新たに書き直しました。
乳幼児健診と生活のアドバイス Ⅶ
☆18ヵ月(1才6ヵ月)
[栄養]
◇クララ・デービスのカフェテリア実験
昔、私が小児科医になる以前に、イギリスの小児科医の女医クララ・デービスが1歳1、2か月の幼児を使い、今で言うバイキング形式のように、バランスの取れた食べ物を並べて、それを自由に、好きなだけ食べるようにさせたのです。子どもは、勝手にいろいろな食べ方をしました。食べたい物だけを食べたいだけ食べていました。見ていると到底バランスが取れているとは思えなかったのです。しかし、一か月と言う期間の統計を取って見ると、必要な栄養素を必要なだけ食べていることが判ったのです。この結果を学会に発表したら、ヨーロッパ中の小児科医がびっくりしました。そこでアメリカも含めた多くの国の小児科医たちが追試験をしましたが、すべて同じ結果になりました。徴兵制のある国で、徴兵された若者たちを対象に内科医が同じことをしましたが、結果は変わりませんでした。それで、そのやり方が良いことが認められたのです。
このことは、日本の栄養学者でも知らない人がいますし、小児科医でも余り知られていないようです。先端医療には関係がないものだからでしょう。
◇哺乳ビンはやめていますね。使っていたらすぐやめましょう。
◇食物の好き嫌いは、この年齢ではよく変ります。子供の自主性を認めて下さい。
◇スプーンとおはしの練習、鉛筆の持ち方。
どんなことでも教える時は、始めから正しいやり方で教えて下さい。
おはしや鉛筆の持ち方なども、そばについていて、こどもが変な持ち方をしたらすぐ正しい持ち方に直すのです。そうすると持ちにくいので嫌がりますが、根気よく直してやることで、嫌なら持たなくてよいのです。嫌がっておはしや鉛筆を放りだしたらおしまい。また持ちたがったらまた同じようにします。1年かかりますが、そうすれば3才でお豆がおはしでつまめるようになります。
変なくせをつけると、苦労して直すのに最低5~6年かかりますし、直す意志がなければ、大人になっても直りません。
◇歯みがき--歯ブラシを与え、使い方をやってみせて、まねするようにはげましてあげます。歯ブラシを口の中に入れるのを嫌がらないようにし、ならしていくこと。楽しくするのがこつ。決して無理強いしてはいけません。できればみがき終わったら、よくみがけているか見てあげて、ほめて下さい。
◇食事の中休みの時に甘い物を食べさせます。こどもはその後、また御飯を食べます。
甘い物はこどもの食事の必需品です。制限せずに充分与える事で、甘い物に関心を持たせない様にさせるのです。
[健康]歯の健診(できるだけ小児歯科がよい)。ツベルクリン反応
◇睡眠。--夜中におびえますか。
寝る時の決ったやり方(睡眠儀式)をして、寝ます。寝る時間を決めましょう。
この時期昼寝の仕方を替えたり、全くしなくなったりします。
夜中に起きるような睡眠の乱れは、親子の相互作用に問題がありますから、相談して下さい。
◇トイレのしつけを始めます。 おまるを用意しましょう。いきなりトイレで練習できる子もいますが、多くのこどもはトイレをこわがるので、おまるから始めます。こわがるとかなり長い間続きますので、試さないで下さい。決してあせらない事。
おむつを早くとろうとすると、おねしょや、おもらし、ちびったり、おしっこ関連の病気になりやすくなります。おむつは必ず3才までにとれます。遅い子の方が、おねしょやちびることが少ないです。早くおむつがとれた子におねしょやちびりが多いのです。
おまるやトイレに行って、タイミングよくおしっこやうんちが出た時が練習で、出なかった時は練習になっていません。すわらせたままにしてはいけません。
[安全]
◇ペット(犬、猫、鳥)--ぬいぐるみと同じに扱うので、犬や猫に反抗されます。教育を受けていない犬は自分を家族の中でランク付けし、すきあらば上に上がることをねらっています。その為ほえたり、噛んだりしておどかすなど、攻撃性をもっています。だからしばしば犬にこどもがかみ殺される事故が起きます。犬に不用意に近付かない様に教えましょう。日本では普及が進んでいませんが、犬を飼う場合は、必ず小さい内に教育を受けさせましょう。学校もありますし、知識さえあれば家ででもできます。
◇マッチ、ライターによる火遊び
◇階段と窓の安全柵。チャイルド・シート。電気コードやコンセント。水の事故。自動車や家の中に一人でおかないこと。
