黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

平和を求めて

2023-01-18 15:43:00 | 子どもの病気と犯罪の予防

本の紹介                                 

   「平和を創る道の探求」孫崎亨(かもがわ出版)     

 「平和を創る道の探求」孫崎亨(かもがわ出版) を読んで

  私が求めていた本が出ました。私の考えていたことと同じで、それを裏付けた根拠を示してくれました。ここに書かれていた人のうち、キッシンジャー、ミアシャイマー、プーチン講演などは読んでいましたから、分かりやすかったです。憲法問題から、ウクライナ侵攻までの解説で、平和的解決が可能であるとの立場です。

  1. すべての戦争に反対する。

トルストイが指摘する「知識人の罪」。トルストイは日露戦争に対して、「誰にも無用で無益な困難が再来し」、「知識人が先頭に立って人々を誘導している」という。今日では、知識人ではなく、政治家、コメンテーター、安全保障専門家と言っていいでしょう。

アイゼンハワーは「我々は軍産複合体による不当な影響力の獲得から守らなければなりません」と言う。軍人から大統領になった人です。(この構造は、新型コロナ肺炎のパンデミック対策にも現れていました)。

  1. 外交とは何か。妥協が必要。51%の達成を目指す。

 アルカイダのビン・ラディンが要求したこと、宮沢賢治のことなど。この本は、妥協を軸に外交や国際政治のあり様を問う本であるという。

  1. ロシアのウクライナ侵攻について

  キッシンジャーは「ウクライナが生き残り繫栄するとすれば、(西側、東側の)いずれかに対峙し、いずれかのサイドにつく前哨になるべきではない。それは両者のブリッジとして機能すべきである」、「ウクライナはNATOに加盟すべではない」という。同じことをミアシャイマーも言っています。

  ドイツ統一の時に、アメリカも西ドイツもNATOを東方に拡大しないと約束したのですが、それを破りポーランドまで拡大し、さらにロシアののど元のウクライナをもNATOに加盟させようとしたのです。(キューバ危機の時に、キューバにソ連基地を作ることと同じです)。だからプーチンの言う、アメリカ、ドイツは約束を破ったということは正しいのです。ウクライナ自体が、独立して23年しかたっていず、それまではどこかの国に支配されたり、分断されたりしていたのです。(ゼレンスキーの取った政策は、ウクライナ国民を見捨てたのです。日本の太平洋戦争の時と同じでした。)

追い込まれたロシアとプーチン政権

キッシンジャーやケナンは、ロシアと対立するのではなく、パートナーとすべきだと言っています。

4.世界は、冷戦時代の米ソの二極支配が崩壊し、その後のアメリカによる世界の一極支配に対して、プーチンのロシアは、この「一極支配」からの離脱の試みであるという。

  中国の台頭で世界は新らしい秩序に進んでいる。G7ブロックと非G7ブロック。中国、ブラジル、インド、南アフリカなど。アメリカと一線を画している。

5.台湾問題は、台湾側の独立運動が焦点で、中国は現状維持を望む。通常の戦闘ではアメリカは、軍事力で中国に勝てない。しかし、中国には台湾を武力で取るメリットはない。むしろ内政を危うくする危険がある。

6.軍事的手段では、日本は自国の安全を確保できない。

 秒速2kmから8kmのミサイルを打ち落とせない。敵基地攻撃と言っても、相手国のすべての基地を攻撃できないし、残された基地から核を打たれたらそれで終わりである。

  NATO条約と安保条約は違う。NATO条約は、加盟国が攻撃を受けたら、直ちに行動をとるのです。しかし、安保条約では、日本が武力攻撃を受けても、米国議会が戦争宣言をしないと米軍は動きません。また、核の傘などはない。日本が攻撃されても、アメリカは自国の本土を核で攻撃されるデメリットを選ばない。

 もう一度、1955年のラッセル・アインシュタイン宣言に耳を傾けよう。

7.平和憲法の成立。戦争放棄は、日本側の発案で、幣原喜重郎首相がその人。

 幣原の発案した戦争放棄から、先制攻撃の国となるのか。日本が先制攻撃をすることを認めれば、相手国の先制攻撃を是認することになります。それが敵基地攻撃論です。

 戦後のアメリカの方針は、「日本は米国に従属する」のが基本方針です。また、「アメリカが望むだけの軍隊を、望む場所に、望む期間だけ駐留させる権利を確保する」ことを目指したのが、日米安保条約なのです。日米地位協定も、アメリカが同意しない限り、変えられません。

8.朝鮮戦争に日本も、掃海艇で参戦した。一隻が機雷で沈み、一人死亡。

 日本の「戦争しない国」から、「戦争に参加する国」への転換は、湾岸戦争を通じて形成されました。自衛隊を、アメリカの戦略のために、海外展開することが決められています。

9.平和は、交渉で創るもの。交渉は取引であり、双方の満足するものでなければ成立しない。

  ロシア、中国、北朝鮮は、核兵器をもち、日本を迎撃できるミサイルを1500発以上配備しているとみられています。日本を攻撃する時に、政治・経済・社会の中心地を攻撃されたら、着弾地が予測できなければ迎撃できません。

  和平には、譲歩が必要。譲歩で譲ったものと、譲歩しない時に失うものと比較したら、失うものの方が大きい。それが現在のウクライナであり、東条英機の指導した日本だったのです

10.尖閣諸島は、日本、中国、台湾のいずれにも属していない状態です。だからアメリカは尖閣諸島の主権は係争中であり、アメリカは中立であるとしています。田中―周恩来会談で暗黙の棚上げ合意がありました。石油が出るから問題になるので、当面棚上げにすることになっています。それで日中漁業協定が結ばれて、紛糾しない仕組みができています。

11.平和への道

 ドイツとフランスの和平のために、EUが作られた。

 東南アジア諸国連合の知恵。

 南極の平和的利用、など平和的道はとれるはず。

 以上                     

 


子どもの虐待、親殺し、無差別殺人などをなくすために

2021-12-14 13:24:16 | 子どもの病気と犯罪の予防
                            子どもの虐待をなくす為に

                     さらに親殺し、無差別殺人を無くすために

                     子どもの犯罪や病気、しいては大人の犯罪や病気をなくすために

親殺し、無差別殺人は、社会が生み出したもの。犯人はかわいそうな犠牲者です。
                              闇教育、暗い教育をなくそう



 以前に、少年Aの問題がとりざたされ、前に親殺し事件が続いた時に読んでコピーしておいた「闇教育」ということを思い出し、みなさまに取り上げて頂きたく書くことにしました。これは、アメリカでウーマン・リブから始まり、レイプ問題、そして家庭内暴力と子どもへのさまざまな虐待に光をあてられてきたことです。


ヨーロッパでは18世紀から問題提起され、20世紀になり、乳幼児精神医学に取りあげられるようになりました。いまだに続いているのは、キリスト教のせいでしょうか。
最近増えている子どもへの虐待は、日本で昔から行われていたのでしょうか。行われていて、ようやく光があてられ始めたのでしょうか。どうもそうであるようです。


子どもが乳幼児期に虐待を受けると、悲しみや怒りなどの感情を抑圧するようになり、その後の精神的発達を妨げることが判りました。それに光をあてたのが「闇教育」です。
19世紀から20世紀前半まで、親が子どものために愛情をそそぐことは、いわば保険をかけているようなもので、社会的地位の向上が二世代にわたって行われると信じたり、それが子どもにとってよりよい将来を保証すると考えられていました。
「子どものために」という建前のもとに、子どもはひどい虐待を受けていたのです。
18世紀には、早くも教育者のズルツァーは、「時間の経過とともに、子どもはごく幼い時期に経験したことをすべて忘れてしまう。その時期に、どうにかして子どもから意志(願望とそれを実現させようとする決意)を奪ってしまえば、後に自分が当時どのような意志を持っていたか決して思い出せはしない。」という。(これはいまだになぜなのかが謎)


1977年カタリーナ・ルーチュキイが「闇教育」という名前で、当時の教育法を集めた本を書き、その中で「早期の条件付けによって、人は自分に何が起こったかを気付かなくするあらゆる技術が網羅されている」という。この「闇教育」の思想をアリス・ミラーが紹介しています。

その中で、「闇教育法の原理」を挙げると、
「生きている人間を抑圧する手段は、以下の通りである。罠(わな)、嘘、かけひき、隠匿(いんとく)、操作、脅迫、愛情を与えないこと、孤立,不信、侮辱(ぶじょく)、無視、嘲笑(ちょうしょう)、恥辱(ちじょく)、そして拷問(ごうもん)を含めた暴力の活用」。
また、手順のひとつに、「最初から子どもに間違った情報と間違った考えを伝える」というやり方があります。
また、何世代にわたって伝えられた「闇教育の原理」の代表的なものに、以下のものがあります。


*義務感が愛情を生み出す
*憎しみは人をおしのけることで消せる
*服従により人は強くなる
*厳しさと冷たさは生きる上で役に立つ
*激しい感情の動きは有害である
*親は親というだけで尊敬に値する
*子どもは子どもであるとの理由でいかなる尊敬にも値しない
*子どもの価値を高く評価するのは有害である
*子どもの価値を重視しなければ親切な子どもになる
*優しさを示すのは、有害である(甘えた子どもになる)→甘やかすことはいけないことも
*子どもの欲求に屈する必要はない
*見せかけの謝意のほうが、感謝の気持ちが欠けているよりはましである
*外見のほうが心よりも重要である
*親は神ではないので、些細な侮辱にも耐えられない
*肉体は、不潔でいやらしいものである
*親は欲動を欠いた存在であり、あらゆる罪を免除されている
*親はつねに正しい

あなたはどれを思っていますか。

また別の本では、
○赤ちゃんが理由もなく泣いたりわめいたりしたら、これはわがままの現れだから、体罰で警告しなさい。
○わがままは一掃しなければならない。
○3歳になるまでに必ず行わなければならない教育は、両親と目上の人への絶対の服従と不満をもたない習性を作ることである。2歳までにやれば子どもは覚えていない。
○あなたの息子を支配しなさい。服従させなさい。そのためには、体罰や食事を与えないことなども効果がある。(この時生き延びる為に従うが、感情を体験する能力を失う。)
○子どもが悪さをした時に、子どもをだまし、脅かし、誘導尋問して窮地に追いつめ白状させたほうが効果がある。(このようにされた子どもの屈辱感と自責感は心に傷を残さないはずがない。)
○子どもの長所をほめることはよくない。うぬぼれた子どもになる。
○うぬぼれた子どもには屈辱感を味あわせる以外はない。
○しつけとは、まず言葉でなく行為であり、言葉になったときは命令である。教育とは折檻という方法が必要である。(これでは優しい生き生きとした感情は育たない)
 と書かれています。
上記の項目のどれかに、あなたは賛意をもちますか。それは、あなたの子どものためになりません。今すぐやめましょう。ドイツやフランスでは、間違った子どもへの考え方とされています。自分の意志を持たない子ども(長じれば大人)を生み出す原因になります。


