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「オセロー」 舞台内容 一幕三場 (2)

2009-09-26 20:15:42 | 「オセロー」

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 オセローたちと別れたロダリーゴーとイアーゴーが、道すがら話をしている。


 ロダリーゴーは、デズデモーナを盲目的に恋着していて、この決着に納得がいっておらず、さりとて、どうしようもない状況に手をこまねくしかできないのかと嘆いていたのだ。


 そして、イアーゴーは、この愚鈍なロダリーゴーを利用し、復讐の道具にすべく、丸め込んでしまうのだった。
 ロダリーゴーは、デズデモーナ命のストーカー。
お頭は弱いが、どこぞの金持ちのぼんぼんなので、金は持っている。
その金をイアーゴーは、当てにしていたのだ。
イアーゴーから、デズデモーナがオセローに飽きたら、ロダリーゴーのところへやって来るなどという他愛もない言葉を信じてしまう。




 イアーゴーは、ロダリーゴーにオセローたちを追ってキプロス島へ向かうことを勧め、ロダリーゴーも、それを了承し、彼らの後を追うため、この場を去り、イアーゴーがひとり取り残された。
 イアーゴーは、男の正直も、女の貞節も、これっぽちも信じていない。
人格における高貴さなど、全く理解できず、常に疑いの目で他人を見るのだ。

 そして、自身の妄想が事実であるかのように言いふらし、自分が信ずるところの良心は、如何に自身の悪事を言い逃れできるか、なのである。




 かくしてイアーゴーは、オセローが自分の妻のエミリアと不倫を働いたのではないかという妄想を、無理やり自身に信じ込ませ、自らの卑劣行為を正当化する。
 もちろん、二人の不倫など、根も葉もない偽りなのだ。




 そしてイアーゴーは、今後の計画を洗いざらい独白するのだった。
 'Thus do I ever make my fool my purse;
   For mine own gain'd  knowledge should profane,
   If I would time expend with such a snipe,
   But for my sport and profit. I hate the Moor;
   And it is thought abroad, that'twixt my sheets
   He has done my office: I know not if't be true;
   But I, for mere suspicion in that kind,
   Will do as if for surety. He holds me well;
   The better shall my purpose work on him.
   Cassio's a proper man: let me see now:
   To get his place and to plume up my will
   In double knavery――How, how ? ――Let's see: ――
   After some time, to abuse Othello's ear
   That he is too familiar with his wife.
   He hath a person and a smooth dispose
   To be suspected, framed to make women false.
   The Moor is of a free and open nature,
   That thinks men honest that but seem to be so,
   And will as tenderly be led by the nose
   As asses are.
   I have't. It is engender'd. Hell and night
   Must bring this monstrous birth to the world's light.'
 (かくのごとく、いつも阿呆が俺の財布となる。
  あんな馬鹿と時間をつぶすには、こっちの気晴らしや
  儲けにならなければ、俺の知恵を汚すことになっちまう。
  俺はムーアが憎い。世間の噂じゃ、奴は俺の寝床に這いこんで、
  俺の代わりを務めたという。嘘か真実か知らんが、
  俺って奴は、そんな疑いがあるだけで、確かな証拠を握ったかのように
  ハッキリしなけりゃ気がすまぬ。奴は俺を信用している。
  それだけに、こっちは仕事がやりやすい。
  キャシオーの奴は男前。ええと…… そこでだ。
  あいつの地位を取り上げて、俺の仕返しをまんまと遂げる、となりゃ、
  一石二鳥となるが、―― どうして、どうして?――
  しばらく後で、キャシオーが、あんたの奥さんと親しすぎると、
  オセローの耳に吹き込んでやる。
  あいつは見てくれがいいし、お人好しで、疑いが掛けられるように
  できている。女たらしにゃ、はまり役。
  ムーアの方は実直な性格で、見かけが、高潔そうにしていれば、
  芯までそうだと思い込む。ロバのように鼻面を引き回せば、
  やすやすとどこまでもついてくるぜ。
  よし、これだ。計画はできたぜ。あとは地獄と闇の力で
  この怪物に日の目を見せてやるばかりだ)


 可哀相なのはオセローだよ。露も知らずにこんな酷い悪巧みの餌食になろうとしている。
どうしたら、逃れることができるかだけど、これは悲劇、逃れられない。




 これで一幕は閉じる。



「オセロー」 舞台内容 一幕三場 (1)

