黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

スウェーデン方式は、どうだったのか

2024-02-29 09:59:32 | 新型コロナ感染症

             スウェーデン方式は、どうだったのか

世界はもう新型コロナウイルスのパンデミックは終わり、平常に戻っている。日本はその後遺症で、未だにマスクをしている人が少なくない。

 

        スウェーデン方式は、どうだったか。

 

 日本は、ロックダウンはできず、国民の協力に依拠した活動自粛策しかおこなうことが出来なかった。この結果、米欧に比べて人の移動を完全に制限することができず、新型コロナが流行する余地を残すことになった。それにもかかわらず、新型コロナによる死亡者は米欧に比べると圧倒的に少ない。

先ず、スウェーデン方式とは、―いろいろな記事を集めましたが―

                            結論は最後にします。

〇上昌弘2020/5/15

感染が終息するには、人口の6~7割が免疫を獲得するしかない。それをワクチンで獲得しようとした。

(→集団免役戦略は間違いだった。しかし、スウェーデンが取ったかどうかは判らない)

☆スウェーデン方式は、

 高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。

 一時期、高校や大学は休校としたが、小中学校は休校しなかった。

 50名以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランは閉鎖しなかった。

 ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後、再開された。

〇2020/5/6現在 ヤフーニュース

コロナ感染症の死亡率12.2%、抗体保有率25%、100万人あたり死者数465人

ストックホルムでの1000人の検査で、抗体保有率は25%だった。

〇2020/5/15 週刊金曜日

2月下旬、集会やイベントでの人数を規制し、海外への不要不急な渡航に対して自粛要請を始めた。

その後、衛生管理、集会の規制―50名以上の集会禁止、社会的距離、テレワーク、リスクグループに属する人との接触回避など、

飲食業や商業施設は通常通り営業し、図書館などの公共施設も利用できる状態だ。

高校や大学はオンライン教育に切り替え、小中学校はアウトドアでの活動を増やしながら授業を継続している。

外出規制や警察の特別巡回もない。自由に出歩ける。

政府は「各自の良識ある判断に任せる」方針

〇2020/5/11 現在 感染者数2万6670人、死者数3256人。PCR検査数は週5万~10万件ほど。ストックホルムでの死亡者の約半数は、老人ホームでの感染。テグネルは、これは既存の介護システムが原因だという。

医療装備の不足や、老人ホームの民営化による規制緩和の方に問題があると思うという。

〇日経サイエンス2020/9月号

 スウェーデンはロックダウンを行わない対策をとった。

 当局は外出規制や飲食店の休業要請はしない一方で、大規模な集会の禁止や、店内の客の密集を避けるための規制を設けた。小学校や幼稚園は継続しつつ、感染時のリスクが高い高齢者に対しては公共交通機関の利用やスーパーの買い物などを避ける事を推奨した。

 保健社会相テグネルは、「命を守ることとアウトブレイクを緩やかにすることが対策の目的だ」説明した。

〇スウェーデン/メディア「THE LOCAL」2020/6/3

 高齢者を保護するために、介護施設への訪問禁止措置はとられていたものの、感染拡大を防ぐことはできず、死亡した70歳以上の高齢者の約半数は介護施設の住人だったという。

 スウェーデンは、ロックダウンや休業措置をとっていつでも抑圧政策に移行できる法体系は整っているのだが、いきなり実行はせずに、まず3月の段階で高齢者介護施設への訪問を禁じ、また50人以上の公共の集会を制限するなどの措置をとった。

 テグネル博士は「スウェーデンは、段階的な措置をとった数少ない国の1つだ。他国は一度に多くの措置をとったが、その場合の問題点は,どの対策に効果があったのか判らないことだ。

〇2020/6/6 デイリー新潮(電子版)

  首都ストックホルムではマスクさえつけずにカフェで寛ぐ人々の姿が散見される。

 6月3日時点での感染者数は約3万8千人にのぼり、死者は4403人を数える。

 

スウェーデン在住、スウェーデン移住チャンネルの吉沢智哉さんは「批判的意見が有ることは知っています。ただ、スウェーデンの政策は合理的だし、情報公開にも積極的なので多くの国民が政府に信頼を寄せているのです。」

 「こちらでは毎日14時に公衆衛生局が会見を開き、感染者数や死者数だけでなく、重症患者用の病床数や占有率まで発表される。きちんと情報を伝えて、あとは国民の判断に委ねるという姿勢が一貫しています。もちろん、規制が全く存在しないわけではなく、50人以上の集会や高齢者施設への訪問は禁止されているのですが、それ以外の外出はほぼ自由。国内旅行も車で1~2時間で移動できる範囲なら問題ありません。」

