という単語には、もう一つの意味があって、「売春宿のオヤジが、売春婦を男に宛がう」という隠語なのだ。
 自分の娘に対し、よくも、まあ、こんな言葉を使うな~、と空いた口が塞がらないですよ。




 この時、ハムレットが国王たちがいる謁見の間に入って来た。
そしてボローニアスとの会話が始まる。
 二人に話が食い違うところが面白い。ハムレットの秘密を知る聴衆に取っての彼が喋る言葉の意味と、秘密を知らないボローニアスに取っての言葉の意味の受け取り方がスレているのである。




 狂人を扱うのに礼儀はいらぬと考えるボローニアスは「私をご存知ですか?殿下」('Do you know me, my load ?')と訊ねるのだが、それに対してハムレットが「お前は魚屋だ」('You are a fishmonger')と答える。
 しかし、この「魚屋」('fishmonger')にも、隠語があって「売春宿の亭主(オヤジ)」という意味がある。




 表向きの意味を取ったボローニアスは、「とんでもございません」('Not I,')といい。
するとハムレットは、「お前が魚屋(売春宿の亭主)くらい正直者(金にうるさい)であるといいのにね」('Then I woulk you were so honest a man,')と皮肉るのだ。


 そして、出し抜けに「お前には娘がいるか?」('Have you a daughter ?')と訊ねて、さらに
 'Let her not walk i'th' sun. 
   Conception is a blessing, 
   But as your daughter may conceive,
   Friend, look to't.'
 (日向を歩かせないように、腐ってしまうからね、
  世間のことを理解するは結構だが、
  ついでとんでもないことになりかねない。
  友よ、気を付けよ)


 ここも隠語が使われている。
 「理解する」('conceive')には「妊娠する」という意味がある。よって、ここは「世間のことを理解するは結構だが、ついでとんでもないことになりかねない」は、「男女のことを理解するのはいいが、放っておくと妊娠させられるぞ」という意味なのだ。




 ハムレットにとってオフィーリアは、既に何でもないのに、ボローニアスは、ハムレットが狂人になっても娘のことに夢中になっていると思い込んでいた。


 そして二人が、やり取りをしているところにロウゼンクランツとギルデンスターンが登場する。