子どもは類のないすばらしい授かり物として家族の中心に位置することになります。しかし、教育の実体、親子関係において、子どもたちは「子どものため」とい名目でひどく虐待されてきたのが実情です。子どもへの虐待は、子どもの精神的発達を障害し、精神的な病気や問題行動を生じ、間違った論理をもつ大人を生んでしまいます。
そこから闇教育の原理でできあがった国家が、自然にできあがる危険があります。それが、現実にあるのです。
このアリス・ミラーの紹介をカロリーヌ・エリアシェフ「楽園を追われた子どもたち」で読み、それを忘れて探しているとき荒木ひさ子の論文を読みました。ミラーはヒットラーが子ども時代に受けた教育を指しています。


そして、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本にもこの思想があり、子どもを教育とかしつけの名目で虐待し、子どもはそれを心の中に抑圧します。
日本にも、子どもを親の所有物と考える思想がまだ残っています。子どもは、いつから一人の人間として扱うかについては議論がありますが、少なくとも社会全体の子どもなのです。虐待された子どもは、無意識に自分の子どもにこれを繰り返します。また、親のまねをして他の子どもにしているのが、いじめなのかも知れません。その悪循環を断ち切り、優しい社会にしたいと思います。
そして子どもの虐待は、身体的な虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待があり、その陰に教育による虐待(隠された虐待)があるという。
荒木氏は、日本では、第二次世界大戦(15年戦争)まで、忠・孝・恥が教育の中心であり、戦後は忠が抜け落ちたが、孝と恥は残り、この思想のために親が子どもを虐待するとき、虐待していると言う意識を取り除くという。


1970年代のアメリカのウーマン・リブが、それまで社会の禁忌であったレイプの実態を白日のもとに引き出した。この運動は自然の帰結として、家庭内暴力、児童虐待に行きついたが、日本では人権意識が低く、子どもは自分の持ち物という封建思想が残り、社会的関心ははまだ低いという。日本でも家庭内の性暴力(特に父親による娘へのレイプ)が多く、有名な政治家や精神科医ですら行っていると私の友人の精神科医から聞いている。しかし、被害者をこっそり治療するしかなく、告発したら家族にまで仕返しされかねなかったという。
アメリカでも、それでも不十分でここ数年に、ミートゥ運動や、レイプとセクハラの告発が始まっている。

 エリアシェフは、これが子ども長じて大人の精神神経障害やいろいろな犯罪につながると警告しています。
 「育児室からの亡霊」(モースとワイリー著)では、それを犯罪に結びつけています。
 日本でも起きている親殺しや少年犯罪(とくに殺人事件)や、大人による無差別殺人事件なども同じ精神病理から来ているのではないでしょうか。(親殺しや兄弟殺しの子どもの親に教育者が少なくないこともささやかれています。)

 また、引きこもりやいじめなども、同じ病根からきているのではないでしょうか。
 少年Aの問題が再燃して思いだし、昔読んだ本を探して、当時よりもっと強く、優しい社会への展開を希望します。もちろん、以前私も心の病気になり、手塚治虫の「ブッダ」の漫画から、ラディカル・ブッディズムに傾倒し、それまでに心療内科の訓練法を取り入れていたこともあり、こころ優しくなりました。でも、まだまだ人に優しい原始(根本)仏教にはおよびませんが、努力していきたいと思ってここに書きました。





育児室からの亡霊

暴力の根源の追跡

(ロビン・カー=モース/メレディス・ワイリー「育児室からの亡霊」(毎日新聞社)より抜粋、改変)
精神分析医ゼルマ・フライバーグが「育児室の亡霊」を、親が子ども時代から引きずっている自分の問題を、わが子の育児に持ち込む傾向があることを示すためにこの言葉を使った。
「育児室からの亡霊」は、殺人者やその他の暴力犯罪者を見ていくと、例外なく、成長してからも赤ん坊の精神を持ち続けていて、精神的な成長への道を閉ざしてしまう力につきまとわれているという認識で使っている。


(ロビン・カー=モース/メレディス・ワイリー「育児室からの亡霊」(毎日新聞社)より抜粋、改変)
精神分析医ゼルマ・フライバーグが「育児室の亡霊」を、親が子ども時代から引きずっている自分の問題を、わが子の育児に持ち込む傾向があることを示すためにこの言葉を使った。
「育児室からの亡霊」は、殺人者やその他の暴力犯罪者を見ていくと、例外なく、成長してからも赤ん坊の精神を持ち続けていて、精神的な成長への道を閉ざしてしまう力につきまとわれているという認識で使っている。

*育児室の亡霊が犯罪に向かうとき
*暴力の根源はどこにあるのか
*人生を決定づける最初の三十三か月
 暴力の定義を「法によって黙認されることがなく、他人に害を与えることを意図する―言い換えれば、攻撃的行為でほかの人を積極的に苦しめる―行動」
 違法行為を犯す人間は、衝動型と計画型の二つのタイプに分けられ、大部分は前者である。
研究によって、胎児として成長する九か月間とその後の二十四か月間に虐待されると、少年や成人になっても暴力的になりやすいことがわかっている。
赤ん坊への有害なものとして知られるドラッグ、アルコール、タバコなどはその一部にすぎない。30年以上の研究で、子どもの初期の発達に深い影響を与える有害な因子が多数あり、慢性的なストレスや放置は胎児や乳児の脳の発達を阻害するし、押さない子どものころに虐待や放置を受けると、しだいに学習の集中ができにくくなる。親の慢性的なうつ状態、放置あるいは正常な脳の発達に必要な刺激の不足、幼い時期の基本的な対人関係の不足や保護の中断なども有害である。考える力や感じる力、他人との関係を築く能力のもとが養われるのは、胎児としての九か月から生後二歳までの間である。暴力の根もこの期間に家庭内の虐待(児童虐待)や放置、出生前の有害物の摂取などの慢性的なストレスにさらされたことにあることが多い。愛情に欠けた接し方によって、自己防衛に欠かせないものが失われ、損なわれる場合もある。

脳の発達は環境に依存する
 脳は遺伝子によって規定されている。だが、脳の成長は環境に依存している。


紫外線をあびるのはもうやめましょう -日焼けと光老化の話-

2019-04-07 16:09:20 | 子どもの病気と犯罪の予防
       紫外線防御の話
 少し遅れましたが、ご容赦ください。図のスキャンに手こずったためです。
紫外線はどんどん強くなっています。女性の悩みのしわ、しみ、ソバカスはすべて光による皮膚の老化です。外へほとんど出ない仕事の人は、少ないです。気をつけないといけないのは、外へ出なくても散乱線や反射光をあびますし、自動車に乗っているとエアコンをつければ暑くないが紫外線を浴びています。
 もっと言えば、子どもに教えなければいけないことです。人生、一生の間にあびる紫外線の半分を18~20歳までにあびていて、年をとってからしみ、しわ、そばかすなどの光老化現象が出てくることです。
 子どもに教育しなければいけない時代になりました。
 私は前にいた吹上共立診療所時代から書いていましたが、最近書き直したのです。それで「Ⅱ版」としました。



日焼けするのはもうやめましょう  Ⅱ版
   -日焼けと光による皮膚の老化の話-

人間は日光の下で進化し、地球の気温の維持、食物の間接的源泉など多くのめぐみを日光から受けてきています。人間の目、皮膚、血管、ホルモン系などは日光に反応し、紫外線により皮膚でビタミンDが作られますし、毎日のバイオリズムは日光の周期的変動に依存しています。日光は最強の消毒をしてくれます。ウイルスも細菌も殺します。インフルエンザウイルスは、1メートル離れていたら、直射日光下では感染しません。にもかかわらず、日光は有害です。日焼けをきたし、DNAを障害し免疫機能を低下させ、皮膚ガンを発生させ、皮膚にしわを作り老化させ、目に炎症を起こし、白内障をもたらします。

☆紫外線は環境の中でもっとも危険なものの1つです
 1980年頃から光線に対する皮膚の反応の研究が進み、日光のもついろいろな働きが明らかになりました。皮膚は、人間とその環境(外界)との境界であって、この皮膚に直接作用する物理的要因の代表が日光です。
 紫外線もまた生体の細胞に対して、遺伝子の突然変異をはじめ多くの傷害をひきおこすことが判っています。その大部分は光にあたっていない時に、修復酵素によって修復されるとはいっても、わずかな異常は長年の間に蓄積されます。その結果が光による老化と皮膚ガンなのです。
 また妊娠初期に強烈な紫外線(人工太陽光線も)をあびると、必須ビタミンBである葉酸塩の血中濃度が低下し、胎児の脊椎などの神経管異常の発生率が高くなることが判っています。葉酸塩の破壊も紫外線の悪影響の一つに加わりました。他の原因での葉酸塩の低下でも同じで他に男性の不妊症にも関与するようです。

☆日光浴はもうやめよう
 従来、日光はクル病を防ぐ健康光線として、日光浴が薦められましたが、現在の日本では、普通の食生活をしている限り、ビタミンDの不足が起こることはないし、たとえ不足しても、食物からも、薬によっても補うことができます。所が最近になり、ビタミンDの不足の子どもが出ています。なぜか判りませんが、一つは離乳の遅れがあると思います。離乳の遅れは乳児に必要なビタミンがC、D、K(これは薬で補給しています)、鉄分、カロリーの順に不足して行きますから母乳しか与えない乳児にはまずC、Dが不足するでしょう。
日光浴への幻想は、皮膚の早期の老化を招き、皮膚ガンの原因になっています。日光が皮膚にあたって起きるか、またはそれに関連して起きる病気は25以上にもなります。


