夏だから暑いのは当たり前です。今多い熱中症になる人は、
一つは、暑い都会型の家に住んでいるが、エアコンがないか、使わない人。気温が30℃を超えたら、エアコンを使うか、エアコンのある図書館やスーパー、デパート、役所などに避難しましょう。
二つ目は、部活や学校の体育で、教師やコーチが無理な指導をしています。私の中高時代は、そんなことはなかったのですが、私たちの世代が反旗を翻し、学生運動をし、それを鎮圧するのに体育会などの運動系の選手を使ったので、その後、体育会系や体育の教師が権力を振るい、体罰や体育系部活での、暴行や、言われなき「指導」と称する、強制的な訓練が始まって、続いています。それに子どもが逆らうことはできません。ですから、体育の時間中に熱中症が出たりするのです。
三つめは、日本のいろいろ変化する気象や、地域、居場所などに適応できる強靭な体とこころを持った人が少なくなっています。これは、産む子どもの数が少なく、三人以上の兄弟姉妹が少なくなり、少数の子どもに親の監視の目が届くからです。過干渉と過保護が主な原因です。
東京新聞に、昨年頃連載された、女子マラソン指導者の小出監督は、西瓜泥棒をして走って逃げたとか、またノーベル賞受賞した益川先生は宿題をしたことは一度もなかったので、いつも立たされていたとか、昔はのどかでした。それが子どものこころを育てていたのです。
さて、本題に入ります。
「熱中症にならないための夏の健康管理」
Q1.夏が年々暑くなっています。クーラーで冷やしすぎもいけないと思いますが、暑くなりすぎてもよくない。日常の温度管理はどうしたらよいのか。
A1.昔の日本の家屋は、夏の蒸し暑さをさける建て方でしたが、今は、コンクリートのマンションか、密集した建売住宅やアパートで、暑さに弱い建て方で、空調を前提にして設計されています。地球温暖化が進み、特に都市はヒートアイランド現象などが生じて暑くなり、窓を開けても熱風しか入らないし、扇風機は熱風をかきまわすだけ。エアコンが必要な住環境の時代になってしまいました。自然がよいという人は、田舎や離島に暮らすしかなくなりました。
人が過ごす環境の理想的温度は25度と言い、全館空調の病院ではこれを基準にしています。しかし実際には、夏は27~28度、冬は22~23度が、外界との気温差も考えて良いとされます。夏は、汗をかかない程度、冬は寒くてふるえない程度で、あとは衣服で調節します。昔から「子どもは風の子」と言って、子どもは寒さに強いですから、赤ちゃんの時から薄着にすること。生後1ヶ月過ぎたら母親より1枚薄着が標準です。「寒いからかぜをひく」というのは嘘。寒さに適応できない人、寒さを嫌う人がかぜをひくのです。人間は暑さ寒さに適応して生きてきました。環境に適応できない時に病気になるのです。
現代では、エアコンで調節するしかなく、エアコンなしで住める家のある人は環境に恵まれた人です。赤ちゃんは肌を触って、汗ばんでいるか、冷たいか、暖かいかで判断します。小さい時から暑さ寒さに慣らすことが大切ですが、それなりの対策も必要だし、子どもによっても違います。
Q2.熱中症の症状はどのようなものでしょうか。また、なってしまった場合の対処方法は、何をすればいいのでしょうか。
A2.普通の子どもは日常生活の中で、熱中症にはなりません。なぜなら、暑ければ、涼しい所へ行くし、のどが渇けば水を飲むからです。
なるのは、小さい子の車内放置(エアコンをつけてもだめ)、大きい子は体育やスポーツの時で、一番危険なのは、部活です。暑い晴れた日の戸外での運動を避けるべきなのは、一日の中で気温が最高になる午後1時から3時で(午後2時が最高)、その間は直射日光下や室内でも高温多湿の中での運動を避けるべきです。大人も、その時間、その様な環境での仕事を避けるべきです。
子どもは、そばに必ず大人がいること。欧米では家や車内や外で、子どもが大人と一緒にいないことを禁止しています。暑ければ涼しくし、のどが渇けば水を飲ませること。赤ちゃんなど、ことばで伝えられない子どもは、大人がのどが渇いて水を飲む時に水をすすめるとよいでしょう。のどが渇いていたら飲むし、渇いていなければ飲みません。子どもが自分の身体で調節します。
部活や子どものスポーツが危険なのは、本人の自由意志で行動ができないからです。個人差があるのに、監督やコーチに認めてもらえず、具合が悪くなっても、少しぐらいなら止めさせてくれませんし、本人も仲間やコーチに気兼ねして、なかなか止めたがりません。「頑張る」のが最悪で、身体の限界に来て倒れてしまうのです。プロの野球やサッカーの選手のように、違和感や筋肉の腫り、痛み、など身体の少しの異常を感じたら、すぐ運動や労働を止めなければいけないのですが、皆それをしません。(もっともプロでもそれをしないで、けがにつながる選手も少なくないのですが)しようとしても、できない環境(先生、コーチ、監督、仕事)にあるためです。だから普通の専業農家は、早朝と夕方に農作業をするのです。