 

特別支援学校の教員を務めるサリネンれい子さんは、「高校や大学はオンライン授業ですが、幼稚園や保育園、小中学校は平常通り開いています。学校を一律に閉鎖しないのは、教育を受ける権利を奪ってはいけないという考え方が浸透しているから。加えて、スウェーデンはもともと学校を欠席しやすい環境なんですね。親が12歳未満の子どもの看病で仕事を休んでも、給与の約8割が保障されます。」

学校生活での変化は手洗いの推奨や、卒業式などの催しが縮小、もしくはオンライン化された程度。

〇2020/7/2 AFPBBニュース

 スウェーデンは、他のほとんどの国と異なり、新型コロナ拡大を抑制するためのロックダウン(都市封鎖)は実施しなかった。カフェやバー、レストラン、大部分の企業と16歳未満を対象とした学校は平常通りだった。

だが同時に、可能な限り在宅勤務をすること、ソーシャル・ディスタンシング(対人距離の確保)と衛生ガイドラインを順守すること、70歳以上の高齢者とリスクが高い人々に家で過ごすことを求めていた。

 

「集団免役の獲得を待つ戦略は科学的根拠に乏しい」とノーベル財団の会長以下2千人超の研究者が、2020年3月末、猛烈に批判し、厳格な措置を講じるように求めた。

スウェーデンのローベン首相は、「私たちは個人として責任を負わなければならない。全てを立法化し禁止することはできない。常識の問題だ。大人である私たちは、まさに大人として行動する必要がある」という。

 

〇スウェーデン・カロリンスカ大学病院泌尿器科医宮川絢子 2020/7

 ・スウェーデンはコロナ対策として集団免役を目指した事実はない。

 ・カロリンスカ大学病院は、ストックホルムの入院患者の約40%を受け入れ、泌尿器外科医も治療を担当した。

 ・スウェーデンは、集団免役獲得ではなく、「長期間持続可能な方法で感染のピークを抑え、医療崩壊を来さないようにする」ことを主目的とした。その為、持続可能が難しい完全なロックダウンという方法を取らずに、高リスク者(群)を守ると明言したわけである。

 ・法律で禁止しているのは、「50人以上の集会」と「介護施設への訪問」のみである。

・高校・大学・成人学校は閉鎖してオンラインによる遠隔授業となったが、保育園・小中学校は平常通りでした。

 ・その他、「社会的距離を取る」、「少しでも症状があれば自宅療養する」、「リモートワークを推進する」等の勧告により結果としては部分的ロックダウンの形になったが、国が法律で個人の行動を規制することはなかった。渡航制限もない。

 ・スウェーデンは、政府や中央省庁への国民の信頼が厚い。今回のパンデミックでも、政府を信頼していると答えた国民は60~70%で推移している。パンデミックの政策の主導権は、各省庁の専門家グループに委ねられている。毎日午後2時に各省庁の代表者が合同記者会見を開いて感染状況を提示し、今後のプランを述べることが行われている。核種統計は開示され、徹底した情報の透明性が担保されている。

 ・大病院のほとんどが公立であり、大病院の中で役割り分担し、カロリンスカ大学病院はコロナ野ためにICU病床を5倍の200床にふやし、ストックホルム市内では4つの病院がコロナ診療に当たり、日常診療を他の病院で受け入れた。PCR検査は入院が必要な重症者に限定して行われた。入院の必要のない軽症者はPCR検査を行わずに自宅療養となった。

 コロナ患者の病床確保や救急の場合には、国全体で調整された。ピーク時には500人近いコロナ患者がカロリンスカ大学病院に入院し、ICUには150人を超えていた。この診療に泌尿器科医もあたり、医師や看護師の配置換えが行われ、これらのスタッフは給与支給額が220%に引き上げられた。

 ・ICU病床が満床になることはなく、医療崩壊は起こっていない。トリアージ(患者の選別)も従来からの延長でコクミンの理解が得られているものである。それは「救える命に医療資源を使う」、「無駄な延命治療は行わない」など。治療の決定はエビデンスに基づいて行われ、効果がほとんど期待できない治療は、患者や家族の希望があったとしても行われることはない。治療を拒否する権利はあっても、治療が受けられないことを拒否する権利はないのである。

〇同上  後編  2020/8

 ・スウェーデンがロックダウンをできなかった大きな理由は、憲法において、「国民の移動の自由」が守られており、国が国民の行動を規制することが許されていないからだ。

 また専門家グループが属する省庁などの公共機関は政府の影響を受けず、独立性が有ることを憲法で規定されている。感染症対策は公衆衛生庁であり、コロナ対策を指揮したのは公衆衛生庁の疫学者テグネル氏であった。

