新型コロナウイルス感染症(COVID-19) ( 第五報)
新型コロナウイルス感染症COVID-19 (第五報)
2020.5.19.
◇ 東京新聞 2020/5/8 の記事
英国の新型コロナウイルス対策の「政府に科学的助言を行なう緊急時科学助言グループ(SAGE)」は、「都市封鎖の必要性を否定。三月半ばまで人口の六割以上の感染が必要な集団免疫を目指す方策」を政府に助言していた。
ところが、SAGEのメンバーの一人のファガーソン氏は、これに反対して一月から一貫して「封鎖の必要性」を提言。SAGEはこれを聞き入れず。しかし、同氏は3月16日、「政府方針では25万人が死亡する」という報告書を発表し、世論は沸騰。政府は数日で方針を転換し、封鎖に踏み切ったという。
◇感染を終息させるためには、集団免疫の獲得が、
SAGE(上述)は人口の6割以上、
本間真二郎医師は60~70%
上昌弘氏(下記)もやはり6~7割
となっています。集団免疫は主に抗体陽性率とPCR検査での陽性率で判断されていますが、
抗体は液性免疫を示しており、PCR検査はウイルスそのものの存在を示すものです。
しかし自然免疫である細胞性免疫でウイルスをクリアーした場合には、細胞に免疫学的記憶が残りますが、抗体もPCR検査も陽性には出ません。
◇2009年の新型インフルエンザの流行時の最初の集団感染をした大阪の中高一貫校(今でいうクラスター)での全数調査を例示しました。5月に集団感染が判って、8月に府衛生研と国立感染研が共同で調査したのです。その時の647人の調査で、抗体陽性は102人(16%)でした。同一クラスター全員の中で16%しか出なかったのです。
少なくとも16%陽性なら、ウイルス感染にさらされても発病もせず、抗体も陽性にならない人が残りの84%と推定します。コロナウイルスとインフルエンザウイルスでは違いますから、同一に論じることはできませんが、スウェーデンのストックホルムの千人の調査で、抗体陽性者が25%ですから、ここでは少なくとも半数以上の人がウイルスにさらされていたが発病していないと考えても良いのではないかと思います。
◇そこで上昌弘氏は、スウェーデン方式を推奨しています。
それはイギリスの政府に科学的助言を行なう緊急時科学助言グループ(SAGE)の提言でも同じようであったようです。
上昌弘氏によると、「スウェーデンでは、高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。一時期、高校や大学を休校としたが、小中学校は休校にしなかった。
50名以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランを閉鎖はしなかった。ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後、再開された」。「感染者の死亡率は、厳しい都市封鎖を実施したフランス(19.3%)、イギリス(15.1%)、イタリア(13.7%)より低い12.2%で、特筆すべきは抗体保有率が25%に達したこと」といいます。
◇5月18日の東京新聞に載った「人種・収入で不平等」「NY富裕層 市外へ退避」という記事では、「新型ウイルスを巡っては、黒人やヒスパニック(中南米系)の感染率や死亡率の高さがニューヨークを含む全米各地で判明し、人種や収入などによる不平等が要因に挙げられて来たと、ニューヨークタイムズ紙が報じた。」という。
◇三密を避けることといいますが、横浜のクルーズ船での二次感染を媒介したのは、主に食事サービスクルーだと言います。乗客の感染者からは主ではなかったのです。
◇ ネットニュースの「ライフスタイル」2020/05/12 に載った上昌弘氏の論文によると、
「正確な感染者数を推計するために用いられるのは抗体検査だ。」とし、世界で行なわれている抗体検査の結果をまとめています。
スウェーデンのストックホルム市、1000人調査、抗体陽性率25.0%
ニューヨーク州保健局、 15,000人調査、同上 12.3%
ニューヨーク州 3000人 、 21.0%
カリフォルニア州サンタクララ郡 3330人 、 1.5%
原子力空母セオドア・ルーズベルト4845人 、 17.7%
ロシア、モスクワ地域 1000人 、 10.0%
ドイツ、ガンゲルト町 1000人 、 15%
イタリア北部・ベルガモ郡 1054人 、 62.0%
オランダ 7000人 、 3.0%
日本では、神戸市立病院で 1000人 、 3.0%
以上千人以上の調査だけ取り上げています。中国のデータは医療従事者だけで除外。