☆日光浴をするなら、紫外線を遮断(サンスクリーン)しましょう
 白人の社会では、10歳までは日焼けしないように薦めて、教育しています。平均的日本人も、白人と同じように日に焼かない方がよいです。だから長時間の日光照射を受ける場合には日焼け予防が必要になります。
元東北大皮膚科教授田上医師は1991年、日本医事新報に「オゾン層の消失が環境保護の面から騒がれる最大の理由は、この紫外線照射による皮膚障害、皮膚癌発生が増す可能性を恐れてのことであり、今後、私たち医師は過度の日光照射の害を一般人に説かなければなりません。また、長時間の日光照射を受ける場合にはサンスクリーン・クリームを使用する必要性があることを、子どもの時代から学校で教育されなければならないです。」と書いています。
個人の一生の間にあびる日光曝露時間の約半分は18歳までに起きますので、子どもに日光の有害性を教えることが重要です。子ども時代に日光を浴びることが皮膚の早期の老化の原因なのです。

☆B紫外線が悪役
 紫外線は波長により、A紫外線(長波長紫外線、UVA)、B紫外線(日焼けスペクトル-短中波長、UVB)、オゾン層で吸収され地表には届かないC紫外線(殺菌線-短波長、UVC)に分けられます。太陽光線の中でも、日光放射エネルギーの3%を占めるB紫外線全部およびA紫外線の一部が、皮膚に対する障害(日焼け、皮膚ガン)をもたらします。C紫外線の大部分は、角化層の死んだ細胞層によって吸収されます。
B紫外線は大部分表皮で吸収され、その程度は皮膚のメラニン色素の沈着の程度に左右されます。白人は85~90%、色の黒い人は90~95%表皮で吸収され、残りが真皮に到達します。表皮を通過した紫外線は、血管内に侵入し、血液内のリンパ球を障害し、単核球の活動性を失わせます。紫外線のもっとも有害な効果は、細胞を殺すことで、その他に、突然変異をひきおこし、発ガン性、DNA・RNA・蛋白合成の障害または抑制、免疫の障害などがあります。B紫外線はそのほとんどをおこし、さらに日焼け、皮膚の黒化、ビタミンD合成、角化増殖、皮膚の老化もおこします。
長波長のA紫外線や可視光線は真皮に深く達し、障害は少ないです。A紫外線による障害は、B紫外線の800 ~1000分の1です。

☆日焼けと黒化
 日に焼ける反応には、紫外線が当たって皮膚が赤くなる紅斑反応(サンバーン現象)と引き続いて起こる色素沈着つまり黒化(サンタン現象)の2つがあります。紅斑反応は、赤くなり、むくみ、時には水ぶくれができ、広範囲だと熱や痛みが出る反応です。これは皮膚が痛めつけられた状態で、やけどと同じで、日光皮膚炎とも言います。黒化は、色素沈着で色が黒くなることをいいます。

☆日焼け反応(感受性)の分類(ハリソン「内科書」より)
これを日本では白人の分類と言いますが、アメリカ先住民は私たちと同じモンゴロイドでアメリカには全人種がいますから、私はこれを採用します。
皮膚型 -夏の日光を45分あびた後の、紅斑反応(日焼け)と黒化の仕方-(日本人での%)
Ⅰ 常にすぐ紅斑になるが、決して黒化することなく、しばしば剥脱する。(ケルト人) (18)
Ⅱ 常に紅斑になり、時に軽度黒化する。                  (28)
 Ⅲ 常に紅斑になり、いつも中等度黒化する。(平均的白人種--平均的日本人も) (30)
 Ⅳ 時に紅斑になり、余りならず(最小限度)、常に黒化する。(オリーブ色の皮膚)(16)
 Ⅴ まれに紅斑になり(滅多にならず)、容易に黒化し、持続する。(褐色の皮膚) (7)
 Ⅵ 決して紅斑にならず、高度に黒化する。(黒人)               (1)

☆紅斑反応
 これは紫外線に当たり続けると30分程度から起こり、気づかれるのは数時間後で、12~24時間後がピークとなり消退して行きます。
☆日焼けによる黒化(サンタン現象)は、紫外線に対する防御反応で、1つは色素黒化で、表皮で既に生成されている色素の速やかな黒化で、第2はメラニン新生で、通常紅斑反応の3~4日後にみられます。
 メラニン新生は、①表皮下層のメラニン細胞の増加 ②メラニン細胞の樹枝状の枝分れの増加 ③褐色のメラニン色素の増加 ④メラニン色素を表皮細胞に転送する、という過程があり、その結果肌が褐色に変化するには、日にあたってから7日かかります。この反応は7~10日後に減少し、30~60日で正常に戻り、日焼けによる皮膚の黒化も2ヵ月たつとうすれます。この黒化する程度は、遺伝的に決定されています。

☆☆重症の日焼けの治療
急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効です。経口的に、プレドニンを40~60mgから始め、4~8日ごとに減少すれば、コントロールすることができます。


◎ 日焼けの防御対策
☆上手に日焼けして肌を守るには
 平均的日本人はⅢ型であり、白人と同じで、紫外線を強くあびない方がよいです。上手に日焼けするには、紫外線の弱い2月頃から、少しずつ太陽光線を浴びて、その時間を増やしていき、メラニンを増やして色が黒くなると、紫外線に抵抗性が増すのですが、黒くなる程度は遺伝ですから、ある程度しか期待できません。だから夏の直射日光には当らない方がよいでしょう。

☆強い紫外線を避けましょう
(1)効率のよい日光遮断物質(日焼け止め製剤)を使って光線防御をおこないましょう。太陽の紫外線の影響は、紅斑になるだけでなく、皮膚がん、白内障や免疫機能低下があり、当面は紅斑が起こるような日焼けを避ける習慣を身につけましょう。
(2)紫外線の多い季節に、紫外線の多い時間、晴れた日射しの多い戸外に長時間出る時は、必ずつばの広い帽子をかぶり、袖の長い適当な衣服を着用しましょう。または日光遮断(サンスクリーン)剤の外用で防御するか、戸外に長時間出るのをさけましょう。
(3)年間で紫外線量は6月が最大ですが、雨や曇の日が多く、4月、5月の晴れた日は、紫外線量は8月、7月に匹敵しますが、暑さを感じない為、気づかれにくいようです。
(4)1日の紫外線量は午前9時から、午後3時までが多いです。
(5)夏と冬では、紫外線の強さは紅斑作用が4倍違います。夏が強いです。
(6)男性の方が女性より紫外線の感受性が強い。男は女より少ない紫外線量で日焼けします。
(7)50歳をすぎると次第に少ない紫外線量で紅斑になるので、高齢者は免疫機能も低下しますから60歳を過ぎたら日焼けに注意しましょう。
☆屋外での防御法
 (1)人の顔が浴びる紫外線量は、顔が太陽に向いているかが決定的です。
 太陽高度が50度以上では、直射紫外線量を100%とすると、頭上95%、正面45%で下からの反射は3%未満です。従来、「10~14時の時間帯は紫外線に注意」と言うのは、「太陽高度50度以上の時間帯は注意」に変更しましょう。太陽高度45度のときに自分の影の長さは身長に等しく、50度は影の長さが身長より短くなった時間帯です。
(2)太陽高度が低い冬には直射紫外線量は夏の 1/2程度になりますが、70%以上が反射され、顔があびる紫外線量夏より強いです。雪面では反射紫外線対策が必須です。
 (3)木陰で避けること。しかし散乱光は日向と同じ程度があるので、太陽の反対方向を向くこと。
(4)帽子
帽子はつばの長さであり、キャップタイプのたばの長さ7cmで約60%、全周タイプのつば13cmで90%の防御効果があり、散乱線は防御できない。通学、通勤の短い時間では帽子で日焼けを防御できます。雪面では散乱、反射を防御できません。
(5)日傘と布
日傘では、B紫外線は布地の色の違いはほとんどなく、50%程度の防御効果です。
真夏に帽子をかぶり日傘をさすのは、夏の強い日差しをさける熱線防御と熱中症予防とまぶしさカットが主目的です。色は白がよい。
布の紫外線防御能は、素材、織り、色に依存します。反射率が高いほど紫外線防御します。
① 綿、ナイロンは紫外線を透過します。ポリエステルはB紫外線を吸収するので、B紫外
線は防御できます。②目が密なほど反射率が高い。綾織りは平織りに比べ反射率が高い。③紫外線防御は色が濃いほど大きい。特に黄色は優れた防御をします。④UVカット加工は効果なし。⑤有色布は紫外線を吸収し、黒色布は赤外線(熱線)も吸収します。
○日本の夏は、綾織りの白がお勧めです。
☆UPF(紫外線防御指標)、2006年国際証明委員会による布の紫外線防御指標
  15~24  防御良好
  25~39  大変良い防御
  40~    非常に良い防御

☆効果的な紫外線防御対策
 日傘:日射は90%以上カット、紫外線は50%カット、表は白、裏は色つき、
 衣服:UPF15以上、白か薄い色、綾織り、長袖
 帽子:つば7cm以上、表は白、裏は色つき、
サングラス:UV-B、UV-Aカット、
サンスクリーン:SPF、PA共に適正使用

☆太陽紫外線防御の基本
・紫外線は散乱光、赤外線は直射光という認識
・紫外線と気温は無関係という認識
・4月から9月の期間は、雨の日以外は注意
・晴れの日は、正午をはさんで2~3時間は注意
・日中の戸外活動(車の運転中も)には防御対策
・素肌と目を紫外線にさらさない工夫:日陰、帽子、日傘、サングラス、日焼け止めを活用、
・真夏には、熱中症予防も
紫外線の変動
紫外線の1日の変動量(時)         紫外線の年間変動量(月)

☆日光遮断剤(サンスクリーン)
 日光遮断剤は、皮膚に到達する紫外線を減らすことによって、紫外線による皮膚ガンと光による老化の危険を低下させることができます。普通の日光遮断剤はB紫外線を防御するようにできていて、広域スペクトル日光遮断剤はBおよびA紫外線を遮断できると考えられています。
◇サン・ケア指数とは何か
 日光遮断剤(サン・ケア化粧品)の効果は、日光遮断因子(SPF)で表示され、SPFは紫外線B波の防御効果をあらわす指標です。数字が大きいほど皮膚防御効果も大きいです。平均的な日本人の皮膚は夏の日光に約20分当ると赤くなってしまいますが、日焼け止めクリームをつけると、その時間が何倍に延びるかが数字で示してあります。日本人用のクリームにSPF12とあれば、その有効時間は20分の12倍の4時間だから、4時間おきにぬる必要があります。SPFはメーカーによって実験方法が異なるため、同じ数値でも紫外線のカット効果に差があります。輸入品もまた異なります。サン・ケア化粧品の日光防御効果の決定的要因は、それが皮膚に残留する能力すなわち持続性(安定性)です。
数字が高いほど防御効果が強いのではなく、持続時間が長いだけです。
PAは紫外線A波の防御効果を表し、+の数が多い程効果が高い。+~+++までの3段階あります。

