前回の続き
4. 目の中にも、細菌やウイルスたちが住んでいます。目をこすり過ぎると結膜炎を起こすのは、目の中の微生物たちが混乱して起こすのです。涙は、目の乾燥を防ぐためだけでなく、細菌やかびやウイルスが住んでいて、外来の細菌やウイルスなどの病原微生物を排除してくれているのです。涙は寝ている時は、出なくなるので、起きた時の少量の目やには、涙が乾燥してできたものものなので心配ありませんが、大量に出るのは結膜炎のことが多いのです。その大部分はウイルス性なので、自然に治ることが多いですが、ヘルペス性の場合はひどくなり、有効な抗ウイルス剤がありますから、眼科受診して下さい。また、ひどい目やにの場合は、流行性角結膜炎で感染力が強いのですが、ウイルス性なので有効な薬がなく、自然治癒を待つしかありませんが、他の人にうつさないようにして下さい。
5. 耳の中にも細菌が住んでいて、外来の細菌などの微生物を排除してくれますし、中耳もうみや浸出液を排出する耳管がありますから、その働きが低下した時に病気になるのです。
耳の中の粘膜は、鼓膜からできてきて、耳の中を外へ移動して外耳道(耳の中の鼓膜まで)の粘膜となり、耳の出口で垢(あか)となって排泄されます。耳あかも一部は細菌です。しかし、みみの粘膜の移動と、顎(あご)を動かすと、外耳道も上下に動き、粘膜の動きと強調して耳あかを外へ出してくれますから、耳あかの掃除はしなくても、自然に出て来ますから、しなくても良いのですが、かゆく感じたりしたら、耳の出口の目で見える範囲のものをとればよいのです。奥まで取る必要はありません。耳あかがつまるのは外耳の病気ですから、耳鼻科で取ってもらいましょう。ヒトと同じ耳の構造が同じ猿たちは耳掃除をしません。
耳垢(あか)には、乾燥した粉耳と、湿ったあめ耳があり、遺伝によります。粉耳は耳かきでとれますが、あめ耳は、こよりなどでとります。
6. 尿道にも、皮膚と粘膜の防御システムがあり、普通は細菌が入って来ても、尿によって排出され、微生物の定着や繁殖を阻止し、膀胱へたどり着くのを阻止しています。でも、その働きが低下した時に(免役が低下した時、つまりストレスや疲労でなどで起きる)、特に乳幼児と女性に膀胱炎が起きやすいです。乳幼児や女性は、尿道の長さが短いことと、出口が便で汚染されやすいことが、起きやすい条件を作っています。しかし、免役の働きが低下しなければ、なることはありませんし、誰でもなる訳ではありませんが、70歳までにおよそ20%の女性がなると言われています。なりやすいタイプの人は、免役が低下した、ストレスなどで、なることが多いようです。若い時は、水を沢山飲んで洗い流すことで治ることもありますが、90%が細菌性なので、抗生物質を飲むと早く治ることが期待できます。
乳幼児は(まれに小学生くらいまで)、尿道も短く、防御の働きも出来上がっていないし、おむつをしていると特になりやすく、男女共に膀胱炎多いのです。でも、子どもと高齢者は症状を訴えません。そこで、無症候性細菌尿と言い、おむつをしている子の15%くらいいると言います。検尿しないと判りません。男女とも6ケ月、女の子は1歳、男女とも2歳の時に検尿を受けましょう。
男の子は、包皮という皮膚の皮をかぶり、亀頭(ペニスの先端)が外に出ていないので、おしっこをすると、おしっこがあちこち飛びますし、おしっこは膀胱の出口で止まるので、そこから先の尿道の中に残っていますから、それが包皮の下にたまったり、ちょろちょろ外へ出て来ます。包皮の中や、おちんちんの周りの皮膚について、そこに住む細菌によって皮膚には湿疹、包皮下では亀頭包皮炎を起こし、うみが包皮下にたまっておちんちんの先が赤くはれてきます。
また尿道口が見えるくらいに包皮がむけていることが多いのですが、むけていないと真性包茎の疑いがありますから、お風呂に入った時に少しずつ、嫌がったら止める程度に包皮をむくことです。全く尿道口が見えない時は、泌尿器科(私はみれますが、多くの小児科医ではだめ)に診てもらいましょう。むける場合は、仮性包茎、むけない場合は真性包茎です。泌尿科医は乳児を見ていませんから、いろいろなことを言いますが、私が昔国立病院で診た時に、新生児のほとんどは仮性包茎で包皮がむけ、1ケ月検診でもむけないのは、1%くらいなもので、すぐ泌尿器科に紹介します。
男の子は、自分でできる5~6歳になったら、おしっこをする時に、包皮をむいて尿道口を出して排尿させ、終わったら尿道に残った尿を、おちんちんを振っておしっこを振り切ることを教えます。私の子どもの頃は、外でおしっこをし、友達とおしっこの飛ばしっこをしたので、皆むけてくるようになりました。今は、軽犯罪法に触れますから、できませんが。
女の子も、昔はきれいに外陰部を洗わなかったので、炎症後の癒着で膣口がふさがっていることがありましたが、今は見られません。処女膜などは、それではないでしょうか。今は問題になっていません。
いずれにせよ、外陰部を清潔にしましょう。