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「ハムレット」 舞台内容 三幕一場

2009-09-12 15:12:23 | 「ハムレット」

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 謁見の間にて、ハムレットが、学友のロウゼンクランツとギルデンスターンに再会してから、一日が経過した。


 国王クローディアスは、ロウゼンクランツとギルデンスターンからの報告を受けるが、彼らが上手くハムレットの真意を聞き出せなかったことを感じると、昨日、ボローニアスが提案した、オフィーリアとハムレットを引き合わせて、物陰から、その様子を探ることを実行に移すのであった。


 オフィーリアは、王妃ガードルードに励まされて、彼女の失ったハムレットからの愛情を取り戻そうとする。
 オフィーリアは、今でもハムレットを愛している。
あんな仕打ちをしておきながらと、思うかもしれないが、それは現代人の自分たちだから、いえることであり、当時の貴族娘からすれば、当然であったのかもしれない。

 当時の貴婦人は、女性から男性に言い寄るのは、はしたないと思われていたし、男性の気持ちを確かめるために、何度も、わざと連れなくすることなどは、常套手段だったのだ。




 ここで、かの有名なハムレットの台詞が入る。
 'To be or not to be, that is the question:
   Whether 'tis nobler in the mind to suffer
   The slings and arrows of outrageous fortune,
   Or to take arms against a sea of troubles
   And by opposing end them. To die - to sleep,
   No more; and by a sleep to say we end
   The heart-ache and the thousand natural shocks
   That flesh is heir to: 'tis a consummation
   Devoutly to be wish'd. To die, to sleep;
   To sleep, perchance to dreams may come,
   When we shuffled off this mortal coil,
   Must give us pause - there's the respect
   That makes calamity of so long life.
 (生きるべきか、死んだ方か良いのか、それが問題だ。
  気高くあるためには、どちらが良いのだろうか。
  非道な運命の矢弾を耐え忍ぶか、
  あるいは、大波のように押し寄せてくる苦悩を武器を取って立ち向かい、
  踏みとどまり、苦悩を断ち切るか。死ぬことは眠ること。
  ただそれだけだ。その眼りによって、終わりにすることが出来るのだ。
  心の痛みも、肉体に降りかかる幾千の苦しみも。
  願ってもない決着の付け方ではないか。
  死ぬことは眠ること。
  眠れば夢を見るかもしれない。そうか、それが困るのだ。
  たとえこの世のしがらみを振り捨てたとしても、
  死の眠りの中でどんな夢を見るのか分からないではないか。
  悲惨な人生をやたらと長引かせてしまうのだ)


 余りのも有名な、この台詞を取り上げないわけにはならないでしょう。
「ハムレット」作品の内容を知らなくとも、「生きるべきか、死んだ方か良いのか、それが問題だ」という台詞を知っている、という人は多いはず。

 とても単純な台詞にもかかわらず、とても奥が深いのだ。
「生きるべきか」('To be')は、「非道な運命の矢弾を耐え忍ぶ」に繋り、「死ぬべきか」('not to be')は、「大波のように押し寄せてくる苦悩を武器を取って立ち向かい、踏みとどまり、苦悩を断ち切る」に繋っていている。
 ハムレットは、このままの状況で死んだように腑抜けになって、生きながらえるのか、それとも復讐に生き、志に殉じていくか、悩んでいるのだ。
 復讐を果たすことは、その後、どうなるか分からないが、死を覚悟して臨む、ということで「死ぬこと」('To die')へと続く。つまり、志に殉ずることを意味する。

 この台詞は、もっとじっくり考察したいので、別の機会に取り上げるつもり。




 そしてオフィーリアは、謁見の間に続く大廊下でハムレットに出会うのであった。
ハムレットとオフィーリアとの会話の中で、ハムレットが述べた言葉は、オフィーリア、ボローニアス、クローディアスの三人に、それぞれ違った思いを抱かせた。
 ここのハムレットとオフィーリアの場面は、「ハムレット」の中でも見ものなシーンではあるで、これも別の機会に取り上げようと思っているで、割愛します。

 オフィーリアは、ハムレットがいよいよ狂気になったと信じ込んだ。(ある意味、ハムレットを慕うオフィーリアも、彼の後を追って気が触れてしまった、ともいえるかも……)
 ボローニアスは、オフィーリアに対するハムレットの恋が消え去ったことに満足する。
 たが、クローディアスだけは、ハムレットが狂気の振りをしていることを見抜いた。




 クローディアスは、直ちに行動に出る。(ハムレットとは正反対で、彼は行動力がある)
これ以上、自分に迫る危険が大きくならない芽のうちに摘んでしまおうと、ハムレットをイギリスへ、厄介払いしてしまうと考える。(まだ、この段階では、殺してしまうとまでは思っていない)


 ボローニアスは、国王の計画に賛成し、芝居の後で王妃とハムレットを合わせて、彼女に謎(ハムレットの狂気の真意)を解かせて、もしも、それを王妃が出来なかったならば、ハムレットをイギリスに送るか、監禁すればいいと提案する。


 国王は、この意見に賛成した。
 'It shall be so !
   Madness in great ones must not unwatched go.'
 (そうさせよう!
  身分の高い者の狂気は、監視しなければならない)