上昌弘氏も本間真二郎氏も、今回の流行が落ち着いても第二波、第三波の流行が起きると見ています。
スウェーデンでは、ストックホルムの市民の抗体陽性率が25%なので、スウェーデン公衆衛生局の疫学者は、「完全な集団免疫とは言えないが、感染の(第二波が訪れる)スピードを抑える効果はあるだろう」と言っています。
◇上昌弘氏の論文を見ると、その抗体の検出率の精度または感度も問題があるといいます。
また統計上、検査をした集団の取り方も問題にされます。つまり医療機関の外来を受診した集団や献血をした人の集団は、その母集団そのものに偏りがあります。それで中国の医療従事者のデータを除外。ドイツのガンゲルトという市の中間報告が注目されている理由です。それは1万2千人余の全員の検査を目指しているからです。その中間報告が15.0%で、それにPCR陽性者の2%を加えると17%となります。
2009年の新型インフルエンザの流行時の最初の集団感染のデータは、クラスター全員の検査をしていますから、感染率が信頼できるのです。
それと比べて、ガンゲルトのデータから見れば、ほぼ同じですから、今後の最終報告が待たれますが、それ程の違いがなければ、ガンゲルトの感染はほぼ行きわたっているとすら考えられます。
1000人以上のデータは、最低数は確保されています。わかりやすく言えば、サイコロを振った時の確率が6分の1になるのは、千回以上振らないとならないからです。それ以下ではばらつきがあり信頼度が低いのです。
◇無症状でも感染力があると言われていますが、
今までは不顕性感染では感染力は無いと言われてきました。しかし、今回のコロナウイルスの場合、無症状でも感染力があると言われています。本当でしょうか。
ほとんどの微生物は自然免疫機構によって排除されますが、いったん生体内に侵入するとさまざまな体感症状を引き起こすとともに獲得免疫の働きを誘導します。
だから全く無症状の場合に、感染力があるとは考えにくいのです。
その仕組みについては別の機会にしますが、健康な人間は自然免疫の仕組みによってめったに病気をしないのです。
◇神経質な人や医療従事者は、無症状ということはあり得ません。
もちろん感染しても健康保菌者が存在しますが、極めてまれです。病原体と共存しているのです。この人たちは感染力があります。それがある時、麻疹や風疹が突然発病して拡がる感染源ではないかと考えられています。しかし、俗に言う「無症状で感染力がある」のとは違います。
無症状で感染力があるというのは、症状があっても自覚しないか、コロナウイルス感染の初期症状と認めたがらない人がいるからだと思います。
その理由は、しはしば喫煙者は咳が出ても「たばこのせいだ」と言って咳という症状を認めたがらない人がいますし、高齢者にも痰が出たり咳が出ることを、「昔から痰や咳は時々出ているから」と言って認めたがらない人がいます。また、体調が悪かったり、だるいとか疲れるとかしても、それを症状と認めたがらない人が少なくありません。中には熱があっても解熱剤または総合感冒薬(必ず解熱剤が入っています)を飲んで、熱を下げて「良くなった」、「ただの風邪だった」と症状を申告しない人もいます。それは発病が失職や無収入につながることを恐れている人たちに多いのです。
本日の韓国からの情報では、一度PCR陰性になり、再度陽性になった人には感染力は無いことが判ったと言います。
通常はウイルスが増殖しないと感染しませんし、ウイルスは細胞内でしか繁殖できず、繁殖して細胞を破壊して外へ出て次の細胞に感染したり、直接次の細胞に感染したりして、侵入して繁殖しますから、せいぜい発病二、三日前ならその可能性はありますが、長期にわたることはないと思います。でもデング熱のように通常の経過をとらない感染症もあるので、断言はできませんが。
◇解熱剤がインフルエンザと水痘の子どもに使うと、ライ症候群という脳症になるために1990年代から解熱剤を使わなくなり、さらに発熱が体の防衛反応だとわかってからは、クーリングという冷やして熱を下げることもしなくなりました。
解熱剤が免疫システムを止めてしまうので、熱が下がるのです。軽い病気ならそれでも病気に勝てますが、解熱剤を使うことによって悪化し、長期化することも少なくないのです。
解熱剤やステロイド剤を使わないようにしましょう。
日本では医師の多くが解熱剤を使います。医療費をすべて国が支払う(つまり無料の)北欧諸国では、インフルエンザに罹った時に、検査してインフルエンザとわかると、「stay at home」というそうです。
新型コロナウイルス感染症COVID-19 (第五報)
2020.5.19.
