生体防御の話
広い意味での免疫の仕組みの最前線の体の働きを生体防御という。
人間の体は、外界と常にいろいろな面で接しています。その体の最前線が、皮膚、粘膜で、体内の入り口となる、口、鼻、眼、耳、肛門、尿道口、膣があります。そして、体内を通過する食物の通り道である口、のど、食道、胃、小腸、大腸、直腸と、空気を吸い、酸素を取り込む鼻、のど、気管、気管支、肺があります。これらは、すべて外界と接触しています。
これらには、すべて防御機構が働いていて、無数の生命体が共存共棲し、外界からの多くの有害な微生物の侵入者を排除してくれます。
1. 皮膚は薄いのですが真皮と表皮があり、皮膚の表層部は絶えず新陳代謝され、一番表面の細胞が角化し、垢(アカ)となって脱落して行きます。この角質層は20ミクロン(100分の2ミリ)程の厚さであるが、細菌は直径1ミクロン程度だし、ウイルスは0.1ミクロン程度なので簡単に侵入できないし、外来の微生物や病原体はアカと共に脱落していく。また一方、強力な微生物が侵入しようとしても、成熟した人の皮膚には、1平方cmの面積の中に10万前後の微生物が住んでいて、外来の病原体を排除してくれます。
2. 空気は普通、鼻と口から入ります。鼻、口の中、のどなどの粘膜にも細菌をはじめ多くの微生物が住んでいて(常在細菌叢)外来の微生物と闘って排除してくれます。特に鼻の働きは優れていて、三層の粘膜のひだがあり、吸い込まれた空気は、鼻の中で乱反射し、そこで粘膜に外来の微生物や異物を吸着し、温度と湿度を付与し、気管へ送るのです。
口で呼吸しても、のどの粘膜で防御しますが、鼻を通した方がより防御の働きが大きいのです。それで温帯に住む人の鼻は低く、熱帯や寒帯に住む人の鼻は中の容積を大きくするため、高いのです。
ここを無事通過しても、気管や気管支の表面の粘膜上皮細胞にとらえられ、この細胞の繊(せん)毛によって外へ運び出され、痰となって吐き出されたり、飲み込まれたりします。そこを通過できても、肺胞の粘膜は酸素と炭酸ガスを交換する場で、血液と空気が接触し、血液中の免疫細胞が肺胞の表面で病原体や異物を食べてしまいます。これらを突破した病原体が繁殖し病気を起すのです。
3.口の中にも常在する細菌やカビ、ウイルスたちがいます。約1mLの唾(だ)液にも約1千万個の細菌が住み(年齢、虫歯の数、歯の衛生状態により変動)、歯垢(しこう)の30%は細菌です。虫歯を作るミュータンス菌もいます。口の中の粘膜は、食事や口や歯を動かす時に歯や食べ物によって傷つけられますが、傷口で白血球が闘い、防御し、傷も修復して治ります。粘膜の小さな傷は、出血してもすぐ止まります。それだけ粘膜の回復が早いのです。口内炎ができるのは、その働きが低下している時です。だ液は、口の中をきれいにしてくれます。だ液は沢山出た方がよいのです。だ液には消化作用もありますが、大量の高濃度の糖分を取ると、虫歯になりやすいのです。コーラ、炭酸飲料、スポーツドリンクが、虫歯になりやすいのは高濃度の糖分を含むからでしょう。でも子どもに糖分(グルコース)は脳の代謝に必要ですから、食事の時にまとめて糖分の多い食べ物わ食べさせて、食後にお茶を飲ませ(できれば歯磨きをする)、後はだ液の働きに任せます。
4.眼の中にも、細菌やウイルスたちが住んでいます。目をこすり過ぎると結膜炎を起すのは、目の中の細菌が混乱して起すのです。涙は、目の中の乾燥をふせぐだけではなく、細菌やカビやウイルスが住んでいて、外来の細菌やウイルスなどの病原微生物を排除してくれているのです。涙は寝ている時は、出なくなるので、起きた時の少量の目やには、涙が乾燥してできたものなので、心配ありませんが、大量に出るのは結膜炎のことが多いです。