◇転落、墜落。台やいすを、危険な所や高い所に登れる場所に置かない。
◇道路で遊ぶ時は必ず見張っていること。この年齢では、危険を理解できないし、何かに夢中になると、すぐ周りの危険を忘れてしまいます。
[社会的発達]
◇性に対する関心が出る時期です。おチンチンがあるかないかが問題で、女の子の中には、あるべきものがないのは自分が劣っているからだ思う子がいます。「お母さんにもおチンチンはないのですよ。あなたもお母さんになって赤ちゃんを生むのですよ。」と教えてあげましょう。赤ちゃんを生むことができるのは、女の子にとって魅力的なことなのです。性器の名前は正しい用語で教えましょう。
男の子はおチンチンをいじります。ちょうど手のいく場所で手の感触も良いからです。いじらせない為には、何か手で遊ぶものに興味をひきつけてやることで、手を使わせれば自然に手が行かなくなります。
◇こども用ベッドまたはふとんにひとりで眠る習慣をつけます。そうすると、こどもは自分のふとんに入ると気持が落着いて眠くなります。
[遊び]
◇まだ他の子と遊べません。おもちゃを貸してあげることもできません。
◇ブロックや組合せおもちゃなどがよい。こどもは引出しや戸棚の中身に興味をもちます。
◇かくれんぼや「ごっこ遊び」などのゲームをしてあげます。
◇簡単な仕事(おもちゃをひろうなど)をやらせます。家事の手伝いも、でき始めます。
◇よじのぼれる場所や、運動のできる場所を与えてあげましょう。
◇テレビを見る時間を制限し、一緒にこども番組を見ます。子守り替りにテレビを使わず、親のご都合主義をしないこと。
◇何かがうまくできたり、自分のことを自分でできたりしたら、感心したり、ほめたりして、愛情を示しましょう。
◇言葉による禁止と、必要ならこどもを押さえたり、抱えたり、抱いて連れて行ったり、危ない物を片付けたりします。
◇こどもをたたいてはいけません。体罰は効果がありません。
親の見ていない場所でするだけです。たたくと、下の子や赤ちゃんをたたきます。また母親をたたいたりします。スウェーデンでは、こどもに体罰をすると親が罰せられます。
小児科 黒部信一
乳幼児健診と生活のアドバイス Ⅶ
☆18ヵ月(1才6ヵ月)
[栄養]
◇クララ・デービスのカフェテリア実験
昔、私が小児科医になる以前に、イギリスの小児科医の女医クララ・デービスが1歳1、2か月の幼児を使い、今で言うバイキング形式のように、バランスの取れた食べ物を並べて、それを自由に、好きなだけ食べるようにさせたのです。子どもは、勝手にいろいろな食べ方をしました。食べたい物だけを食べたいだけ食べていました。見ていると到底バランスが取れているとは思えなかったのです。しかし、一か月と言う期間の統計を取って見ると、必要な栄養素を必要なだけ食べていることが判ったのです。この結果を学会に発表したら、ヨーロッパ中の小児科医がびっくりしました。そこでアメリカも含めた多くの国の小児科医たちが追試験をしましたが、すべて同じ結果になりました。徴兵制のある国で、徴兵された若者たちを対象に内科医が同じことをしましたが、結果は変わりませんでした。それで、そのやり方が良いことが認められたのです。
このことは、日本の栄養学者でも知らない人がいますし、小児科医でも余り知られていないようです。先端医療には関係がないものだからでしょう。
◇哺乳ビンはやめていますね。使っていたらすぐやめましょう。
◇食物の好き嫌いは、この年齢ではよく変ります。子供の自主性を認めて下さい。
◇スプーンとおはしの練習、鉛筆の持ち方。
どんなことでも教える時は、始めから正しいやり方で教えて下さい。
おはしや鉛筆の持ち方なども、そばについていて、こどもが変な持ち方をしたらすぐ正しい持ち方に直すのです。そうすると持ちにくいので嫌がりますが、根気よく直してやることで、嫌なら持たなくてよいのです。嫌がっておはしや鉛筆を放りだしたらおしまい。また持ちたがったらまた同じようにします。1年かかりますが、そうすれば3才でお豆がおはしでつまめるようになります。
変なくせをつけると、苦労して直すのに最低5~6年かかりますし、直す意志がなければ、大人になっても直りません。