◇ 東京新聞 2020/5/8 の記事
英国の新型コロナウイルス対策の「政府に科学的助言を行なう緊急時科学助言グループ(SAGE)」は、「都市封鎖の必要性を否定。三月半ばまで人口の六割以上の感染が必要な集団免疫を目指す方策」を政府に助言していた。
ところが、SAGEのメンバーの一人のファガーソン氏は、これに反対して一月から一貫して「封鎖の必要性」を提言。SAGEはこれを聞き入れず。しかし、同氏は3月16日、「政府方針では25万人が死亡する」という報告書を発表し、世論は沸騰。政府は数日で方針を転換し、封鎖に踏み切ったという。
◇感染を終息させるためには、集団免疫の獲得が、
SAGE(上述)は人口の6割以上、
本間真二郎医師は60~70%
上昌弘氏(下記)もやはり6~7割
となっています。集団免疫は主に抗体陽性率とPCR検査での陽性率で判断されていますが、
抗体は液性免疫を示しており、PCR検査はウイルスそのものの存在を示すものです。
しかし自然免疫である細胞性免疫でウイルスをクリアーした場合には、細胞に免疫学的記憶が残りますが、抗体もPCR検査も陽性には出ません。
◇2009年の新型インフルエンザの流行時の最初の集団感染をした大阪の中高一貫校(今でいうクラスター)での全数調査を例示しました。5月に集団感染が判って、8月に府衛生研と国立感染研が共同で調査したのです。その時の647人の調査で、抗体陽性は102人(16%)でした。同一クラスター全員の中で16%しか出なかったのです。
少なくとも16%陽性なら、ウイルス感染にさらされても発病もせず、抗体も陽性にならない人が残りの84%と推定します。コロナウイルスとインフルエンザウイルスでは違いますから、同一に論じることはできませんが、スウェーデンのストックホルムの千人の調査で、抗体陽性者が25%ですから、ここでは少なくとも半数以上の人がウイルスにさらされていたが発病していないと考えても良いのではないかと思います。
◇そこで上昌弘氏は、スウェーデン方式を推奨しています。
それはイギリスの政府に科学的助言を行なう緊急時科学助言グループ(SAGE)の提言でも同じようであったようです。
上昌弘氏によると、「スウェーデンでは、高齢者にのみ自宅待機を要請し、それ以外の制限は課さなかった。一時期、高校や大学を休校としたが、小中学校は休校にしなかった。
50名以上の集会禁止、不要不急の旅行の禁止、小売店やショッピングモールへの入店者数の制限を課したものの、多くの店舗やレストランを閉鎖はしなかった。ボルボの自動車工場は一時期閉鎖されたが、その後、再開された」。「感染者の死亡率は、厳しい都市封鎖を実施したフランス(19.3%)、イギリス(15.1%)、イタリア(13.7%)より低い12.2%で、特筆すべきは抗体保有率が25%に達したこと」といいます。
◇5月18日の東京新聞に載った「人種・収入で不平等」「NY富裕層 市外へ退避」という記事では、「新型ウイルスを巡っては、黒人やヒスパニック(中南米系)の感染率や死亡率の高さがニューヨークを含む全米各地で判明し、人種や収入などによる不平等が要因に挙げられて来たと、ニューヨークタイムズ紙が報じた。」という。
◇三密を避けることといいますが、横浜のクルーズ船での二次感染を媒介したのは、主に食事サービスクルーだと言います。乗客の感染者からは主ではなかったのです。
◇ ネットニュースの「ライフスタイル」2020/05/12 に載った上昌弘氏の論文によると、
「正確な感染者数を推計するために用いられるのは抗体検査だ。」とし、世界で行なわれている抗体検査の結果をまとめています。
スウェーデンのストックホルム市、1000人調査、抗体陽性率25.0%
ニューヨーク州保健局、 15,000人調査、同上 12.3%
ニューヨーク州 3000人 、 21.0%
カリフォルニア州サンタクララ郡 3330人 、 1.5%
原子力空母セオドア・ルーズベルト4845人 、 17.7%
ロシア、モスクワ地域 1000人 、 10.0%
ドイツ、ガンゲルト町 1000人 、 15%
イタリア北部・ベルガモ郡 1054人 、 62.0%
オランダ 7000人 、 3.0%
日本では、神戸市立病院で 1000人 、 3.0%
以上千人以上の調査だけ取り上げています。中国のデータは医療従事者だけで除外。
上昌弘氏も本間真二郎氏も、今回の流行が落ち着いても第二波、第三波の流行が起きると見ています。