◇日光遮断剤の選択
 もっとも重要なのは、日光に対する反応の個人差です。皮膚の色が白く、すぐ赤くなり、余り黒化しない人(皮膚のⅡ型)はSPF10~12以上を使うべきですし、中等度または軽度に赤くはなるが、よく黒化する人(皮膚のⅢおよびⅣ型)は、SPF6~8がよいといいます。
通常、日光にさらされる場所、たとえば顔、首、腕、手などは非油性のローションで日中防護すべきです。長時間の日光浴や水浴後には、再度日光遮断剤を使用すべきです。
急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効です。

◇ 日焼け止めクリーム選び
① 紫外線散乱剤配合 ②石けんで落ちるもの ③SPFは20以下(20でも6時間40分効果が持続)④発がん性が報告されている酸化防止剤のBHT、TEAが配合されていないもの。   
どんな商品が良いか。以上の条件を満たすものを選ぶこと。手元の資料は2002年のものなので、参考にするくらい。新しい商品も出ているはずです。ぬる前に腕に塗って赤くかぶれないことを試します。うすくのばしてぬるのがよいです。
「すべすべみるるUVローション10」明治乳業と「ジョンソンベビーローションUV」ジョンソン・エンド・ジョンソンは3ヶ月頃から。
「ニベアSUNキンダーM」花王は幼児以上。
SPF30まで広げると、「サンカットベビー&ファミリーA」和光堂6ヶ月以上、
「すべすべみるるUVローション30」明治乳業3ヶ月以上、
「ニベアSUNキンダーC」花王は幼児以上が該当するようです。

紫外線による光老化
☆日光により引き起こされるガン
 B紫外線により皮膚ガンや前ガン状態がおきます。白人では、皮膚ガンは顔、頭、首(頚部)、腕と手、などの習慣的に日光にさらされる場所(特に鼻、頬、眼瞼、手指)に限られています。(色白の日本人も同じと考えられます。)
黒人や褐色の皮膚の人は皮膚ガンの発生に抵抗性があります。人種の肌の色の違いは、紫外線に対する強さの違いであり、熱帯地方の住民の皮膚の色は黒く、紫外線が表皮層内に侵入するのを防いでいます。熱帯下でもアフリカでは人類の誕生から200万年という長い年月をかけて適応して真っ黒に黒化したのです。日本人に近い皮膚をしているチベット人やアンデスの先住民(インディオ)では、3~5000メートルの高地で紫外線が強い土地に住んでいるのに、未だに適応できずに、高地の強い紫外線の影響がすでに幼児から生じ、20歳前後では日本人の40~50歳の農民や漁民のような、光による老化現象の強い皮膚をして皮膚が褐色になり、しわだらけになり、50歳頃にはかなりの老人に見えます。
またメラニン色素の少ない白人でも赤毛や金髪の人たちは、幼児期からソバカス(雀卵斑)が無数に生じています。この人たちは強い紫外線のもとでは皮膚がんが高い発生率です。

☆日光による皮膚の老化
 顔や手の甲に見られる年寄りのシミやシワは、日光に含まれる紫外線に長年さらされて生じます。しかし、顔に深いシワがあり、シミを沢山もつ老人でも、お尻の皮膚を見るときれいな白い皮膚をしていて、せいぜい腕、下腿、上胸部、上背部にシワやシミがみられる程度で、常に外に出ている顔や手の甲ほどの変化は、衣服で覆われている部分の皮膚にはまず認められません。表皮自体は、細胞が絶えず生まれ変わるから、老化しませんが、長い間紫外線を受け続けると、表皮下の真皮がダメージを受けて深いシワを作ります。シワの刻まれた皮膚では、表皮はうすく扁平になり、異常細胞が多く、配列も乱れています。真皮では正常のコラーゲン繊維が減少または消失し、不規則な弾力繊維が増加し、置き換わっていきます。この変化は、光による老化であり、日光によっておきる皮膚の変性です。
 日光変性は、長い年月、日光にさらされた場所の皮膚の変化で、しわ、しみ、萎縮、メラニン沈着、脱色素斑、毛細血管拡張、黄色斑と丘疹、角化増殖を含みます。この変化は不可逆性で、その唯一の原因は日光ですが、日光遮断(サンスクリーン)剤の外用で最小限にとどめることはできます。
☆活性ビタミンAと光による老化
◇近年、アメリカや日本で、活性ビタミンAを6ヵ月以上塗布すると、シワが減り、滑らかな皮膚にする効果があることが確かめられました。また活性ビタミンAの塗布は、日光性角化症を減少させ、さらにその癌への進展を抑える効果もあるといいます。
 活性ビタミンAの外用は、皮膚の若返りだけでなく、皮膚ガンへの効果も期待され、今後が待たれます。(現在は先進国では、日本だけ発売されていません。しかし、並行輸入で輸入され美容整形外科などにはあるようですが、高価です。)

☆☆活性ビタミンA(レチノイン酸)と光老化
◇活性ビタミンAの外用剤が、中年の座瘡(ニキビ)患者に使っていて、座瘡が改善するだけでなく、皮膚のシワが減り滑らかになることが世界では知られています。でも日本では発売されていません。
◇長時間の紫外線照射を続けて作ったヘアレス・マウスの日光性弾力繊維症の皮膚に、活性ビタミンAの外用を行うと、真皮上層を新しいコラーゲン繊維の層で再び置き換えることが確かめられました。
◇1988年ミシガン大学のボーリース教授の実験で、人でも6ヵ月以上活性ビタミンAを外用するとシワが減ることが確かめられました。
◇田上らも、中年の日本人女性を対象に、活性ビタミンAの長期塗布によって、刺激性を上手に避ければ、小ジワを減少させ、皮表の角層の水分含有量を増し、滑らかな皮膚にする効果があることを確かめています。
◇活性ビタミンAを含むレチノイド一般に発癌抑制作用が認められています。活性ビタミンAの塗布は、前癌状態の日光性角化症の癌への進展を抑えるだけでなく、日光性角化症を減少させる効果もあります。
→→→→こうして活性ビタミンA(レチノイン酸)を含むレチノイドの外用は皮膚の若返りだけでなく、紫外線照射による発癌に対する大きな武器になることが予想されています。

◎現在、日本では軟膏は発売されていません。注射薬だけが白血病の治療に使われています。
その理由は、
1. 日本人(黄色人種)には、皮膚がんとひどいにきびが少ないこと。市場価値が少ない。
2. 厚生労働省は、日本人は白人と違うとして、欧米諸国のデータでは薬の有効性を認め
ず日本人のデータを要求するために、利益の少ない薬は製薬メーカーが手を出さないです。(しかし厚生労働省は、新型インフルエンザワクチン、バイアグラ、HPV子宮頸がんワクチンなどは承認しています。)
3. 同じように欧米では使われているが日本では使えない薬や、日本で承認されている薬
でも、病気の種類によって保険が適用されない薬は少なくありません。

 また活性ビタミンD3 外用剤を皮膚に塗布すると、その角層の水分結合能を上昇させる作用があることも見出されています。皮膚の表面を覆っている角層は、水分含有量が低下すると、乾燥し、ヒビ割れや鱗屑を生じてきます。その水分含有量が増せば、柔らかく、滑らかな皮膚となるので、今後外用剤として期待されています。 





 日焼け止めクリームのぬり方
①適量を手に取り、五点に置きます。②顔の中心から外側へのばしてぬります。
③骨格が出っ張っている所にぬります。④首や首の後ろ周り、鎖骨までぬります。

                              

太陽高度が50度より高い時間帯は紫外線に注意



太陽光線、紫外線
       UV-B             UV-A







 

子どもへの虐待、特に性的虐待

2017-04-17 08:34:58 | 子どもの病気と犯罪の予防
 子どもへの虐待が増えているようです

子どもへの虐待が増えていることを危惧しています
厚生労働省の調査では、2015年度の児童虐待は、10万3286件という。これに入っていないケースも想定されるので、もっと多いと思います。
 親族間の暴行も2016年には、6148件と増えています。またレイプなどの性暴力も増えています。
 子どもへの虐待の増加は、多くは子どもの育て方を知らない親が増え、それを教えたり、注意したりする親族や隣人がいないこともあります。高校で子育ての大変さを教えなければならない時代になったのですが、文部科学省は、日の丸、君が代に熱心で、子育ての指導をしていません。アメリカでは、私が高校か大学の頃に、既に始まっていました。しかし、それでも、子どもへの虐待が増え続けています。

 子どもの虐待が増え続け、それが統計上より多く、確実にアメリカ社会の方向に進んでいます。
 単なる虐待だけでなく、性的虐待も増えています。ある児童精神科医によると、先日のドラマにも取り上げられた、親からの性的虐待を受ける女の子が、顕在化せずにいるようです。ドラマでは、その為に妊娠し、生まれた子どもの顔がだんだん親に似てくるために、虐待を繰り返し、最後は養子に出し、子どもは養い親に引き取られて幸せになると言うものでした。

 それがハイソサイエティにも起きているようです。ドラマでもそうでした。それで、そんなことを認めたくないが、現実にあるのだということを、発信したかったのですが、最近起きた事件で思い出しました。ベトナム人の女の子の殺害事件からです。
 こういう事件が、殺害されて顕在化しましたが、隠されてあると思います。
 私の若い頃、アメリカでのウーマン・リブの運動が、レイプ事件を顕在化させ、アメリカ社会の暗部を暴いたのです。その後、次々といろいろな事件が、暴かれて行きました。そして、それが日本でも起きていたのです。
 
 昔、私の男の友人から、金のためにしたが、嫌なものだったと告白されたことがあります。男の子も、もしかしてそういう目にあって殺害されているのではないかと危惧しています。犯人たちの子どもたちは、どうなのでしょうか。もしかしたら、同じ目にあいながら、口を閉ざしているか、または、下記の記事のように記憶を消し去ろうとしているか、しているのでしょうか。

 
 この事件で、昔アメリカで起きたことを思い出しました。
 それは子どもへの性的虐待です。自分の子どもにし、その友達の女の子を殺害した事件が、20年後に明るみに出た事件です。
 