5.耳の中にも細菌たちが住んでいて、外来の細菌などの微生物を排除してくれますし、耳の中の粘膜は、鼓膜の中央からできて、耳の中を移動して外耳道の粘膜となり耳の出口で、垢(あか)となって排泄されます。耳あかも一部は細菌です。耳の粘膜の移動と、顎(あご)を動かすと、外耳道(耳の通り道)も上下に動き、協調して耳あかを外へ出してくれますから、耳あかの掃除はしなくても、自然に出てきますから、しなくてよいのです。耳あかがつまるのは外耳の病気です。人と同じ耳の構造をもつ猿たちは耳掃除をしません。
耳あかには、乾燥したものと湿ったものがありますが、遺伝によります。
6.尿道にも、皮膚と粘膜の防御システムがあり、普通は細菌が入って来ても、尿によって排出され、微生物の定着や繁殖を阻止し、膀胱へたどり着くのを阻止しています。でも、その働きが低下した時に(免疫が低下した時、つまりストレスなどで起きる)、特に乳幼児と女性に膀胱炎が起きます。女性は尿道の長さが短い事と、出口周辺が便に汚染されやすいことが、なりやすい条件を作っています。しかし、免疫の働きが低下しなければ、なることはありませんし、誰でもなる訳ではなく、70歳までにおよそ20%の女性がなると言われています。なりやすいタイプの人が、免疫が低下した時に(ストレスなどで)なるのです。
子どもは、特に尿道も短く、防御の働きも出来上がっていないし、おむつをしていると特に、男女共に膀胱炎は多いのですが、子どもと高齢者は症状を訴えません。そこで、無症候性細菌尿と言います。おむつをしている子の15%位いると言います。
男の子は、包皮という皮膚の皮をかぶり、亀頭(ペニスの先端)が外に出ていないのでおしっこをすると、おしっこは膀胱の出口で止めるので、そこから先の尿道の中には残っていますから、それが包皮の下にたまったり、ちょろちょろ外へ出てしまいます。包皮の下にたまり、そこに住む細菌によって亀頭包皮炎を起し、うみがたまっておちんちんの先が赤くはれて来ます。尿道口が出るくらいに包皮がむけていれば、ならないのですが、むけていない場合には、お風呂に入った時に少しずつむくことと、自分でできる5~6歳になったら、おしっこをする時に、包皮をむいて尿道口を出して排尿させ、終わったら尿道に残っている尿を、おちんちんを振っておしっこを振り切ることを教えます。
7.肛門も、内側は直腸で腸内細菌たちがいて、防御してくれます。出血も粘膜ですから少量のものは、口の中と同じように、すぐ止まります。
8.膣の中は、口の中と同じように、常に粘液が出ていて、常在細菌や微生物もいて、外来の微生物を排除してくれますが、その仕組みが出来上がっていない子どもでは、しばしば膣炎やその周辺の粘膜や(膣前庭炎)皮膚の炎症を起こします。下着が汚れたり、排尿時に痛がったり、かゆがったりします。
9.胃は1日2~3Lの胃液を出し、胃液は強酸性(空腹時のph1~3から、食事後の5~6と変動)ですから、それを突破して生き延びられるのは僅かで、大部分の微生物は胃酸で死んでしまい、通過できません。かぜのウイルスも、インフルエンザウイルスも5歳以下の子どもでは通過できますから下痢をしますが、8歳以上では下痢をしません。通過できるのは、胃腸専門の腸管ウイルスです。ピロリ菌は胃内の常在菌ではないかとも言われています。それがストレスなどで人の抵抗力が落ちた時に、悪い働きをするのではないかとの考えもあります。胃潰瘍や胃がんがピロリ菌だけのせいで、なるとは思われません。ピロリ菌がいても、胃潰瘍が起きていない人もいますから。
10.胃を通過しても、小腸上部では強いアルカリ性の消化液があり、防御しています。しかも腸内には、多くの細菌が住み着いており、外来の細菌などの微生物を排除しようとします。小腸上部には、少なくとも腸内容1g当り1万以下ですが、小腸下部では10万から1千万、回腸下部でも1千万になります。
11.大腸では腸内容1g 当り数千億(3千億から5千億)、その種類は100種類以上という。これらが、大腸内の細菌や微生物の繁殖を排除してくれています。