2009-09-26 03:27:37 | 「オセロー」

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 元老院会議室では、ヴェニス公爵や議官たちがトルコ艦隊におけるキプロス島サイプラス攻撃について話し合いをしている最中であった。


 オセローが、フラバンショーとロダリーゴー、イアーゴーを伴って入ってくる。


 フラバンショーは、家庭の大事に逆上し、国家の危急を忘れ、自分の苦情を聞かれることを主張した。
それはオセロー将軍が、香具師(、露店で興行・物売り・場所の割り振りなどをする人。俗に的屋)から買った魔法の薬で娘を瞞(だま)し、堕落させたと告発。
 イアーゴーの口車なんかに乗ってしまうとは、あなたは、それでも元老院議員ですか?って、父親は、娘のことになると、盲目になってしまうのかもしれないですね。

 反面、それだけイアーゴーが狡猾ということだろうか。




 元老院は、それを厳粛に受け止め、オセローに弁明させるのだった。


 オセローの率直な言葉は、あくまで冷静におこなわれ、先ず、デズデモーナの出廷を要求し、そのあとで、彼がいかに彼女との恋に成功したかを語る。


 オセローは、もともとフラバンショーとは、知人の仲で、しばしば彼の家に招かれて、オセロー自身の生涯を語った。


 その内容は、不幸な災厄、海上や戦闘での恐ろしい体験、危機一髪で危険を脱した話、残忍な敵に捕らえられて奴隷として売られ、そのあと身請けされて、諸国を遍歴した話、大きな洞穴、人跡のない荒野等々、数々の逸話をデズデモーナが聞きたがったため、何度も彼女の元に足を運ぶうちに、オセローに思いを寄せるようになった。
それを彼が察して、彼女に求愛したというもので、魔法で欺いたのではない、というものだ。


 話を聞いていた公爵は、オセローを支持する。
 'I think this tale would win my daughter too.'
 (この話を聞いたら、私の娘も心奪われるであろう)


 そしてデズデモーナがやって来て、オセローの主張を証明した。
彼女の心は、父に対する孝心と夫に対する愛に両分される。
             'but here's my husband,
   And so much duty as my mother show'd
   To you, prefering you brfore her father,
   So much I challenge that I may profess
   Due to the Moor my lord.'
       (けれども今は夫がおります。
  お母様が、お父様をご自分のお父様より
  大切になさりましたと同様に、わたくしも
  夫のムーアにお仕えしなければならないと
  思います)


 これは、オセローとデズデモーナの急すぎた行動によって家庭に投げかけた影に対する父親の悲しみを描くことで、この新婚の二人の出発が、これから起こるであろう悲劇の発端になっていることを示すためなのだ。

 とはいっても、とどのつまり、父親は、いかなる理由があろうとも、娘の結婚に反対なんだよね。




 一応の決着がついたが、オセローは、直ちにキプロス島へ向かわなければならない。
 新婚早々、戦場に出向く必要に負われるのは、大変だけど、将軍という立場上、仕方がないことなのだ。


 そしてデズデモーナは、自ら願い出て夫のオセローと共にキプロス島へ行くことになる。
 彼女は、武人の妻になることを選んだのである。共にその運命を分かち合おうと決意していたのだ。
さすがだねー。妻の鑑ですか? 彼女は、「ハムレット」のオフィーリアと違い、良家の娘とはいえ、しっかりした自分を持った自立した女性なんだね。




 オセローは、先発隊として、直ちに出発し、デズデモーナは、旗手のイアーゴーの護衛で後から、彼を追うことになったのだった。
 オセローは、イアーゴーをまったく疑っていない。
それどころか、全幅の信頼をおいているのだ。あー、これこそ、まさに悲劇!!

 ここまでで、各主要な登場人物の性格を描いている。




 自らの誤りを知ったフラバンショーは、オセローたちに別れの言葉を口にして去っていたのだった。
 'Look to her, Moor, if thou hast eyes to see:
   She has deceived her father, and may thee.'
 (ムーア、君によく見える眼があったら、気をつけろ、
  その女は、自分の父親を欺いた。君も欺かれるかもしれん)


 フラバンショー、いくら何でも自分の娘の結婚に反対だからといっても、折角の晴れの門出にもっと言い様があるんじゃないんですか?
かわいそうなデズデモーナ。
でも、父親って、こんなものなのかなぁ?

 しかし、この言葉が、後の現実になってしまうのだ。
恐るべし。ある意味、予言てっか? 父親の勘??




 そしてオセローはキプロス島へ向けて出発するため、デズデモーナと共に退出した。