黒部信一のブログ

病気の話、ワクチンの話、病気の予防の話など。ワクチンに批判的な立場です。現代医療にも批判的で、他の医師と違った見解です。

自然治癒力と生体防御4

2011-01-30 12:49:29 | 健康・病気

続き

8.膣の中は、口の中と同じように、常に粘液が出ていて、常在細菌や微生物がいて、外来の微生物を排除してくれますが、その仕組みが出来上がっていない女の子はでは、しばしば膣やその周辺(膣前庭)の粘膜や皮膚の炎症を起こします。下着が汚れたり、排尿時に痛がったり、かゆがったりします。治療すればすぐよくなりますが、またなることが多いようです。そこがその子の弱点でしょう。その代りに、他の病気になりにくいようです。

9.胃は一日2~3Lの胃液を出し、胃液は強酸性(空腹時のph1~3から、食事後のph5~6と変動)ですから、それを突破して生き延びられるのは僅かで、大部分の微生物は胃酸で死んでしまい、通過できません。かぜのウイルスも、インフルエンザウイルスも5歳以下の子どもでは通貨できますから、胃腸炎を起こし下痢をしますが、8歳以上では下痢をしません。かぜをひいたら消化のよいものを、と言うのは5歳以下の子どものことです。通過できるのは、胃腸専門の腸管ウイルスです。ピロリ菌は、胃内の常在菌ではないかと言われている程多くの人にいますが、病気になるとは限りません。それがストレスなどで抵抗力が落ちた時に、悪い働きをするのではないかと言う考えもあります。胃潰瘍や胃がんがピロリ菌だけのせいで、なるとは思われません。それにプラスアルファの要因があるのです。ピロリ菌がいても、胃潰瘍が起きていない人もいますから。

10.胃を通過しても、小腸上部では強いアルカリ性の消化液があり、防御しています。しかも、腸内には、多くの細菌が住みついており、外来の細菌などの微生物を排除しようとします。小腸上部には、少なくとも腸内容1g当たり1万以下ですが、小腸下部では10万から1千万、回腸下部でも1千万になります。

11.大腸では、腸内容1g当たり数千億(3千億から5千億)、その種類は100種類以上という。これらが、大腸内の外来の細菌や微生物の繁殖を排除してくれています。

 出生直後の赤ちゃんの大腸には、菌はいないが、すべての赤ちゃんは48時間以内に、ヒトの常在菌である大腸菌が棲みつきます。大腸菌は人にとっては大切な菌です。しかし、時々病原性大腸菌も、腸内の自然の遺伝子組み換えで起きると言われ、存在し、体調の悪い時に発病します。便の3分の1は細菌で、大部分は嫌気性菌なので、外へ出て酸素にさらされと、死んでしまいます。

続く


自然治癒力と生体防御3

2011-01-23 10:48:08 | 健康・病気

前回の続き

7. 肛門も、内側は直腸で腸内細菌たちがいて、防御してくれます。出血しても、粘膜ですから少量のものは、口に中と同じようにすぐ止まります。気功では、肛門と目の筋肉は輪状なので、日ごろから、しめる訓練をしておくとよいと言います。尿道と肛門の筋肉は一緒なので、しまりがよくなります。特に年配の方にはお勧めです。

 今日はくたびれたので、また次回。

昨日は、元41青医連のメンバーと会食し、楽しかったです。昔一緒に闘った仲間ですから。昔の話と今の話が入交ります。


自然治癒力と生体防御2

2011-01-21 08:00:16 | 健康・病気

  前回の続き

4. 目の中にも、細菌やウイルスたちが住んでいます。目をこすり過ぎると結膜炎を起こすのは、目の中の微生物たちが混乱して起こすのです。涙は、目の乾燥を防ぐためだけでなく、細菌やかびやウイルスが住んでいて、外来の細菌やウイルスなどの病原微生物を排除してくれているのです。涙は寝ている時は、出なくなるので、起きた時の少量の目やには、涙が乾燥してできたものものなので心配ありませんが、大量に出るのは結膜炎のことが多いのです。その大部分はウイルス性なので、自然に治ることが多いですが、ヘルペス性の場合はひどくなり、有効な抗ウイルス剤がありますから、眼科受診して下さい。また、ひどい目やにの場合は、流行性角結膜炎で感染力が強いのですが、ウイルス性なので有効な薬がなく、自然治癒を待つしかありませんが、他の人にうつさないようにして下さい。

5. 耳の中にも細菌が住んでいて、外来の細菌などの微生物を排除してくれますし、中耳もうみや浸出液を排出する耳管がありますから、その働きが低下した時に病気になるのです。

 耳の中の粘膜は、鼓膜からできてきて、耳の中を外へ移動して外耳道(耳の中の鼓膜まで)の粘膜となり、耳の出口で垢(あか)となって排泄されます。耳あかも一部は細菌です。しかし、みみの粘膜の移動と、顎(あご)を動かすと、外耳道も上下に動き、粘膜の動きと強調して耳あかを外へ出してくれますから、耳あかの掃除はしなくても、自然に出て来ますから、しなくても良いのですが、かゆく感じたりしたら、耳の出口の目で見える範囲のものをとればよいのです。奥まで取る必要はありません。耳あかがつまるのは外耳の病気ですから、耳鼻科で取ってもらいましょう。ヒトと同じ耳の構造が同じ猿たちは耳掃除をしません。