出生直後の赤ちゃんの大腸には、菌はいないが、すべての赤ちゃんは48時間以内に、人の常在菌である大腸菌が住み着きます。大腸菌は人にとって大切な菌です。しかし、時々病原性大腸菌も、腸内での自然の遺伝子組み換えと言われていますが、存在し、体調の悪い時に発病します。
便の3分の1は、細菌で、大部分は嫌気性菌なので、外へ出て酸素にさらされると死んでしまいます。
12.これらの常在微生物、つまり人の体に常在し、人と共存、共棲している常在細菌や、ウイルス、かびなどの微生物は、年齢によっても変化するし、家族ごとによっても変化します。普通、同じ家族は、同じ菌をもっています。人は成長し、結婚すると相手と常在細菌が混合して変化し、平衡状態になり、落ち着きます。そして子どもたちは親と同じになります。複数のセックスパートナーを持っていると、また変化します。しかし、同じ家族でも、年をとり高齢になるとまた変化していきます。
13.最近話題になってきた、インフルエンザb型桿菌(ヒブ)、肺炎球菌も、溶連菌も常在菌の一種ですから、それに対応してワクチンを接種することに疑問があります。抵抗力が落ちた時に悪さをするので、健康に生活している人には、病気を起こしません。
14.インフルエンザウイルスや胃腸炎を起こすノロウイルスは、常在菌ではありませんが、自己保存のため、自己規制ウイルスと言われていて、ある程度繁殖すると繁殖を止めてしまいますから、かかった人を死なせず、それで次から次へと感染して、繁栄するので流行するのです。そして毎年少しずつ変化して、人の抗体をかわしていくのです。
15.帯状疱疹も水痘ヘルペスウイルスが、水痘に感染後住み着いて起こす病気ですし、口唇や外陰部のヘルペスも同じです。
16.子宮頚がんを起こすパピローマウイルスは、いぼを起こすウイルスの仲間で、接触(性行為)によって感染し、しばらく常在します。自然治癒率の高いウイルスですので、ワクチンをしても、意味が無い事もあるし、ワクチンを接種しても子宮頚がんを発病することが少なくなく、子宮頚がん検診を欠かせないのです。
文責 黒部信一
広い意味での免疫の仕組みの最前線の体の働きを生体防御という。
人間の体は、外界と常にいろいろな面で接しています。その体の最前線が、皮膚、粘膜で、体内の入り口となる、口、鼻、眼、耳、肛門、尿道口、膣があります。そして、体内を通過する食物の通り道である口、のど、食道、胃、小腸、大腸、直腸と、空気を吸い、酸素を取り込む鼻、のど、気管、気管支、肺があります。これらは、すべて外界と接触しています。
これらには、すべて防御機構が働いていて、無数の生命体が共存共棲し、外界からの多くの有害な微生物の侵入者を排除してくれます。
1. 皮膚は薄いのですが真皮と表皮があり、皮膚の表層部は絶えず新陳代謝され、一番表面の細胞が角化し、垢(アカ)となって脱落して行きます。この角質層は20ミクロン(100分の2ミリ)程の厚さであるが、細菌は直径1ミクロン程度だし、ウイルスは0.1ミクロン程度なので簡単に侵入できないし、外来の微生物や病原体はアカと共に脱落していく。また一方、強力な微生物が侵入しようとしても、成熟した人の皮膚には、1平方cmの面積の中に10万前後の微生物が住んでいて、外来の病原体を排除してくれます。
2. 空気は普通、鼻と口から入ります。鼻、口の中、のどなどの粘膜にも細菌をはじめ多くの微生物が住んでいて(常在細菌叢)外来の微生物と闘って排除してくれます。特に鼻の働きは優れていて、三層の粘膜のひだがあり、吸い込まれた空気は、鼻の中で乱反射し、そこで粘膜に外来の微生物や異物を吸着し、温度と湿度を付与し、気管へ送るのです。
口で呼吸しても、のどの粘膜で防御しますが、鼻を通した方がより防御の働きが大きいのです。それで温帯に住む人の鼻は低く、熱帯や寒帯に住む人の鼻は中の容積を大きくするため、高いのです。