スウェーデンでは、ストックホルムの市民の抗体陽性率が25%なので、スウェーデン公衆衛生局の疫学者は、「完全な集団免疫とは言えないが、感染の(第二波が訪れる)スピードを抑える効果はあるだろう」と言っています。
◇上昌弘氏の論文を見ると、その抗体の検出率の精度または感度も問題があるといいます。
また統計上、検査をした集団の取り方も問題にされます。つまり医療機関の外来を受診した集団や献血をした人の集団は、その母集団そのものに偏りがあります。それで中国の医療従事者のデータを除外。ドイツのガンゲルトという市の中間報告が注目されている理由です。それは1万2千人余の全員の検査を目指しているからです。その中間報告が15.0%で、それにPCR陽性者の2%を加えると17%となります。
2009年の新型インフルエンザの流行時の最初の集団感染のデータは、クラスター全員の検査をしていますから、感染率が信頼できるのです。
それと比べて、ガンゲルトのデータから見れば、ほぼ同じですから、今後の最終報告が待たれますが、それ程の違いがなければ、ガンゲルトの感染はほぼ行きわたっているとすら考えられます。
1000人以上のデータは、最低数は確保されています。わかりやすく言えば、サイコロを振った時の確率が6分の1になるのは、千回以上振らないとならないからです。それ以下ではばらつきがあり信頼度が低いのです。
◇無症状でも感染力があると言われていますが、
今までは不顕性感染では感染力は無いと言われてきました。しかし、今回のコロナウイルスの場合、無症状でも感染力があると言われています。本当でしょうか。
ほとんどの微生物は自然免疫機構によって排除されますが、いったん生体内に侵入するとさまざまな体感症状を引き起こすとともに獲得免疫の働きを誘導します。
だから全く無症状の場合に、感染力があるとは考えにくいのです。
その仕組みについては別の機会にしますが、健康な人間は自然免疫の仕組みによってめったに病気をしないのです。
◇神経質な人や医療従事者は、無症状ということはあり得ません。
もちろん感染しても健康保菌者が存在しますが、極めてまれです。病原体と共存しているのです。この人たちは感染力があります。それがある時、麻疹や風疹が突然発病して拡がる感染源ではないかと考えられています。しかし、俗に言う「無症状で感染力がある」のとは違います。
無症状で感染力があるというのは、症状があっても自覚しないか、コロナウイルス感染の初期症状と認めたがらない人がいるからだと思います。
その理由は、しはしば喫煙者は咳が出ても「たばこのせいだ」と言って咳という症状を認めたがらない人がいますし、高齢者にも痰が出たり咳が出ることを、「昔から痰や咳は時々出ているから」と言って認めたがらない人がいます。また、体調が悪かったり、だるいとか疲れるとかしても、それを症状と認めたがらない人が少なくありません。中には熱があっても解熱剤または総合感冒薬(必ず解熱剤が入っています)を飲んで、熱を下げて「良くなった」、「ただの風邪だった」と症状を申告しない人もいます。それは発病が失職や無収入につながることを恐れている人たちに多いのです。
本日の韓国からの情報では、一度PCR陰性になり、再度陽性になった人には感染力は無いことが判ったと言います。
通常はウイルスが増殖しないと感染しませんし、ウイルスは細胞内でしか繁殖できず、繁殖して細胞を破壊して外へ出て次の細胞に感染したり、直接次の細胞に感染したりして、侵入して繁殖しますから、せいぜい発病二、三日前ならその可能性はありますが、長期にわたることはないと思います。でもデング熱のように通常の経過をとらない感染症もあるので、断言はできませんが。
◇解熱剤がインフルエンザと水痘の子どもに使うと、ライ症候群という脳症になるために1990年代から解熱剤を使わなくなり、さらに発熱が体の防衛反応だとわかってからは、クーリングという冷やして熱を下げることもしなくなりました。
解熱剤が免疫システムを止めてしまうので、熱が下がるのです。軽い病気ならそれでも病気に勝てますが、解熱剤を使うことによって悪化し、長期化することも少なくないのです。
解熱剤やステロイド剤を使わないようにしましょう。
日本では医師の多くが解熱剤を使います。医療費をすべて国が支払う(つまり無料の)北欧諸国では、インフルエンザに罹った時に、検査してインフルエンザとわかると、「stay at home」というそうです。