 ニュースウィーク日本版の記事です。それが日本にも登場して来たのではないかと危惧しています。



この記事の画面をクリックし拡大すると、記事゛何とか読めます。タイトルは「よみがえった殺人の記憶」です。

「子どもに対しての説教について」考える

2016-12-25 10:51:26 | 子どもの病気と犯罪の予防
       「子どもに対しての説教について」考える

 コメントにありましたので、通常はお答えしないのですが、大変重要なことなので、お答えに当たるかどうか判りませんが、私の考えを述べます。これはあくまで私のこれまでの僅かな経験と体験と、勉強して来た知識とで考えたことですから、一つの考えと思って下さい。
 できれば人生相談などへご相談される方がお母さん自身の問題として必要ではないかと思います。私はあくまで子どもの立場からのお答えです。これは一つの考えですから、あとはご自分で考えて下さい。また何か良い考えのある方はコメントして下さい。

 まず、子どもに話をしたり叱って、言うことを聞いてもらえる年齢は、ふつうは三歳過ぎからです。女の子は早く、男の子は遅いです。しかし、その年齢で子どもに期待してはいけません。
一般に叱られた理由は判らずに「してはいけないこと」としか判りません。ですから、言うことを聞く子も聞かない子もいます。中には顔色をうかがって、したりしなかったりします。そうしなければいけない意味、理由が判っていないのです。ただ叱られるかどうか様子をうかがってするのです。
 一般的には、親がよく判りやすく説明し、それで、よく理由を判って言うことを聞くのは、女の子では早くて小学校入学後であり、男の子では小学校中学年くらいからです。
 それ以前に親の言うことを無理やり聞かせようとするのは、無駄です。どんなに痛い目に合わせても、痛いことは覚えていても、またやります。
 死刑が犯罪の抑止力にならないように、痛い目に合わせても抑止力にはなりません。虐待を受けた子どもを見ると、骨折しても、あざができても、やけどができても、繰り返しします。なぜしてはいけないかが理解できないのです。特に、三歳以下では理解しろと言うのは無理です。それにその年齢以後でも、先に述べた年齢までは、判っていても従いません。
 それが子どもなのです。
 成長したら体罰をして言うことを聞く子は、体罰でなくてもきちんと説明すれば言うことを聞きます。話をして言うことを聞かない子どもは、体罰をしても言うことを聞きません。言葉でも、使い方により暴力になります。はやりの言葉でいうとハラスメントで、力関係で上の人が下の人にいうと、パワハラになります。
 そういう意味で、体罰は無意味であり、してはいけないのです。言うことを聞かない子は、逆にいつか仕返しをしてやろうと思うようになります。
 前述の年齢以前に、もし言うことを聞くとしたら、素直にきいてくれればよいのですが、なぜか意味が理解できないと、「闇教育」にも書きましたが、子どもが感情を押し殺して聞いているのだと思います。それが続くと、感情を表さないでまたは感情を押し殺して生きていく子どもになる可能性が高くなります。
 それはそうしないと生きていけないからです。子どもはすべて自分が悪いと思い、何とか親に合わせて生きて行こうとします。そうすると、自然に生じる感情は、それにじゃまになるので、押し殺すのです。それを繰り返していると、感情を持たない子どもになったり、または我慢していて、それを病気になることによって発散することになるのです。
 そうでない子は、反発して飛び出したり、逃げたり、そのほかいろいろな行動をとると思います。反発しない、または反発できない子どもは、自分を責めてしまいます。いろいろな子どもがいますから一概には言えませんが、何らかの行動をとらなければ、やはり自分を責めているのだと思います。
 一番心配なのは、感情を持たない子になることです。そうすると、池田小事件の少年Aのようになることが予測され、将来何らかの事件を起こさない保証はありません。がまんさせず、嫌なことは嫌というようにしましょう。喘息ならそれでよくなりますが、また繰り返せばまた喘息になります。性格が変わってしまえば、それを直すのは早いうちがよいです。
 父親にそれをやめさせることは難しいです。大人は自分の性格を変えるのは自分で気がついていても治すのは難しいし。自分で気がついていなければ、尚更難しいことです。

 母親は、まず父親の説教の後に、すぐか翌日くらいに、「お父さんがああいうのだから○○しなさいね。でも、そんなに気にすることはないわよ。お母さんだって忘れ物をしたことがあるわよ」とか「お母さんだってキャンプで火が起こせないわよ」とか言ってなだめ、「あなたはダメな子ではないわよ。○○したことが悪いので叱られたので、あなたは良い子だからちゃんとお父さんの話を聞いていられたのでしょ。」などと言って、お父さんのしたこと、言ったことを全否定はしないが一部は否定して、薄めて下さい。そして「お母さんはあなたのことを信じているからね」とか「お母さんはあなたのことを愛しているからね」と言って、母親の方へひきつけて下さい。そして「あなたはしっかりしているわよ」と言って、全否定された子どもを一人の人間として認めてあげて下さい。

 子どもが人の目を気にするようになっているのは心配です。それを何とか直さないといけません。それには、自分のしたことに自信を持たせることです。それには、お父さんに否定されたことでも、母親の目で見て、問題がなければ、そのように話してあげることです。
 あなたは、そんなことをすると父親からあなたが標的にされると恐れているのでしょう。しかし、大人で、もう既に出来上がっている大人のあなたが、まだ発展途上の子どもたちを守ることがあなたの勤めではないでしょうか。あなたが子どもたちの前に立ち、壁にならなければいけません。

 それができなければ、あなたはご主人と子どものどちらをとるかどうかが問われます。
 子どもをとるなら、子どもの立場に立ちましょう。あなたとご主人との関係を見直してはどうでしょうか。特に「いなくなってくれたらいいのに」などと言われて、あなたはどう考えていますか。「結婚したからには、夫に従う」などはもう過去の物です。
 私の祖母は「女は生まれてからは父親に従い、結婚したら夫に従い、老いたら息子に従う」という昔の考えでした。それで母と祖母はいつもけんかを繰り返し、父はどちらの方にもつけずにおろおろしていました。それで、祖母の矛先を受けたのは姉で、私は男であったので、あと継ぎとして見られ、まぬがれました。でも父も母も子どもや孫たちを叱ることはありませんでした(姉にはどうか判りませんが)。それで私は、今のように育ったのでしょう。

  夫の母親に相談してもだめです。母親はふつう息子の方につきますし、また女性では男に太刀打ちできません。相談するなら男性で、夫の伯父さんまたは叔父さんにすることです。いなければ、外部の男性、特に夫の信頼している人がよいです。第三者の方が話を聞いてくれると思います。それでだめなら、弁護士をたてるしかありません。

 門限や家の規則は親の勝手です。子どもが納得していなければ、何も強制力はありません。よく、本人も納得しているからと言いますが、本当に納得しているのでしょうか。いやいやしているではないでしょうか。子どもとの約束も同じです。
 これはみなさまに知って頂きたいことです。門限やその家だけの規則は、本当に子どもが納得し、その気にならなければ効力はありません。寝る時間も同じです。早く寝かせるには親が早く寝ることです。
 それは、暴力団に、または強権力的に、強制的に署名捺印させられても、その契約は無効にできます。もちろん、裁判所に認めてもらうことが必要です。
 それと同様に、親の一方的な考えでの門限や家の規則は、強制的に子どもに認めさせても、約束しても、それは無効なのです。
 また、子どもに教えても、子どもに興味がなければ、教えても覚えないのは当たり前です。それを覚えないからと叱っても意味がありません。興味を持たせておしえることが、ポイントです。しつけは教育ですから、教え込むことで、それには興味を持たせ、興味がある時に始めから正しいやり方で教えることです。目黒のある幼稚園で、三、四歳の園児に包丁をもって野菜を切ることを教えていました。それは、毎年のことで、一年上の園児が一人一人について、こうするのだよと教えるのです。そうすると必ずその通りにして、違うやり方や危ないことをしません。これが一番良い教え方なのですが、集団でないとできません。家では上の子に、下の子へ教えさせるのが良いと思います。

 子どもをだめだと全否定すると、本当にダメな人間になり、将来世間に出ていけないひきこもりになる可能性があります。また精神的な病気になる可能性もあります。子どもの人格を否定してはいけません。
 子どもを叱る時には、「あなたはダメな子ね」と言ってはいけません。「こういう悪いことはしてはいけません」と叱ることです。したことを叱っても、子どもの人格すべてを否定してはいけません。「あなたはいい子だから、こういう悪いことはしてはいけません」と叱ることです。
 そして父親が叱っていたら、母親がフォローして、陰でお父さんはああいうけれど、あなたはこういうことをしたから叱られたので、あなた自身はそんなに悪い子ではありませんよということです。
 喘息になったのは明らかにそのせいです。それはまた別に話します。
 お父さんに何を言っても無駄ですから、母親が壁にならないといけません。私は何も悪くないのになどと思ってはいけません。それができなければ、いろいろ証拠を録音しておき、離婚するしかありません。親が愛情で結ばれていなければ、仕方ありません。別れるしかないのです。大人はなかなか自分を変えられませんから、お父さんに変わることを期待しても無理です。
 もし愛があれば、あなたが子どもの間に入り、壁になることです。あなたは判っているのだから、いくらでも耐えて下さい。人の目を気にしたり、無表情になる子は、将来大変なことを起こすか、閉じこもるかするようになります。父親から離さなければいけません。それができなければ、将来どうなるか判りません。あなたが我慢してよいことはありません。子どもが大変になります。子どもを、これから犯罪者やひきこもりやニート、精神病や、その他いろいろな問題を起こす子にしたくなければ今しかないと思います。まだ回復は可能な年齢だと思います。
 私のいとこは、私より15歳以上も上でしたが、父親が東大法科卒で司法試験も通り、外交官でした。男3人女3人の6人兄弟で、男3人の3番目で、上二人は東大法科卒で長男は国家公務員上級職試験を通り当時の大蔵省へ入り、次男は司法試験を通り裁判官になりました。しかし、彼は法政大学を卒業しました。でも父親にとっては大学は東大しかなかったので、大学出ではない息子はできない息子と思い、「俺の目の黒いうちは俺が食わせてやる」と言って就職させませんでした。その結果、私はまだ子どもだったので詳細は判りませんが、医者になってみたら、彼はなんと統合失調症になっていたのです。
 私の大学時代に聞いたことですが、高校や進学塾で進路を聞かれた時に、成績の良い子は「僕は大学へ行きます」と答えたそうです。関東では成績の良い子にとって大学とは東大のことでした。だから東大とは言わず大学と答えたのです。私は、中学から慶応だったのでそれを知らず、その話を大学に受験をして入ってきた友達から聞いてびっくりしました。慶応なんか眼下にない大学だったのです。ですから、伯父がそのいとこに法政なんか大学じゃないということがやっとそこで判りました。
 そしていとこは精神的な病気になりましたが、伯父は息子の病気を認めず、伯父が病気で倒れて入院したすきに、当時私は医師になっていたので、友人の精神科医に相談し、精神病院に入院させたのですが、そこの医師に「大分古い統合失調症ですね」と言われました。そして、彼は精神病院の中で死にました。
 私の父も小児科医だったのですが、それを知っていても、口を出せなかったようです。そんな父を私は軽蔑していました。
 これは一つの例です。まだまだありますが、他人のことは表に出せないし、私の従兄弟も六人のうち一人しか生きていないし、その人ももう高齢なので、言ってもいいと思いここに出したのです。私も心療内科もしていますので、統合失調症、うつ病などには、必ず生まれて以後の過去があります。最近増えているニート、ひきこもり、発達障害などもそういう過去があると私は考えています。そういうお子さんをお持ちの方には、申し訳ないですが、そう考えることが、なぜ病気になるかを考えた時に浮かんでくるのです。それが私の病原環境論です。
 人はその生まれと、生まれて育った環境とによって、人になり、病気が決まってくると考えています。ですから、今の環境がお子さんによいとは言えませんから、何とか変えてあげることが必要だと私は思います。
 最後に、「闇教育」の中で参考文献として書いた本のひとつの「親を殺した子どもたち」という本があります。その本にに書かれていた子どもの一人は、親を殺したあとに「せいせいした」と言う言葉を言ったそうです。また昔、目黒で両親と祖母を殺した少年がいました。祖父はたまたまいなかったのでまぬがれました。その子は成績が悪いとお小遣いを減らされました。そう約束させられたのです。でもほんしんではありませんでした。そして一人っ子でしたので、四人の目で監視されていたのです。それが爆発したのです。その子は何と言ったかは書かれていませんでした。しかし「せいせいした」と思います。
 これを教訓的な言葉として、私は受け取り、みなさまにそうならないよう、子どもたちを育てて下さいと、新著に病気にならない子育て法を書いたのです。
 私はいろいろなことを知り過ぎ、過敏になっているのかも知れませんが、そうならないことを願っています。