高齢者も障害者も、高温多湿の環境に置かないようにしましょう。
昔、溶鉱炉に働く人に会ったことがあります。常に、水と塩を側に置いておき、欲しい時に口にするそうです。それで高温環境でも熱中症にならなかったのです。
熱中症には、軽症から順に、Ⅰ度 熱けいれん、Ⅱ度 熱疲労、Ⅲ度 熱射病があり、早期に発見することも大切ですが、治療より予防が第一です。いずれにせよ、体温測定が必要。41度以上であれば、生命の危険があります。
Ⅰ度 熱けいれん
高温下での運動や労働の最中や後に生じる筋肉の収縮である。突然起こり、普通は四肢の筋肉に起こり、激しい痛みと手足の筋肉のつれで動かせなくなる。俗にこむらがえりともいう。体温は正常で、涼しい所へ運び、まわりの人がつれた手足をのばし、1%の食塩水(300mlの水に茶さじ1杯3gの食塩)を飲ませるか、病院で生理的食塩水(塩分0.9%)を点滴する。以前は、日射病といわれた軽いもの。スポーツドリンク(塩分0.1%)やイオン飲料(塩分はほとんどなく、水と同じ)では塩分がうすすぎる。「OS-1」というドリンク製剤がよい。
Ⅱ度 熱疲労
暑さによる脱力、めまい、だるさ、気分や気持ちが悪い、疲労、時に嘔吐、頭痛、長く立っていると失神などで、発汗と頻脈があり、体温は正常か、上がっても40度を超えることはない。涼しい環境で寝かせ、点滴が必要(病院などの医療機関で)。必要量の水分と塩分を、飲むことはできない状態にまでなっている。とりあえず飲ませるのは1%食塩水または「OS-1」。
Ⅲ度 熱射病
多臓器不全およびしばしば死亡を引き起こす、全身の炎症反応を伴う高体温である。40度以上の体温と精神状態の変化がある。発汗は見られないことが多い。すぐに急速な体外冷却(水風呂か、ぬるま湯のシャワーと扇風機でぬれたまま風をあて、蒸発熱で冷却する)をし、点滴や他の治療も必要なので、冷やしながら病院へ連れて行く。1%食塩水を飲ませるが、飲めないことが多い。
一つは、暑い都会型の家に住んでいるが、エアコンがないか、使わない人。気温が30℃を超えたら、エアコンを使うか、エアコンのある図書館やスーパー、デパート、役所などに避難しましょう。
二つ目は、部活や学校の体育で、教師やコーチが無理な指導をしています。私の中高時代は、そんなことはなかったのですが、私たちの世代が反旗を翻し、学生運動をし、それを鎮圧するのに体育会などの運動系の選手を使ったので、その後、体育会系や体育の教師が権力を振るい、体罰や体育系部活での、暴行や、言われなき「指導」と称する、強制的な訓練が始まって、続いています。それに子どもが逆らうことはできません。ですから、体育の時間中に熱中症が出たりするのです。
三つめは、日本のいろいろ変化する気象や、地域、居場所などに適応できる強靭な体とこころを持った人が少なくなっています。これは、産む子どもの数が少なく、三人以上の兄弟姉妹が少なくなり、少数の子どもに親の監視の目が届くからです。過干渉と過保護が主な原因です。
東京新聞に、昨年頃連載された、女子マラソン指導者の小出監督は、西瓜泥棒をして走って逃げたとか、またノーベル賞受賞した益川先生は宿題をしたことは一度もなかったので、いつも立たされていたとか、昔はのどかでした。それが子どものこころを育てていたのです。
さて、本題に入ります。
「熱中症にならないための夏の健康管理」
Q1.夏が年々暑くなっています。クーラーで冷やしすぎもいけないと思いますが、暑くなりすぎてもよくない。日常の温度管理はどうしたらよいのか。
A1.昔の日本の家屋は、夏の蒸し暑さをさける建て方でしたが、今は、コンクリートのマンションか、密集した建売住宅やアパートで、暑さに弱い建て方で、空調を前提にして設計されています。地球温暖化が進み、特に都市はヒートアイランド現象などが生じて暑くなり、窓を開けても熱風しか入らないし、扇風機は熱風をかきまわすだけ。エアコンが必要な住環境の時代になってしまいました。自然がよいという人は、田舎や離島に暮らすしかなくなりました。
