葉室麟は、注目している作家である。
まあ、別に私が注目してもどうなるわけでもないし、どちらかといえば注目するのが遅かったのではないか、という感もあるし。
春風伝(2013.5.6)、無双の花(2011.7.26)の2編しか読んでいないのであるが、確とした人生観に裏付けられた深い物語であった。
で、今回は文春文庫の新刊の与謝蕪村を描いた「恋しぐれ」でも読もうと本屋に行ったところ、この「いのちなりけり」を見つけた。
続編の「花や散るらん」も併せて購入をした。
この「いのちなりけり」は純愛小説といってもいいだろう。
縁あって夫婦になった二人が、結婚した晩に「和歌」をめぐって話をする。
佐賀鍋島藩の支藩である小城藩の、家老の娘で夫に先立たれた天源寺咲弥のもとに婿入りした雨宮蔵人は身分の低い者でなおかつ変人で腕が立つが和歌については知らない。その蔵人に咲弥は、先夫の好きだった和歌を教え蔵人にあなたの好きな和歌は何かと尋ねる。
しかし、蔵人は『浅学にて』とうつむく。
そこに咲弥は
「されば、今宵でなくとも結構でございます。蔵人さまがこれぞとお思いの和歌を思い出されるまで寝所はともにいたしますまい」
なんちゅう女だ!
と、私は思いましたが、蔵人はそれからずっと和歌を探し求めるのであります。
その間、鍋島家の中で事件が発生する。その事件に蔵人は巻き込まれ、あれよあれよという間に、藩から追われる人間になる。
と、ここまでは時代小説風なのだが、ここに水戸光圀が絡み、水戸漫遊記でおなじみの助さん格さんのモデルといわれる、佐々介三郎や渥美覚が登場したり、柳沢保明が例によって陰謀を張り巡らしたりして、蔵人も咲弥もこの時代の渦に翻弄されるのであります。
さて、咲弥は蔵人によって父が殺されたということで、蔵人を仇と狙い蔵人の友人でなおかつ蔵人を離縁して次の婿にと親戚一同から勧められた右京とともに旅に出る。
摂津の国湊川で、二人は蔵人とかたき討ちの戦いを行うが・・・
そこでこれまでの誤解が溶けた咲弥は蔵人が自分にとって最も大事な人だと悟る。
しかし、そこからまた二人は別れ別れとなる。
幕府と朝廷と水戸光圀と鍋島藩を巻き込んだ争いごとのなかで、水戸光圀は蔵人を呼び出し殺そうとする。
光圀のもとで奥女中となっていた咲弥は光圀の依頼で蔵人に手紙を書く。
呼んだ咲弥も呼ばれた蔵人も、江戸に行けば大きな危険があることを承知である。
更に、柳沢保明の手のものも蔵人を殺そうとしている。
それでも蔵人が咲弥のもとに向かうのは、好きな和歌を咲弥に披露したいからである。
春ごとに花のさかりはありなめど あひ見むことはいのちなりけり
カッケーのだ。
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まあ、別に私が注目してもどうなるわけでもないし、どちらかといえば注目するのが遅かったのではないか、という感もあるし。
春風伝(2013.5.6)、無双の花(2011.7.26)の2編しか読んでいないのであるが、確とした人生観に裏付けられた深い物語であった。
で、今回は文春文庫の新刊の与謝蕪村を描いた「恋しぐれ」でも読もうと本屋に行ったところ、この「いのちなりけり」を見つけた。
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この「いのちなりけり」は純愛小説といってもいいだろう。
縁あって夫婦になった二人が、結婚した晩に「和歌」をめぐって話をする。
佐賀鍋島藩の支藩である小城藩の、家老の娘で夫に先立たれた天源寺咲弥のもとに婿入りした雨宮蔵人は身分の低い者でなおかつ変人で腕が立つが和歌については知らない。その蔵人に咲弥は、先夫の好きだった和歌を教え蔵人にあなたの好きな和歌は何かと尋ねる。
しかし、蔵人は『浅学にて』とうつむく。
そこに咲弥は
「されば、今宵でなくとも結構でございます。蔵人さまがこれぞとお思いの和歌を思い出されるまで寝所はともにいたしますまい」
なんちゅう女だ!
と、私は思いましたが、蔵人はそれからずっと和歌を探し求めるのであります。
その間、鍋島家の中で事件が発生する。その事件に蔵人は巻き込まれ、あれよあれよという間に、藩から追われる人間になる。
と、ここまでは時代小説風なのだが、ここに水戸光圀が絡み、水戸漫遊記でおなじみの助さん格さんのモデルといわれる、佐々介三郎や渥美覚が登場したり、柳沢保明が例によって陰謀を張り巡らしたりして、蔵人も咲弥もこの時代の渦に翻弄されるのであります。
さて、咲弥は蔵人によって父が殺されたということで、蔵人を仇と狙い蔵人の友人でなおかつ蔵人を離縁して次の婿にと親戚一同から勧められた右京とともに旅に出る。
摂津の国湊川で、二人は蔵人とかたき討ちの戦いを行うが・・・
そこでこれまでの誤解が溶けた咲弥は蔵人が自分にとって最も大事な人だと悟る。
しかし、そこからまた二人は別れ別れとなる。
幕府と朝廷と水戸光圀と鍋島藩を巻き込んだ争いごとのなかで、水戸光圀は蔵人を呼び出し殺そうとする。
光圀のもとで奥女中となっていた咲弥は光圀の依頼で蔵人に手紙を書く。
呼んだ咲弥も呼ばれた蔵人も、江戸に行けば大きな危険があることを承知である。
更に、柳沢保明の手のものも蔵人を殺そうとしている。
それでも蔵人が咲弥のもとに向かうのは、好きな和歌を咲弥に披露したいからである。
春ごとに花のさかりはありなめど あひ見むことはいのちなりけり
カッケーのだ。
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