ここを無事通過しても、気管や気管支の表面の粘膜上皮細胞にとらえられ、この細胞の繊(せん)毛によって外へ運び出され、痰となって吐き出されたり、飲み込まれたりします。そこを通過できても、肺胞の粘膜は酸素と炭酸ガスを交換する場で、血液と空気が接触し、血液中の免疫細胞が肺胞の表面で病原体や異物を食べてしまいます。これらを突破した病原体が繁殖し病気を起すのです。
3.口の中にも常在する細菌やカビ、ウイルスたちがいます。約1mLの唾(だ)液にも約1千万個の細菌が住み(年齢、虫歯の数、歯の衛生状態により変動)、歯垢(しこう)の30%は細菌です。虫歯を作るミュータンス菌もいます。口の中の粘膜は、食事や口や歯を動かす時に歯や食べ物によって傷つけられますが、傷口で白血球が闘い、防御し、傷も修復して治ります。粘膜の小さな傷は、出血してもすぐ止まります。それだけ粘膜の回復が早いのです。口内炎ができるのは、その働きが低下している時です。だ液は、口の中をきれいにしてくれます。だ液は沢山出た方がよいのです。だ液には消化作用もありますが、大量の高濃度の糖分を取ると、虫歯になりやすいのです。コーラ、炭酸飲料、スポーツドリンクが、虫歯になりやすいのは高濃度の糖分を含むからでしょう。でも子どもに糖分(グルコース)は脳の代謝に必要ですから、食事の時にまとめて糖分の多い食べ物わ食べさせて、食後にお茶を飲ませ(できれば歯磨きをする)、後はだ液の働きに任せます。
4.眼の中にも、細菌やウイルスたちが住んでいます。目をこすり過ぎると結膜炎を起すのは、目の中の細菌が混乱して起すのです。涙は、目の中の乾燥をふせぐだけではなく、細菌やカビやウイルスが住んでいて、外来の細菌やウイルスなどの病原微生物を排除してくれているのです。涙は寝ている時は、出なくなるので、起きた時の少量の目やには、涙が乾燥してできたものなので、心配ありませんが、大量に出るのは結膜炎のことが多いです。
5.耳の中にも細菌たちが住んでいて、外来の細菌などの微生物を排除してくれますし、耳の中の粘膜は、鼓膜の中央からできて、耳の中を移動して外耳道の粘膜となり耳の出口で、垢(あか)となって排泄されます。耳あかも一部は細菌です。耳の粘膜の移動と、顎(あご)を動かすと、外耳道(耳の通り道)も上下に動き、協調して耳あかを外へ出してくれますから、耳あかの掃除はしなくても、自然に出てきますから、しなくてよいのです。耳あかがつまるのは外耳の病気です。人と同じ耳の構造をもつ猿たちは耳掃除をしません。
耳あかには、乾燥したものと湿ったものがありますが、遺伝によります。
6.尿道にも、皮膚と粘膜の防御システムがあり、普通は細菌が入って来ても、尿によって排出され、微生物の定着や繁殖を阻止し、膀胱へたどり着くのを阻止しています。でも、その働きが低下した時に(免疫が低下した時、つまりストレスなどで起きる)、特に乳幼児と女性に膀胱炎が起きます。女性は尿道の長さが短い事と、出口周辺が便に汚染されやすいことが、なりやすい条件を作っています。しかし、免疫の働きが低下しなければ、なることはありませんし、誰でもなる訳ではなく、70歳までにおよそ20%の女性がなると言われています。なりやすいタイプの人が、免疫が低下した時に(ストレスなどで)なるのです。
子どもは、特に尿道も短く、防御の働きも出来上がっていないし、おむつをしていると特に、男女共に膀胱炎は多いのですが、子どもと高齢者は症状を訴えません。そこで、無症候性細菌尿と言います。おむつをしている子の15%位いると言います。
男の子は、包皮という皮膚の皮をかぶり、亀頭(ペニスの先端)が外に出ていないのでおしっこをすると、おしっこは膀胱の出口で止めるので、そこから先の尿道の中には残っていますから、それが包皮の下にたまったり、ちょろちょろ外へ出てしまいます。包皮の下にたまり、そこに住む細菌によって亀頭包皮炎を起し、うみがたまっておちんちんの先が赤くはれて来ます。尿道口が出るくらいに包皮がむけていれば、ならないのですが、むけていない場合には、お風呂に入った時に少しずつむくことと、自分でできる5~6歳になったら、おしっこをする時に、包皮をむいて尿道口を出して排尿させ、終わったら尿道に残っている尿を、おちんちんを振っておしっこを振り切ることを教えます。