はじめまして、あいしてます

2016-09-22 09:32:48 | 子どもの病気と犯罪の予防
 「はじめまして、あいしてます」というテレビドラマを見て、いろいろなことを考えさせられました。それは、私の提唱する病原環境論または適応説による子育て法が、病気だけでなく、犯罪の予防にもなることと、未だに父親による自分の娘への性的虐待が起きていることを知らされたことです。

 お母さんたちに言いたいことは、自分の子どもを愛するあまりに、自分の夫を愛することをおろそかにしていませんか。
 よくあることですが、予防接種事故の被害者や、生まれつきの障害者、最近は福島からの避難者に、子どもを愛するあまりに、夫や他の子どもをおろそかにする人が少なくなく、他の子どもがぐれたり、夫から離婚されたりすることが少なくないことです。

 子どもと共に、夫も愛して下さい。子どもは、自分の両親が愛し合っていることを願い、それを誇りに思い、そのまねをするものです。それが大切なことです。しかし、そういかない場合には、別れるしかありません。できるだけ早く決断することです。その理由は、家庭内暴力などをはたらく父親は、優しく育てられていなかったのではないでしょうか。その人が、反省したり、自分の欠点に気がついてくれることは、まれにはありますが、非常に難しいことなのです。

 子どもはかすがいなどとは、昔のことと思っていましたが、「はじめまして、あいしてます」を見て、やはりまだあるのだなと思い直しました。ハワイのある人が言うことには、人生を豊かにするための言葉は、「ごめんなさい」、「許して下さい」、「愛しています」、「ありがとう」ということだそうです。それを聞いた時に、私は、その通りで、いいことを言うなと思いました。この言葉が、心から思っていなくても、言うだけで、相手とのつながりを強くするのです。
 例えば、「ありがとう」というだけでもよいです。よく、日本人は「すみません」とか、「申し訳ありません」という人が多いですが、謝る場合は「ごめんなさい」とか「許して下さい」であり、感謝する場合は「ありがとう」と言いましょう。また、子どもや連れ合いには、「愛してます」と言いましょう。
 子どもを叱ったあと、「愛しているからね」とフォローすることも大切です。

 もうひとつ追加します。
 「はじめまして、あいしています」を観て
9月15日に最終回を放映したテレビ朝日の番組「はじめまして、あいしています」は、意外の展開になり終わりました。私は、最初は子育ての仕方などに、これでうまくいくのかなと思っていましたが、育てなおしをしたのを見て、これでうまく行くと思いました。
それは、思春期の子どもの精神的な病気を治すのは、この「育てなおし」をすることが必要だったからです。
また、子育ては、叱らず、ほめて育てて、愛していることを子どもに伝えることの大切さを、視聴者に伝え、始めは良いとは思わなかったのに、引き込まれて行きました。
そして、衝撃なラストは、その背景に未だに日本での児童の虐待と、父親の性的虐待があることが取り上げられていたことです。私が一番心配し、そして最近もある児童精神科医から聞いたことでもあるのですが、現実に、政財界の有名人にもあると聞きました。しかし、それは表面化しません。皆、仕返しを恐れ、命まで襲われることを恐れています。
精神的な病気の一部は、思春期に発病しますが、その一部には、家庭内の問題が隠されています。
私は、1991.2.28日本版NEWSWEEK誌に載っていた「よみがえった殺人の記憶」という記事を思い出しました。その記事は、30歳になった女性が父を殺人で訴えたのです。そして、それはその女性が娘の瞳を見ていて突然思い出したのです。それは、子どもの時に父親から犯されていたことと、自分の親友の女の子が、自分の父にいたずらされ殺された場面を見ていて、父親から口外したら殺すと脅かされていたというのです。それを裁判所に訴えたのです。「記憶の抑圧」という心理反応の是非が問われた事件でしたが、一審では陪審員は有罪としました。その女の子が殺された事件は迷宮入りになっていたのです。
それが明るみに出たのです。この事件は、父親や他の男性からの女児への性的暴行と児童虐待を明るみに出したのです。訴訟は上告されましたが、結果は報道されていません。
日本でも、昔からあったようですが、それが明るみに出たのはウーマンリブの運動以後でした。そして、それが今も続いていることに、そしてそれがドラマ化されたことに驚きました。
私は「闇教育」を、読み返し、これからも、家庭内暴力、子どもへの虐待、父親による性的虐待、さらにその結果生じてくる「記憶しないこと」と「記憶の抑圧」が、感情を抑圧することによる家庭内殺人、無差別殺人、大量殺人の事件が繰り返し起きてくることを予測しています。
何をしたらよいでしょうか。皆さんにこれを伝え、私の子育て法を広めてもらいたいと願っています。
そして、その子育て法は、子どもが病気にならない方法でもあるのです。今多いアレルギーの病気はすべて、子育て法を変えることによって治ります。特に、生まれた時からしていれば、両親にアレルギーがあってもアレルギーになりません。どうか試みて下さい。それには、私の本を読んで下さい。

