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「ハムレット」 舞台内容 一幕四場

2009-09-09 20:58:25 | 「ハムレット」

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 夜となり、酷く寒い中を、ハムレット、ホレイシオ、マーセラスの三人は、城の胸壁の上の歩廊で亡霊が現れるのを待っている。


 城内では国王たちが派手な酒宴を開き、徹夜で大騒ぎしている。
そんな騒ぎ声が、彼ら三人に届いてくるのだった。


 ここでハムレットは、デンマーク国民が大酒呑みでというあるという悪評に触れ、その習慣を非難し、禁止すべきだあると、彼自身の考え方を披見する。
 一見するとこの場面は、ストーリー上、必要がないように見える。
しかし、作者シェークスピアは、何らかの意図を持って挿入したに違い。それを推測してみると二つのことが考えられる。
 一つ目は、観客に対し、ハムレットの性格について重要な知識を与えるため。
 二つ目は、劇の理解を助けるためのヒントを与えるため。
ではないだろうか?

 一つ目は、ハムレットの性格が客観的なものではなく、主観的なもので、彼は物の表面を掴むことだけでは満足できず、その奥の奥まで求めるタイプであるということ。
 二つ目は、主人公ハムレットの性格の一部のみで、彼を理解せずに、劇の全体から、ハムレットという人間を理解して欲しい
ということではないだろうか?




 ハムレットが、自分の見識を述べている最中に亡霊が現れる。
 'Be thou a spirit of health, or goblin demned,
   Bring with thee airs from heaven, or blast from hell,
   Be thy intents wicked or charitable,
   Thou com'st in such a quesiionable shape,
   That I will speak to thee.'
 (お前が幸福の亡霊であっても、地獄に堕ちた悪鬼であっても、
  天からの空気を、または、地獄からの毒気を持って来ても、
  お前の目的が邪悪であっても、慈悲深くても、
  お前は、話しかけてもよさそうな格好をして現れてから、
  私は話しかけるのだ)


 ハムレットの二者択一のような問い掛けが続き、それに対して亡霊は無言でハムレットを手招きする。


 そして、ハムレットは、心配するホレイシオとマーセラスの静止を振り切って亡霊の後を追って行くのである。



「ハムレット」 舞台内容 一幕三場

2009-09-09 10:47:49 | 「ハムレット」

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 場所は、宮内大臣ボローニアス大臣家の一室。
ここは夜になるまでの繋ぎの場面で、いわば間奏に当たる。


 パリへ出発するレアーティーズが、妹のオフィーリアに別れを告げに来る。
彼は、オフィーリアとハムレット王子との間柄について、自分の認識に基づき意見を述べる。


 ハムレットの求愛は真面目なものではなく、王子というものは大臣の娘などとは結婚しないという、彼なりの理論を展開し、オフィーリアに対し行為を慎重にするようアドバイスする。
 自分の意見を持たない、ボローニアス家の綺麗なお飾り人形のようなオフィーリアは、一も二もなく兄に同意してしまう。
 'I shall the effect of this good lesson keep,
   As watchman to my heart.'
 (ただいまの良いご教訓の意味を、
  心の番人として大事にします)


 シャークスピアの悲劇のヒロインの中で、オフィーリアほど頼りない女性はいない。彼女の精神年齢は低く、全く自立していないのだ。




 そんなやり取りの中、父のボローニアスが登場する。
  彼はこの劇の喜劇的な人物で、精神の高潔さが欠けている、というよりも全くないのだ。
ボローニアスの口から出る言葉は、古今の格言や諺が散りばめられていて、それ自体、立派なのだが、彼の行動がそれに似合っていないどころか、正反対の行動するので、そこが滑稽に映る。
観客の失笑を買う、冷めた笑いといったところ。
 例えば、優に一ページ以上のおしゃぺり(台詞)するのだが、その話の中で「考えたことを口に出すな」などという言葉がついて出てしまう。




 ボローニアスは、パリに旅立つ息子に対し、的外れなアドバイスを送る。
「おまえ自身に忠実でありなさい。そうすれば、例えば夜が昼に続くように、おまえが誰に対しても事実ではありえないということにきっとなる」と、
 このこと自体、何を言っているのかよく分からないのだが、最悪なのは息子のレアーティーズの性格を全く心得ていない。知らなさ過ぎなのである。
 瞬間湯沸器みたいな血の気の多いレアーティーズに「自身に忠実でありなさい」などといえば、どうなるか、全く理解できていない。




 レアーティーズは、いざ出かけようとする別れ際に妹オフィーリアに対し、先程のアドバイスをよくよく憶えておくようにと念を押す。
 それに対し、オフィーリアは、
 ‘'Tis in my memory locked, and you yourself shall keep the key of it.'
 (そのことは私の記憶の中にしまって鍵をおろしましたから、お兄様は、その鍵を持っていらして)


 立派な言葉なのだが、その直後、父のボローニアスが「今、レアーティーズはお前に何と言っていたのか」と聞くと、
 'So please you, something touching the Lord Hamlet.'
 (ハムレット様のことをおっしゃていましたのよ)


と、自らおろした錠前を開けて、兄との秘密を暴露するというお間抜け振りを披露してしまう。
 つまり、何も考えていない、だからお人形さんといわれてしまう。




 ボローニアスは、ハムレットに対して、息子のレアーティーズと同意見で、純粋な愛情の深さを理解することが出来ない。
彼は、ハムレットの言葉を、女たらしの決まり文句にしか見れない。
そして、最悪なのは、オフィーリアも同類という点で、人形でなくて自立した一個の人間であれば、恋人の真情を理解できたのではないだろうか。少なくとも、何か、感じ取ったであろう、と思う。


 'I do not know, my load, what I should think.'
 (どう考えていいのか分かりませんわ。お父様」


 しかし、彼女は、こんな具合なのだ。全く頼りにならない。
そして、父から「これ以上、ハムレットと話してはならない」と命ぜられると、「お言いつけ通りにいたします。お父様」と答える。
 もっとも親しいはずの母と恋人が、こんな有り様では、ハムレットが絶望するのは当然なのかもしれない。