7.肛門も、内側は直腸で腸内細菌たちがいて、防御してくれます。出血も粘膜ですから少量のものは、口の中と同じように、すぐ止まります。
8.膣の中は、口の中と同じように、常に粘液が出ていて、常在細菌や微生物もいて、外来の微生物を排除してくれますが、その仕組みが出来上がっていない子どもでは、しばしば膣炎やその周辺の粘膜や(膣前庭炎)皮膚の炎症を起こします。下着が汚れたり、排尿時に痛がったり、かゆがったりします。
9.胃は1日2~3Lの胃液を出し、胃液は強酸性(空腹時のph1~3から、食事後の5~6と変動)ですから、それを突破して生き延びられるのは僅かで、大部分の微生物は胃酸で死んでしまい、通過できません。かぜのウイルスも、インフルエンザウイルスも5歳以下の子どもでは通過できますから下痢をしますが、8歳以上では下痢をしません。通過できるのは、胃腸専門の腸管ウイルスです。ピロリ菌は胃内の常在菌ではないかとも言われています。それがストレスなどで人の抵抗力が落ちた時に、悪い働きをするのではないかとの考えもあります。胃潰瘍や胃がんがピロリ菌だけのせいで、なるとは思われません。ピロリ菌がいても、胃潰瘍が起きていない人もいますから。
10.胃を通過しても、小腸上部では強いアルカリ性の消化液があり、防御しています。しかも腸内には、多くの細菌が住み着いており、外来の細菌などの微生物を排除しようとします。小腸上部には、少なくとも腸内容1g当り1万以下ですが、小腸下部では10万から1千万、回腸下部でも1千万になります。
11.大腸では腸内容1g 当り数千億(3千億から5千億)、その種類は100種類以上という。これらが、大腸内の細菌や微生物の繁殖を排除してくれています。
出生直後の赤ちゃんの大腸には、菌はいないが、すべての赤ちゃんは48時間以内に、人の常在菌である大腸菌が住み着きます。大腸菌は人にとって大切な菌です。しかし、時々病原性大腸菌も、腸内での自然の遺伝子組み換えと言われていますが、存在し、体調の悪い時に発病します。
便の3分の1は、細菌で、大部分は嫌気性菌なので、外へ出て酸素にさらされると死んでしまいます。
12.これらの常在微生物、つまり人の体に常在し、人と共存、共棲している常在細菌や、ウイルス、かびなどの微生物は、年齢によっても変化するし、家族ごとによっても変化します。普通、同じ家族は、同じ菌をもっています。人は成長し、結婚すると相手と常在細菌が混合して変化し、平衡状態になり、落ち着きます。そして子どもたちは親と同じになります。複数のセックスパートナーを持っていると、また変化します。しかし、同じ家族でも、年をとり高齢になるとまた変化していきます。
13.最近話題になってきた、インフルエンザb型桿菌(ヒブ)、肺炎球菌も、溶連菌も常在菌の一種ですから、それに対応してワクチンを接種することに疑問があります。抵抗力が落ちた時に悪さをするので、健康に生活している人には、病気を起こしません。
14.インフルエンザウイルスや胃腸炎を起こすノロウイルスは、常在菌ではありませんが、自己保存のため、自己規制ウイルスと言われていて、ある程度繁殖すると繁殖を止めてしまいますから、かかった人を死なせず、それで次から次へと感染して、繁栄するので流行するのです。そして毎年少しずつ変化して、人の抗体をかわしていくのです。
15.帯状疱疹も水痘ヘルペスウイルスが、水痘に感染後住み着いて起こす病気ですし、口唇や外陰部のヘルペスも同じです。
16.子宮頚がんを起こすパピローマウイルスは、いぼを起こすウイルスの仲間で、接触(性行為)によって感染し、しばらく常在します。自然治癒率の高いウイルスですので、ワクチンをしても、意味が無い事もあるし、ワクチンを接種しても子宮頚がんを発病することが少なくなく、子宮頚がん検診を欠かせないのです。
文責 黒部信一