子どもの日焼けを防ごう

2016-06-20 09:37:36 | 子どもの病気と犯罪の予防
 日焼けは体の防衛反応です。

もう紫外線から体を守ることを、子どもに教える時代になりました。

日焼けするのはもうやめよう           
          -日焼けと光による皮膚の老化の話-
 
人間は日光の下で進化し、地球の気温の維持、食物の間接的源泉など多くのめぐみを日光から受けてきている。人間の目、皮膚、血管、ホルモン系などは日光に反応し、紫外線により皮膚でビタミンDが作られるし、毎日のバイオリズムは日光の周期的変動に依存している。にもかかわらず、日光は有害であり、日焼けをきたし、DNAを障害し皮膚ガンを発生させ、皮膚にしわを作り老化させ、目に炎症を起こし、白内障をもたらす。
☆紫外線は環境の中でもっとも危険なものの1つである
 この20年の間に、光線に対する皮膚の反応の研究が進み、日光のもついろいろな働きが明らかになった。皮膚は、人間とその環境との境界であって、この皮膚に直接作用する物理的要因の代表が日光である。
 紫外線もまた生体の細胞に対して、遺伝子の突然変異をはじめ多くの傷害をひきおこすことが分かった。その大部分は光にあたっていない時に、修復酵素によって修復されるとはいっても、わずかな異常は長年の間に蓄積される。その結果が光による老化と皮膚ガンである。
 また妊娠初期に強烈な紫外線(人工太陽光線も)をあびると、必須ビタミンBである葉酸塩の血中濃度が低下し、胎児の脊椎などの神経管異常の発生率が高くなることが判った。葉酸塩の破壊も紫外線の悪影響の一つに加わった。葉酸塩の低下も男性の不妊症や胎児の異常に関与することも判った。
☆日光浴はもうやめよう
 従来、日光はクル病を防ぐ健康光線として、日光浴が薦められたが、現在の日本では、普通の食生活をしている限り、ビタミンDの不足が起こることはないし、たとえ不足しても、食物からも、薬によっても補うことができる。日光浴への幻想は、皮膚の早期の老化を招き、皮膚ガンの原因になっている。日光が皮膚にあたって起きるか、またはそれに関連して起きる病気は25以上におよぶ。
☆日光浴するなら、紫外線を遮断(サンスクリーン)する
 最近、白人の社会では、10歳までは日焼けしないように薦めている。平均的日本人も、白人と同じように日に焼かない方がよい。だから長時間の日光照射を受ける場合には日焼け予防が必要になる。元東北大皮膚科田上教授は1991年、日本医事新報に「オゾン層の消失が環境保護の面から騒がれる最大の理由は、この紫外線照射による皮膚障害、皮膚癌発生が増す可能性を恐れてのことであり、今後、私たち医師は過度の日光照射の害を一般人に説かなければならない。また、長時間の日光照射を受ける場合にはサンスクリーン・クリームを使用する必要性があることは、子供の時代から学校で教育されなければならない。」と書いている。個人の日光曝露時間の約半分は18歳までに起きるので、子どもに日光の有害性を教えることが重要である。
☆B紫外線が悪役
 紫外線は波長により、A紫外線(長波長紫外線)、B紫外線(日焼けスペクトル-短中波長)、オゾン層で吸収され地表には届かないC紫外線(殺菌線-短波長)に分けられている。太陽光線の中でも、日光放射エネルギーの3%を占めるB紫外線全部およびA紫外線の一部が、皮膚に対する障害(日焼け、皮膚ガン)をもたらしている。C紫外線の大部分は、角化層の死んだ細胞層によって吸収される。
B紫外線は大部分表皮で吸収され、その程度は皮膚のメラニン色素の沈着の程度に左右される。白人は85~90%、色の黒い人は90~95%表皮で吸収され、残りが真皮に到達する。表皮を通過した紫外線は、血管内侵入し、血液内のリンパ球を障害し、単核球の活動性を失わせる。紫外線のもっとも有害な効果は、細胞を殺すことで、その他に、突然変異をひきおこす、発ガン性、DNA・RNA・蛋白合成の障害または抑制、免疫の障害がある。B紫外線はそのほとんどをおこし、さらに日焼け、皮膚の黒化、ビタミンD合成、角化増殖、皮膚の老化もおこす。長波長のA紫外線や可視光線は真皮に深く達し、障害は少ない。A紫外線による障害は、B紫外線の800 ~1000分の1である。
☆日焼けと黒化
 日に焼ける反応には、紅斑反応と黒化の2つがある。 急性の日焼けによる紅斑反応、つまり赤くなり、むくみ、時には水ぶくれができ、広範囲だと熱や痛みが出る反応は、サンバーン現象で、これは皮膚が痛めつけられた状態で、やけどと同じである。黒化は、サンタン現象といい、色が黒くなることをいう。
       ☆日焼け反応の分類(ハリソン「内科書」より)
   型     夏の日光に45分あびた後の、紅斑反応および黒化の仕方
   Ⅰ  常に紅斑になるが、決して黒化することなく、しばしば剥脱(ケルト人)
   Ⅱ  常に紅斑になり、軽度黒化する
   Ⅲ  常に紅斑になり、中等度黒化する(平均的白人種--平均的日本人も)
   Ⅳ  ときに紅斑になり(最小限度)、常に黒化する(オリーブ色の皮膚)
   Ⅴ  まれに紅斑になり、容易に黒化し、持続する(褐色の皮膚)
   Ⅵ  決して紅斑にならず、高度に黒化する(黒人)
☆日焼けによる黒化(サンタン現象)は、紫外線に対する防御反応で、1つは色素黒化で、表皮で既に生成されている色素の速やかな黒化で、第2はメラニン新生で、通常紅斑反応の3~4日後にみられる。
 メラニン新生は、①表皮下層のメラニン細胞の増加 ②メラニン細胞の樹枝状の枝分れの増加 ③褐色のメラニン色素の増加 ④メラニン色素を表皮細胞に転送する、という過程があり、その結果肌が褐色に変化するには、日にあたってから7日かかる。この反応は7~10日後に減少し、30~60日で正常に戻り、日焼けによる皮膚の黒化も2ヵ月たつとうすれる。この黒化する程度は、遺伝的に決定されている。
☆日光により引き起こされるガン
 B紫外線により皮膚ガンや前ガン状態がおきる。白人では、皮膚ガンは顔、頭、首(頚部)、腕と手、の習慣的に日光にさらされる場所(特に鼻、頬、眼瞼、手指)に限られている。(色白の日本人も同じと考えられる。)黒人や褐色の皮膚は皮膚ガンの発生に抵抗性がある。人種の肌の色の違いは、紫外線に対する強さの違いであり、熱帯地方の住民の皮膚の色は黒く、紫外線が表皮層内に侵入するのを防いでいた。
☆日光による皮膚の老化
 顔や手の甲に見られる年寄りのシミやシワは、日光に含まれる紫外線に長年さらされて生じる。しかし、顔に深いシワがあり、シミを沢山もつ老人でも、お尻の皮膚を見るときれいな白い皮膚をしていて、せいぜい腕、下腿、上胸部、上背部にシワやシミがみられる程度で、常に外に出ている顔や手の甲ほどの変化は、衣服で覆われている部分の皮膚にはまず認めらない。表皮自体は、細胞が絶えず生まれ変わるから、老化しないが、長い間紫外線を受け続けると、表皮下の真皮がダメージを受けて深いシワを作る。シワの刻まれた皮膚では、表皮はうすく扁平になり、異常細胞が多く、配列も乱れている。真皮では正常のコラーゲン繊維が減少または消失し、不規則な弾力繊維が増加し、置き換わっていく。この変化は、光による老化であり、日光によっておきる皮膚の変性である。
 日本人に近い皮膚をしているチベット人やアンデスの先住民(インディオ)では、高地の強い紫外線の影響がすでに幼児から生じ、20歳前後では日本人の40~50歳の農民や漁民のような、光による老化現象の強い皮膚をしている。
 日光変性は、長い年月、日光にさらされた場所の皮膚の変化で、しわ、しみ、萎縮、メラニン沈着、脱色素斑、毛細血管拡張、黄色斑と丘疹、角化増殖を含む。この変化は不可逆性で、その唯一の原因は日光であるが、日光遮断剤の外用で最小限にとどめることはできる。
☆上手に日焼けして肌を守るには
 平均的日本人はⅢ型であり、白人と同じで、紫外線を強くあびない方がよい。上手に日焼けするには、紫外線の弱い2月頃から、少しずつ太陽光線を浴びて、その時間を増やしていき、メラニンを増やして色が黒くなると、紫外線に抵抗性が増すが、黒くなる程度は遺伝ですから、ある程度しか期待できません。だから夏の直射日光には当らない方がよいでしょう。
☆強い紫外線を避けよう
(1)効率のよい日光遮断物質を使って光線防御をおこなう。
(2)紫外線の多い季節に、紫外線の多い時間、晴れた日射しの多い戸外に長時間出る時は、必ずつばの広い帽子をかぶり、袖の長い適当な衣服を着用するか、 (1)で防御するか、戸外に長時間出るのをさける。
(3)年間で紫外線量は6月が最大ですが、雨や曇の日が多く、4月、5月の晴れた日は、紫外線量は8月、7月に匹敵するが、暑さを感じない為、気づかれにくい。
(4)1日の紫外線量は午前9時から、午後3時までが多い。

紫外線の変動
紫外線の1日の変動量(時)         紫外線の年間変動量(月)

☆日光遮断剤(サンスクリーン)
 日光遮断剤は、皮膚に到達する紫外線を減らすことによって、紫外線による皮膚ガンと光による老化の危険を低下させることができる。普通の日光遮断剤はB紫外線を防御するようにできていて、広域スペクトル日光遮断剤はBおよびA紫外線を遮断できると考えられている。
◇サン・ケア指数とは何か
 日光遮断剤(サン・ケア化粧品)の効果は、日光遮断因子(SPF)で表示され、SPFは紫外線B波の防御効果をあらわす指標。数字が大きいほど皮膚防御効果も大きい。平均的な日本人の皮膚は夏の日光に約20分当ると赤くなってしまうが、日焼け止めクリームをつけると、その時間が何倍に延びるかが数字で示してある。日本人用のクリームにSPF12とあれば、その有効時間は20分の12倍の4時間だから、4時間おきにぬる必要があります。SPFはメーカーによって実験方法が異なるため、同じ数値でも紫外線のカット効果に差がある。輸入品もまた異なる。サン・ケア化粧品の日光防御効果の決定的要因は、それが皮膚に残留する能力すなわち持続性(安定性)である。数字が高いほど防御効果が強いのではなく、持続時間が長いだけである。
PAは紫外線A波の防御効果を表し、+の数が多い程効果が高い。+~+++までの3段階ある。
◇日光遮断剤の選択
 もっとも重要なのは、日光に対する反応の個人差である。皮膚の色が白く、すぐ赤くなり、余り黒化しない人(皮膚のⅡ型)はSPF10~12以上を使うべきで、中等度または軽度に赤くはなるが、よく黒化する人(皮膚のⅢおよびⅣ型)は、SPF6~8がよいという。通常、日光にさらされる場所、たとえば顔、首、腕、手などは非油性のローションで日中防護すべきである。長時間の日光浴や水浴後には、再度日光遮断剤を使用すべきである。急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効である。
◇ 日焼け止めクリーム選び
① 紫外線散乱剤配合 ②石けんで落ちるもの ③SPFは20以下(20でも6時間40分効果が持続)④発がん性が報告されている酸化防止剤のBHT、TEAが配合されていないもの。   
どんな商品が良いか。以上の条件を満たすものを選ぶこと。手元の資料は2002年のものなので、参考にするくらい。新しい商品も出ているはず。ぬる前に腕に塗って赤くかぶれないことを試す。うすくのばしてぬる。
「すべすべみるるUVローション10」明治乳業と「ジョンソンベビーローションUV」ジョンソン・エンド・ジョンソンは3ヶ月頃から、「ニベアSUNキンダーM」花王は幼児以上。SPF30まで広げると、「サンカットベビー&ファミリーA」和光堂6ヶ月以上、「すべすべみるるUVローション30」明治乳業3ヶ月以上、「ニベアSUNキンダーC」花王は幼児以上が該当するようである。
☆活性ビタミンAと光による老化
◇近年、アメリカや日本で、活性ビタミンAを6ヵ月以上塗布すると、シワが減り、滑らかな皮膚にする効果があることが確かめられた。また活性ビタミンAの塗布は、日光性角化症を減少させ、さらにその癌への進展を抑える効果もあるという。
 活性ビタミンAの外用は、皮膚の若返りだけでなく、皮膚ガンへの効果も期待され、今後が待たれる。(現在は先進国では、日本だけ発売されていない。)
☆☆重症の日焼けの治療
急性日焼け反応により高度の紅斑、浮腫、水疱、疼痛を示す人は、副腎皮質ステロイド内服が有効である。経口的に、プレドニンを40~60mgから始め、4~8日ごとに減少すれば、コントロールすることができる。
☆☆活性ビタミンA(レチノイン酸)と光老化
◇活性ビタミンAの外用剤が、中年の座瘡(ニキビ)患者に使っていて、座瘡が改善するだけでなく、皮膚のシワが減り滑らかになることが世界では知られている。でも日本では発売されていない。
◇長時間の紫外線照射を続けて作ったヘアレス・マウスの日光性弾力繊維症の皮膚に、活性ビタミンAの外用を行うと、真皮上層を新しいコラーゲン繊維の層で再び置き換えることが確かめられた。
◇1988年ミシガン大学のボーリース教授の実験で、人でも6ヵ月以上活性ビタミンAを外用するとシワが減ることが確かめられた。
◇田上らも、中年の日本人女性を対象に、活性ビタミンAの長期塗布によって、刺激性を上手に避ければ、小ジワを減少させ、皮表の角層の水分含有量を増し、滑らかな皮膚にする効果があることを確かめている。
◇活性ビタミンAを含むレチノイド一般に発癌抑制作用が認められている。活性ビタミンAの塗布は、前癌状態の日光性角化症の癌への進展を抑えるだけでなく、日光性角化症を減少させる効果もある。
→→→→こうして活性ビタミンA(レチノイン酸)を含むレチノイドの外用は皮膚の若返りだけでなく、紫外線照射による発癌に対する大きな武器になることが予想されている。
◎現在、日本では軟膏は発売されていない。注射薬だけが白血病の治療に使われている。
その理由は、
1. 日本人(黄色人種)には、皮膚がんとひどいにきびが少ないこと。市場価値が少ない。
2. 厚生労働省は、日本人は白人と違うとして、欧米諸国のデータでは薬の有効性を認めず、日本人のデータを要求するために、利益の少ない薬は、製薬メーカーが手を出さない。(しかし厚生労働省は、新型インフルエンザワクチン、バイアグラ、ヒブワクチン、ヒトパピローマウイルスワクチン(HPV子宮頸がんワクチン)、ロタワクチン、肺炎球菌ワクチンなどは日本人のデータがなくても承認している。)
3. 同じように欧米では使われているが日本では使えない薬や、日本で承認されている薬でも、病気の種類によって保険が適用されない薬は少なくない。
 また活性ビタミンD3 外用剤を皮膚に塗布すると、その角層の水分結合能を上昇させる作用があることも見出された。皮膚の表面を覆っている角層は、水分含有量が低下すると、乾燥し、ヒビ割れや鱗屑を生じてくる。その水分含有量が増せば、柔らかく、滑らかな皮膚となるので、今後外用剤として期待される。



