まず、私と同じ考え方の医師はほとんどいません。予防接種に批判的でも、病気と人間の関係についての考え方が違います。予防接種に批判的な医師は、少数ですがいます。私が、昔、小児科学会で改革運動をした時の仲間で、ほとんど高齢化し、若くても50歳代です。しかも、当時関東から九州までしか広がらなかったので、東北、北海道にはいません。しかも、改革運動が終焉して、大学を追われ、ばらばらになり、その後も運動を続けている人も、つながりがなくなり、連絡が取れなくなりました。予防接種に批判的な医師は、雑誌「ちいさいおおきいつよいよわい」に書いているか、ワクチントーク全国(HPあり)にいます。でも全く同じ考え方とは言えませんが。
予防接種をうけない時に、いろいろ干渉されますが、それを乗り越えても、まだ問題が残ります。一つは、かかった時の対策です。まず解熱剤の問題があります。この問題も、その内に書きますが、熱は感染した細菌やウイルスの繁殖を抑えるために、自分の体の脳にある体温調節中枢が指令を出して、熱が出ているのです。それを解熱剤は、ブロックして、熱を下げているのです。ですから、自然免疫を抑制しているのです。解熱剤は、どんなことがあっても使わないでください。
解熱剤の最大の副作用は、ライ症候群とライ様症候群で、症状としては急性脳症か急性脳炎です。私は、麻疹、手足口病、インフルエンザ、DT二種混合予防接種後などの熱に解熱剤が使われて、脳炎を起こし、死亡したり、後遺症を残して訴訟を起こした人を見てきました。国立埼玉病院時代以後、解熱剤を使わないように勧めてきました。それで問題が起きることはありません。
予防接種を受けない時に問題となるのは、麻疹脳炎ですが、これは解熱剤を使わないことで、なる確率は大幅に減ります。風疹は、妊娠中にかかることで胎児が先天性風疹症候群にかかることです。これは、妊娠する前に風疹抗体を調べて、抗体がなければワクチンを接種するしかありません。風疹にかかっていないか、ワクチンをしていなければ、直接ワクチンをしても構いません。これは女性だけです。おたふく風邪は、大人になってかかると男性は、20~30%の人が片側の睾丸炎になり、痛いのが特徴で、ひどいと入院する羽目になります。精通と言って、精子ができる年齢になったら、覚えやすくするなら、中学入学までにかからなかったら、ワクチンを受けておきましょう。水ぼうそうも同じで、大人ではひどくなりますから、中学入学前に受けておきましょう。ジフテリアは、存在していないし、かかったとしても抗生物質で治療できますから問題はありません。百日咳は、接種しても70%の有効率ですし、今世界的に大人で流行して問題になっています。しかし、乳児期を過ぎたら、死ぬことは無くなりますので、つまりかかって早いうちに適切な抗生物質(マクロライド系)を飲めば、重症化が防げ、咳も100日続かず、1か月でおさまります。軽いかぜの症状が数日続き、ある晩、突然ひどい連続する咳が始まり、息がつけず、咳がおさまるとフーッと息を吸います。これが特徴で、乳児は、息がつけずに顔を真っ赤にし、ひどいとチアノーゼになり、もっと進むと顔を真っ黒にし、死亡します。コンコンコンという咳き込みとその直後に息をつくことが特徴ですが、成長すると典型的ではなくなり、長引く関となります。そうなると、診断が難しくなります。破傷風は、まずあごが開かなくなり、救命救急センターに行かないと死ぬ病気ですから、ワクチンを勧めます。今は毎年100人くらいがかかり、10人くらいが死亡しています。
妊娠後期に水痘やおたふく風邪、麻疹などにかかり、新生児が生後7日以内にかかっても大変です。小児医療センターの感染症科にかかり、発病予防をしないと死に至ることがあります。女性は、妊娠する前には、抗体検査はしていた方が安全です。
結核は、周囲の大人の結核対策が必要です。主に50歳以上で、特に70歳以上がほとんどです。家族内感染が70%ですが、学校などの集団感染もあります。大人で咳が二週間以上つづくか、三日以上の発熱では、検査しましょう。中学生以上は、発病するとうつりますが、小学生以下は子どもからこどもへはうつりません。感染しているかどうかは、ツベルクリン反応で検査します。強い陽性になったら、予防的に抗結核剤を予防的に飲みます。この方式で、アメリカはBCGをせずに、日本の十分の一以下に減らしたのです。
最近登場したヒブワクチン、肺炎球菌ワクチンは前に述べたように、常在菌ですから、叱らずのびのびと子どもを育てると、かかりません。B型肝炎は、普通にかかれば、一か月で治りますし、重症化するのは免疫が低下した時だけです。インフルエンザワクチンも、日本脳炎ワクチンも、効きませんから、接種してもかかります。軽く済むということはありません。かからなかったり、軽く済んだ人は抵抗力があるからです。子宮頸がんワクチンは、がんのワクチンではありません。検診をすればよいです。ワクチンをしても検診は欠かせません。ロタウイルスは、感染した時に、吐いている間は飲ませないことです。吐いてもいいから飲ませなさいというのは、間違いです。その為、重症化し、死亡した子どもたちを見てきました。早いうちに飲ませずいると、脱水が軽いうちに飲めるようになりますが、それについては詳しい話が必要になりますから、詳細は省略します。私の本でも読んでください。
ということで、現在は多くの病気には対策や治療法があります。それが受けられない発展途上国では必要でしょうが、現代の日本では、子どもの病気の時に親が休暇をとれるような北欧社会のような国にするべきです。選挙の時に、その権利を行使して下さい。