 ・保育園や小中学校の運営が平常通りなのは、子どもに感染しても症状が比較的軽く、死亡するケースがほとんどないということ、それに加えて子どもが学校で学ぶ権利、とくに家庭環境が良好でない子どもたちにとって学校はセーフティネットでもあり、閉鎖するとさまざまな弊害が起こりうることに基づいている。

 ・学校閉鎖により、医療従事者の約10%にあたる4万3千人が働くことが出来なくなると試算され、そうなれば医療現場を維持するのが難しい事態が予想された。

 ・スウェーデンの新型コロナによる人口あたりの死亡者は世界的に高いと言われているが、なぜか。死亡者に高齢者が占める割合は非常に高く、およそ90%が70歳以上である。70歳以上の死亡者のうち、50%が介護施設に居住していた。

 もともと重症の高齢者が多数住む介護施設でクラスターが多発したこと。

 70歳以上の死亡者のうち要介護者が占める割合は76%になる。

☆詳細を略して、

 つまり介護施設でクラスターが発生したのは、感染症対策自体の失敗ではなく、スウェーデンの介護システムが抱える長年の問題点や、スウェーデン社会が抱える脆弱性を新型コロナにつつかれたためである。

〇2022年2月9日、スウェーデンはほぼすべての規制を撤廃した。

 2020年から2021年にかけての超過死亡率は、ヨーロッパの中では、ノルウェー、デンマーク、フィンランドに次ぐ低い国である。スウェーデンの公衆衛生庁は、「根拠が不確かなマスク着用より,ソーシャルディスタンスを優先した。現在でも、マスクはあくまで補助的な役割と認識されている。

 2020年末に新規感染者数が1日あたり1万人を超えた時には、公共交通機関内や、ショッピングセンターなどでマスク着用が「推奨」されるようになったが、それでも屋内での着用率は高い時でも過半数程度であり、屋外ではマスク着用は少数派であった。

〇マスクが感染防止に有効だという科学的根拠はないと考え得るのが国際的なコンセンサスだった。

 ロックダウンについても、感染拡大を防ぐという科学的根拠はないとされていた。テグネル氏は「ロックダウンをしない」というのが欧州の疫学者たちのコンセンサスであったにもかかわらず、各国は次々とロックダウンを採用して行った。ノルウェーとデンマークは、専門家の意見を無視して、政治的に決められた。イギリスは当初しないはずが、数理疫学者(日本では8割おじさんの西浦教授もこれ)のファガーソンがマスコミに騒ぎ立て、政府は慌てて、遅れてロックダウンしたが、その後修正してロックダウン政策をやめた。

スウェーデンは、感染に脆弱な高齢者などの高リスクグループを保護することを対策の柱とした。

 子どもたちが通常の生活を送れるようにすることが重視された。保育園と小中学校は平常通りでした。マスク着用義務も黙食義務もなく、子どもたちはほぼ通常の生活を送ってきた。

〇医療崩壊を回避することが最も大きな政策の柱であった。ICU病床は2倍に増やし、多くの一般病棟が感染病棟になった。ストックホルムの国際会議場には、野戦病院が設営され600床のベッドが用意された。これは使われることはなかった。

 医学部6年生の学生の動員や休職状態にあるスカンジナビア航空のキャビンアテンダントを再教育し労働力をシフトするなど多様な対応がなされた。

 マスクの使用は勧められてはいない。マスクにエビデンスが確立された訳ではなく、ソーシャルディスタンスを取ることが第一であると考えられた。病院でも手術などの処置以外でマスクをしていない。

〇スウェーデンでは、手洗いも手が触れる場所の消毒もせず、するなら今までの常識程度でよく、マスクも推奨。ソーシャルディスタンスのみ。

 ロックダウンもせず。

 

◎その結果、政府公衆衛生担当の責任者テグネル氏は2023年4月にWHOへ招かれて移籍したと言う。

 結果は明白である。WHOの多数派はスウェーデン方式が良かったと選択した。

 

ついでに言えば、ファガーソンという理論疫学者によってロックダウンしなければ25万人が死亡すると警告されて一時かき回されたイギリスは、政府の緊急時科学助言グループの当初の方針に戻り、ロックダウンを解除した。その後は予定通りスウェーデンと同じ路線を取った。

日本の西浦博京大教授もファガーソンと同じ理論疫学で、8割おじさんと呼ばれた当時の北大教授。結局理論疫学は当たらなかったが、出世した。

 



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