◇歯みがき--歯ブラシを与え、使い方をやってみせて、まねするようにはげましてあげます。歯ブラシを口の中に入れるのを嫌がらないようにし、ならしていくこと。楽しくするのがこつ。決して無理強いしてはいけません。できればみがき終わったら、よくみがけているか見てあげて、ほめて下さい。
◇食事の中休みの時に甘い物を食べさせます。こどもはその後、また御飯を食べます。
甘い物はこどもの食事の必需品です。制限せずに充分与える事で、甘い物に関心を持たせない様にさせるのです。
[健康]歯の健診(できるだけ小児歯科がよい)。ツベルクリン反応
◇睡眠。--夜中におびえますか。
寝る時の決ったやり方(睡眠儀式)をして、寝ます。寝る時間を決めましょう。
この時期昼寝の仕方を替えたり、全くしなくなったりします。
夜中に起きるような睡眠の乱れは、親子の相互作用に問題がありますから、相談して下さい。
◇トイレのしつけを始めます。 おまるを用意しましょう。いきなりトイレで練習できる子もいますが、多くのこどもはトイレをこわがるので、おまるから始めます。こわがるとかなり長い間続きますので、試さないで下さい。決してあせらない事。
おむつを早くとろうとすると、おねしょや、おもらし、ちびったり、おしっこ関連の病気になりやすくなります。おむつは必ず3才までにとれます。遅い子の方が、おねしょやちびることが少ないです。早くおむつがとれた子におねしょやちびりが多いのです。
おまるやトイレに行って、タイミングよくおしっこやうんちが出た時が練習で、出なかった時は練習になっていません。すわらせたままにしてはいけません。
[安全]
◇ペット(犬、猫、鳥)--ぬいぐるみと同じに扱うので、犬や猫に反抗されます。教育を受けていない犬は自分を家族の中でランク付けし、すきあらば上に上がることをねらっています。その為ほえたり、噛んだりしておどかすなど、攻撃性をもっています。だからしばしば犬にこどもがかみ殺される事故が起きます。犬に不用意に近付かない様に教えましょう。日本では普及が進んでいませんが、犬を飼う場合は、必ず小さい内に教育を受けさせましょう。学校もありますし、知識さえあれば家ででもできます。
◇マッチ、ライターによる火遊び
◇階段と窓の安全柵。チャイルド・シート。電気コードやコンセント。水の事故。自動車や家の中に一人でおかないこと。
◇転落、墜落。台やいすを、危険な所や高い所に登れる場所に置かない。
◇道路で遊ぶ時は必ず見張っていること。この年齢では、危険を理解できないし、何かに夢中になると、すぐ周りの危険を忘れてしまいます。
[社会的発達]
◇性に対する関心が出る時期です。おチンチンがあるかないかが問題で、女の子の中には、あるべきものがないのは自分が劣っているからだ思う子がいます。「お母さんにもおチンチンはないのですよ。あなたもお母さんになって赤ちゃんを生むのですよ。」と教えてあげましょう。赤ちゃんを生むことができるのは、女の子にとって魅力的なことなのです。性器の名前は正しい用語で教えましょう。
男の子はおチンチンをいじります。ちょうど手のいく場所で手の感触も良いからです。いじらせない為には、何か手で遊ぶものに興味をひきつけてやることで、手を使わせれば自然に手が行かなくなります。
◇こども用ベッドまたはふとんにひとりで眠る習慣をつけます。そうすると、こどもは自分のふとんに入ると気持が落着いて眠くなります。
[遊び]
◇まだ他の子と遊べません。おもちゃを貸してあげることもできません。
◇ブロックや組合せおもちゃなどがよい。こどもは引出しや戸棚の中身に興味をもちます。
◇かくれんぼや「ごっこ遊び」などのゲームをしてあげます。
◇簡単な仕事(おもちゃをひろうなど)をやらせます。家事の手伝いも、でき始めます。
◇よじのぼれる場所や、運動のできる場所を与えてあげましょう。
◇テレビを見る時間を制限し、一緒にこども番組を見ます。子守り替りにテレビを使わず、親のご都合主義をしないこと。
◇何かがうまくできたり、自分のことを自分でできたりしたら、感心したり、ほめたりして、愛情を示しましょう。
◇言葉による禁止と、必要ならこどもを押さえたり、抱えたり、抱いて連れて行ったり、危ない物を片付けたりします。
◇こどもをたたいてはいけません。体罰は効果がありません。
親の見ていない場所でするだけです。たたくと、下の子や赤ちゃんをたたきます。また母親をたたいたりします。スウェーデンでは、こどもに体罰をすると親が罰せられます。
小児科 黒部信一