 


子どもの虐待を防ぐために

2015-10-01 12:52:26 | 子どもの病気と犯罪の予防
子どもの精神的な病気や少年犯罪が目立ちます。これは10年前にもあったことで、その後無くならずに続いていることです。そこで、当時読んだ本の中に書いてあったことを思い出し、もう一度読み、当時アメリカやフランスの精神科医や学者たちが、言っていたことをここに取り上げたいと思います。

それは、少年Aの問題が、クローズ・アップされたこともあります。今後、親から子への連鎖を断ち切るためにも、みなさまにお読み頂きたいことのほんの一部です。

子どもの虐待をなくす為に
―子どもの犯罪や病気、しいては大人の犯罪や病気をなくすために―
 最近、少年Aの問題がとりざたされ、以前親殺し事件が続いた時に読んでコピーしておいた「闇教育」ということを思い出し、みなさまに取り上げて頂きたく書くことにしました。これは、アメリカでウーマン・リブから始まり、レイプ問題、そして家庭内暴力と子どもへのさまざまな虐待に光をあてられてきたことです。
ヨーロッパでは18世紀から問題提起され、20世紀になり、乳幼児精神医学に取りあげられるようになりました。いまだに続いているのは、キリスト教のせいでしょうか。
最近増えている子どもへの虐待は、日本で昔から行われていたのでしょうか。行われていて、ようやく光があてられ始めたのでしょうか。どうもそうであるようです。
子どもが乳幼児期に虐待を受けると、悲しみや怒りなどの感情を抑圧するようになり、その後の精神的発達を妨げることが判りました。それに光をあてたのが「闇教育」です。
19世紀から20世紀前半まで、親が子どものために愛情をそそぐことは、いわば保険をかけているようなもので、社会的地位の向上が二世代にわたって行われると信じたり、それが子どもにとってよりよい将来を保証すると考えられていました。
「子どものために」という建前のもとに、子どもはひどい虐待を受けていたのです。
18世紀には、早くも教育者のズルツァーは、「時間の経過とともに、子どもはごく幼い時期に経験したことをすべて忘れてしまう。その時期に、どうにかして子どもから意志(願望とそれを実現させようとする決意)を奪ってしまえば、後に自分が当時どのような意志を持っていたか決して思い出せはしない。」という。(これはいまだになぜなのかが謎)
1977年カタリーナ・ルーチュキイが「闇教育」という名前で、当時の教育法を集めた本を書き、その中で「早期の条件付けによって、人は自分に何が起こったかを気付かなくするあらゆる技術が網羅されている」という。この「闇教育」の思想をアリス・ミラーが紹介しています。その中で、「闇教育法の原理」を挙げると、
「生きている人間を抑圧する手段は、以下の通りである。罠(わな)、嘘、かけひき、隠匿(いんとく)、操作、脅迫、愛情を与えないこと、孤立,不信、侮辱(ぶじょく)、無視、嘲笑(ちょうしょう)、恥辱(ちじょく)、そして拷問(ごうもん)を含めた暴力の活用」。
また、手順のひとつに、「最初から子どもに間違った情報と間違った考えを伝える」というやり方があります。
また、何世代にわたって伝えられた「闇教育の原理」の代表的なものに、以下のものがあります。
*義務感が愛情を生み出す
*憎しみは人をおしのけることで消せる
*服従により人は強くなる
*厳しさと冷たさは生きる上で役に立つ
*激しい感情の動きは有害である
*親は親というだけで尊敬に値する
*子どもは子どもであるとの理由でいかなる尊敬にも値しない
*子どもの価値を高く評価するのは有害である
*子どもの価値を重視しなければ親切な子どもになる
*優しさを示すのは、有害である(甘えた子どもになる)
*子どもの欲求に屈する必要はない
*見せかけの謝意のほうが、感謝の気持ちが欠けているよりはましである
*外見のほうが心よりも重要である
*親は神ではないので、些細な侮辱にも耐えられない
*肉体は、不潔でいやらしいものである
*親は欲動を欠いた存在であり、あらゆる罪を免除されている
*親はつねに正しい

また別の本では、
○赤ちゃんが理由もなく泣いたりわめいたりしたら、これはわがままの現れだから、体罰で警告しなさい。(「泣く子と地頭には勝てぬ」ということわざはどこへ行ったのでしょうか)
○わがままは一掃しなければならない。
○3歳になるまでに必ず行わなければならない教育は、両親と目上の人への絶対の服従と不満をもたない習性を作ることである。2歳までにやれば子どもは覚えていない。
○あなたの息子を支配しなさい。服従させなさい。そのためには、体罰や食事を与えないことなども効果がある。(この時生き延びる為に従うが、感情を体験する能力を失う。)
○子どもが悪さをした時に、子どもをだまし、脅かし、誘導尋問して窮地に追いつめ白状させたほうが効果がある。(このようにされた子どもの屈辱感と自責感は心に傷を残さないはずがない。)
○子どもの長所をほめることはよくない。うぬぼれた子どもになる。
○うぬぼれた子どもには屈辱感を味あわせる以外はない。
○しつけとは、まず言葉でなく行為であり、言葉になったときは命令である。教育とは折檻という方法が必要である。(これでは優しい生き生きとした感情は育たない)
 と書かれています。
上記の項目のどれかに、あなたは賛意をもちますか。それは、あなたの子どものためになりません。今すぐやめましょう。ドイツやフランスでは、間違った子どもへの考え方とされています。自分の意志を持たない子ども(長じれば大人)を生み出す原因になります。
子どもは類のないすばらしい授かり物として家族の中心に位置することになります。しかし、教育の実体、親子関係において、子どもたちは「子どものため」とい名目でひどく虐待されてきたのが実情です。子どもへの虐待は、子どもの精神的発達を障害し、精神的な病気や問題行動を生じ、間違った論理をもつ大人を生んでしまいます。
そこから闇教育の原理でできあがった国家が、自然にできあがる危険があります。それが、現実にあるのです。
このアリス・ミラーの紹介をカロリーヌ・エリアシェフ「楽園を追われた子どもたち」で読み、それを忘れて探しているとき荒木ひさ子の論文を読みました。ミラーはヒットラーが子ども時代に受けた教育を指しています。そして、ヨーロッパ、アメリカ、そして日本にもこの思想があり、子どもを教育とかしつけの名目で虐待し、子どもはそれを心の中に抑圧します。
日本にも、子どもを親の所有物と考える思想がまだ残っています。子どもは、いつから一人の人間として扱うかについては議論がありますが、少なくとも社会全体の子どもなのです。虐待された子どもは、無意識に自分の子どもにこれを繰り返します。また、親のまねをして他の子どもにしているのが、いじめなのかも知れません。その悪循環を断ち切り、優しい社会にしたいと思います。
そして子どもの虐待は、身体的な虐待、ネグレクト、心理的虐待、性的虐待があり、その陰に教育による虐待(隠された虐待)があるという。
荒木氏は、日本では、第二次世界大戦(15年戦争)まで、忠・孝・恥が教育の中心であり、戦後は忠は抜け落ちたが、孝と恥は残り、この思想が親が子どもを虐待するとき、虐待していると言う意識を取り除く。1970年代のアメリカのフェミニズムが、それまで社会の禁忌であったレイプの実態を白日のもとに引き出した。この運動は自然の帰結として、家庭内暴力、児童虐待に行きついたが、日本では人権意識が低く、子どもは自分の持ち物という封建思想が残り、社会的関心ははまだ低いという。
 エリアシェフは、これが子ども長じて大人の精神神経障害やいろいろな犯罪につながると警告しています。
 「育児室からの亡霊」(モースとワイリー著)では、それを犯罪に結びつけています。
 日本でも起きている親殺しや少年犯罪(とくに殺人事件)や、大人による無差別殺人事件なども同じ精神病理から来ているのではないでしょうか。(親殺しや兄弟殺しの子どもの親に教育者が少なくないこともささやかれています。)
 また、引きこもりやいじめなども、同じ病根からきているのではないでしょうか。
 少年Aの問題が再燃して思いだし、昔読んだ本を探して、当時よりもっと強く、優しい社会への展開を希望します。もちろん、以前私も心の病気になり、手塚治虫の「ブッダ」の漫画から、ラディカル・ブッディズムに傾倒し、それまでに心療内科の訓練法を取り入れていたこともあり、こころ優しくなりました。でも、まだまだ人に優しい原始(根本)仏教にはおよびませんが、努力していきたいと思ってここに書きました。