 耳垢(あか)には、乾燥した粉耳と、湿ったあめ耳があり、遺伝によります。粉耳は耳かきでとれますが、あめ耳は、こよりなどでとります。

6. 尿道にも、皮膚と粘膜の防御システムがあり、普通は細菌が入って来ても、尿によって排出され、微生物の定着や繁殖を阻止し、膀胱へたどり着くのを阻止しています。でも、その働きが低下した時に(免役が低下した時、つまりストレスや疲労でなどで起きる)、特に乳幼児と女性に膀胱炎が起きやすいです。乳幼児や女性は、尿道の長さが短いことと、出口が便で汚染されやすいことが、起きやすい条件を作っています。しかし、免役の働きが低下しなければ、なることはありませんし、誰でもなる訳ではありませんが、70歳までにおよそ20%の女性がなると言われています。なりやすいタイプの人は、免役が低下した、ストレスなどで、なることが多いようです。若い時は、水を沢山飲んで洗い流すことで治ることもありますが、90%が細菌性なので、抗生物質を飲むと早く治ることが期待できます。

 乳幼児は(まれに小学生くらいまで)、尿道も短く、防御の働きも出来上がっていないし、おむつをしていると特になりやすく、男女共に膀胱炎多いのです。でも、子どもと高齢者は症状を訴えません。そこで、無症候性細菌尿と言い、おむつをしている子の15%くらいいると言います。検尿しないと判りません。男女とも6ケ月、女の子は1歳、男女とも2歳の時に検尿を受けましょう。

 男の子は、包皮という皮膚の皮をかぶり、亀頭(ペニスの先端)が外に出ていないので、おしっこをすると、おしっこがあちこち飛びますし、おしっこは膀胱の出口で止まるので、そこから先の尿道の中に残っていますから、それが包皮の下にたまったり、ちょろちょろ外へ出て来ます。包皮の中や、おちんちんの周りの皮膚について、そこに住む細菌によって皮膚には湿疹、包皮下では亀頭包皮炎を起こし、うみが包皮下にたまっておちんちんの先が赤くはれてきます。

 また尿道口が見えるくらいに包皮がむけていることが多いのですが、むけていないと真性包茎の疑いがありますから、お風呂に入った時に少しずつ、嫌がったら止める程度に包皮をむくことです。全く尿道口が見えない時は、泌尿器科(私はみれますが、多くの小児科医ではだめ)に診てもらいましょう。むける場合は、仮性包茎、むけない場合は真性包茎です。泌尿科医は乳児を見ていませんから、いろいろなことを言いますが、私が昔国立病院で診た時に、新生児のほとんどは仮性包茎で包皮がむけ、1ケ月検診でもむけないのは、1%くらいなもので、すぐ泌尿器科に紹介します。

 男の子は、自分でできる5~6歳になったら、おしっこをする時に、包皮をむいて尿道口を出して排尿させ、終わったら尿道に残った尿を、おちんちんを振っておしっこを振り切ることを教えます。私の子どもの頃は、外でおしっこをし、友達とおしっこの飛ばしっこをしたので、皆むけてくるようになりました。今は、軽犯罪法に触れますから、できませんが。

 女の子も、昔はきれいに外陰部を洗わなかったので、炎症後の癒着で膣口がふさがっていることがありましたが、今は見られません。処女膜などは、それではないでしょうか。今は問題になっていません。

 いずれにせよ、外陰部を清潔にしましょう。


自然治癒力または生体防御

2011-01-20 10:52:57 | 健康・病気

 人間は進化の中で、生物中の最大の生体防御力または自然治癒力を持っている 

 人間には、遺伝的に、しかも進化する中で備わった外敵に対する防御力があります。これは免疫と呼べるかどうかは、免役学者の判断ですが、免疫学の専門書には出ていません。私が、科学史の中山茂元神奈川大教授の研究会に参加していた時に、多くの本を読み、知識を得、その後も続けている間に獲得した知識です。すべて、他の科学者が書いたもののまとめですか゜、それを明示するだけで大変な数になりますから、略します。

 広い意味での免疫の仕組みの最前線の体の働きを生体防御という。

 人間の体は、外界とつねにいろいろな面で接しています。その体の最前線が、皮膚、粘膜で、体内への入り口となる、口、鼻、目、耳、肛門、尿道口、性器があります。そして体内を通過する飲食物の通り道である、口、のど、食道、胃、小腸、大腸、直腸と、空気を吸い、酸素を取り込む鼻、のど、気管、気管支、肺があります。これらはすべて外界と接触しています。 

 ここには、すべて防御機構が働いて、無数の生命体が人と共存共棲し、外界からの多くの有害な微生物の侵入者を排除してくれます。しかし、時に、人の抵抗力が落ちると病原性を出し、発病することがあり、それを日和見感染と言ったりします。溶連菌、黄色ぶどう球菌、肺炎球菌、ヒブ(インフルエンザ菌)、セラチア、ピロリ菌などもその内に入ります。