人が過ごす環境の理想的温度は25度と言い、全館空調の病院ではこれを基準にしています。しかし実際には、夏は27~28度、冬は22~23度が、外界との気温差も考えて良いとされます。夏は、汗をかかない程度、冬は寒くてふるえない程度で、あとは衣服で調節します。昔から「子どもは風の子」と言って、子どもは寒さに強いですから、赤ちゃんの時から薄着にすること。生後1ヶ月過ぎたら母親より1枚薄着が標準です。「寒いからかぜをひく」というのは嘘。寒さに適応できない人、寒さを嫌う人がかぜをひくのです。人間は暑さ寒さに適応して生きてきました。環境に適応できない時に病気になるのです。
現代では、エアコンで調節するしかなく、エアコンなしで住める家のある人は環境に恵まれた人です。赤ちゃんは肌を触って、汗ばんでいるか、冷たいか、暖かいかで判断します。小さい時から暑さ寒さに慣らすことが大切ですが、それなりの対策も必要だし、子どもによっても違います。
Q2.熱中症の症状はどのようなものでしょうか。また、なってしまった場合の対処方法は、何をすればいいのでしょうか。
A2.普通の子どもは日常生活の中で、熱中症にはなりません。なぜなら、暑ければ、涼しい所へ行くし、のどが渇けば水を飲むからです。
なるのは、小さい子の車内放置(エアコンをつけてもだめ)、大きい子は体育やスポーツの時で、一番危険なのは、部活です。暑い晴れた日の戸外での運動を避けるべきなのは、一日の中で気温が最高になる午後1時から3時で(午後2時が最高)、その間は直射日光下や室内でも高温多湿の中での運動を避けるべきです。大人も、その時間、その様な環境での仕事を避けるべきです。
子どもは、そばに必ず大人がいること。欧米では家や車内や外で、子どもが大人と一緒にいないことを禁止しています。暑ければ涼しくし、のどが渇けば水を飲ませること。赤ちゃんなど、ことばで伝えられない子どもは、大人がのどが渇いて水を飲む時に水をすすめるとよいでしょう。のどが渇いていたら飲むし、渇いていなければ飲みません。子どもが自分の身体で調節します。
部活や子どものスポーツが危険なのは、本人の自由意志で行動ができないからです。個人差があるのに、監督やコーチに認めてもらえず、具合が悪くなっても、少しぐらいなら止めさせてくれませんし、本人も仲間やコーチに気兼ねして、なかなか止めたがりません。「頑張る」のが最悪で、身体の限界に来て倒れてしまうのです。プロの野球やサッカーの選手のように、違和感や筋肉の腫り、痛み、など身体の少しの異常を感じたら、すぐ運動や労働を止めなければいけないのですが、皆それをしません。(もっともプロでもそれをしないで、けがにつながる選手も少なくないのですが)しようとしても、できない環境(先生、コーチ、監督、仕事)にあるためです。だから普通の専業農家は、早朝と夕方に農作業をするのです。
高齢者も障害者も、高温多湿の環境に置かないようにしましょう。
昔、溶鉱炉に働く人に会ったことがあります。常に、水と塩を側に置いておき、欲しい時に口にするそうです。それで高温環境でも熱中症にならなかったのです。
熱中症には、軽症から順に、Ⅰ度 熱けいれん、Ⅱ度 熱疲労、Ⅲ度 熱射病があり、早期に発見することも大切ですが、治療より予防が第一です。いずれにせよ、体温測定が必要。41度以上であれば、生命の危険があります。
Ⅰ度 熱けいれん
高温下での運動や労働の最中や後に生じる筋肉の収縮である。突然起こり、普通は四肢の筋肉に起こり、激しい痛みと手足の筋肉のつれで動かせなくなる。俗にこむらがえりともいう。体温は正常で、涼しい所へ運び、まわりの人がつれた手足をのばし、1%の食塩水(300mlの水に茶さじ1杯3gの食塩)を飲ませるか、病院で生理的食塩水(塩分0.9%)を点滴する。以前は、日射病といわれた軽いもの。スポーツドリンク(塩分0.1%)やイオン飲料(塩分はほとんどなく、水と同じ)では塩分がうすすぎる。「OS-1」というドリンク製剤がよい。
Ⅱ度 熱疲労
暑さによる脱力、めまい、だるさ、気分や気持ちが悪い、疲労、時に嘔吐、頭痛、長く立っていると失神などで、発汗と頻脈があり、体温は正常か、上がっても40度を超えることはない。涼しい環境で寝かせ、点滴が必要(病院などの医療機関で)。必要量の水分と塩分を、飲むことはできない状態にまでなっている。とりあえず飲ませるのは1%食塩水または「OS-1」。
Ⅲ度 熱射病
多臓器不全およびしばしば死亡を引き起こす、全身の炎症反応を伴う高体温である。40度以上の体温と精神状態の変化がある。発汗は見られないことが多い。すぐに急速な体外冷却(水風呂か、ぬるま湯のシャワーと扇風機でぬれたまま風をあて、蒸発熱で冷却する)をし、点滴や他の治療も必要なので、冷やしながら病院へ連れて行く。1%食塩水を飲ませるが、飲めないことが多い。