1.皮膚は薄いのですが、真皮と表皮があり、皮膚の表層部は絶えず新陳代謝され、一番表面の細胞が角化し、垢(あか)となって脱落していきます。この角質層は20ミクロン(100分の2ミリ)ほどのの厚さであるが、最近は1ミクロン程度だし、ウイルスは0.1ミクロン程度なので簡単に侵入できないし、これらの外来微生物や病原体はアカと共に脱落していく。また、強力な微生物が侵入しようとしても、1兵法cmの面積の皮膚に約10万前後の微生物が住んでいて外来の病原微生物を排除してくれます。この仕組みは7~8歳でできあがり、とびひができない年齢になります。

2.空気はふつう、鼻と口から入ります。鼻、口の中、のどなどの粘膜にも細菌をはじめ多くの微生物が住んでいて(錠剤細菌叢)、外来の微生物と闘って排除してくれます。特に鼻の働きは優れていて、三層の粘膜のひだがあり、吸い込まれた空気は、鼻の中で乱反射し、そこで粘膜に外来の微生物や異物、ほこり、汚れを吸着し、湿度と温度を付与し、気管へ送り出すのです。口で呼吸してものどの粘膜で防御しますが、鼻を通した方がより防御の働きが大きいのです。それで温帯に住む人は、鼻が低く、熱帯や寒帯に住む人の鼻は容積を大きくするために、鼻が高いのです。

 ここを無事通過しても、気管や気管支の表面の粘膜上皮細胞にとらえられ、この細胞の繊毛(せんもう)によって、稲穂ウェーブで外へ運び出され、痰となって吐きだされたり、飲み込まれてしまいます。痰は健康な成人で1日薬8ml出ると言います。飲み込んでも、胃液の強酸性の壁を突破できません。

 そこを無事通過できても、肺胞の粘膜は酸素と炭酸ガスを交換する場で、血液と空気が接触していて、血液中のリンパ球が肺胞の表面で病原体や異物を食べてしまいます。これらを突破した病原体が初めて呼吸器の中で繁殖し病気を起こすのです。病原体が血液と接触する時から、狭義の免役の働きが始まるのです。

3.口の中にも常在する細菌やかび、ウイルスたちがいます。約1ccの唾液(だえき)にも約1千万個の細菌が住み(ただし、年齢、虫歯の数、歯の衛生状態により変動)、歯垢(しこう)の30%は細菌です。虫歯を作るミュータンス菌もいます。口の中の粘膜は、食事や口や歯を動かす時に歯や食べ物によって傷つけられますが、傷口でリンパ球が闘い、防御し、傷も修復して治ります。粘膜の小さな傷は、出血してもすぐ止まります。歯の治療の時にすぐ止まるでしょう。それだけ粘膜の回復は早いのです。口内炎ができるのは、その働きが低下している時で、体調が悪い時です。唾(だ)液は、口の中をきれいに清浄化してくれます。唾液はたくさん出た方が良いのです。唾液にも消化作用がありますが、大量の高濃度の糖分を取ると、虫歯になりやすいのです。コーラ、炭酸飲料、スポーツドリンクが、虫歯になりやすいのは高濃度の糖分を含むからです。でも子どもに糖分(グルコース)は脳の代謝に必要ですから、食事の時にまとめて、糖分の多い食べ物(お菓子でもよい)を食べさせて(お子様ランチにお菓子が入っているのは理にかなっている)、食後にお茶を飲ませ(甘い物を食べたらできれば歯磨きをする)、後は唾液の働きに任せます。夜寝る時に歯をみがくのは、寝ている間は唾液が出ないからです。

以下、次回へ


新年おめでとうございます

2011-01-19 10:21:25 | 健康・病気

 新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

今年も例年のように、1月の連休に蔵王温泉に行ってきました。毎年どこかのスキー場で温泉場に行くのですが、今年は蔵王に行きました。共立医療会の医師と事務長と、お客様に埼玉医大総合医療センター小児科田村教授に来て頂いて、一緒にスキーを滑りました。これが一生の最後のスキーであるかもしれません。

 蔵王は、初日は小雪で、地蔵岳の山頂まで行き、お地蔵さんは胸まで雪に埋もれていました。樹氷もありましたが、まだ寒さが足りず、雪をかぶった感じでした。二日目は晴れましたが風が強く、帽子をしっかりかぶっていなかったせいで、耳がわずか30分の間に凍傷になりました。もう今は治っていますが。しもやけ程度でした。昔は、カナダのウィスラースキー場の40度の壁を2度滑りましたが、今の年齢では危険なので、横倉の38度の壁は迂回しました。温泉街は、さびれてきていて、一部廃業したホテルもありました。スキー場も混んではなく、ひところのスキーブーム時代に行った時とは様変わりでした。

 今年古希を迎えますが、まだ元気でいます。仕事は縮小し、のんびりしています。堀ノ内病院の小児科は、午後の担当のせいか患者さんが少なく、ゆっりお話ができ、満足しています。