「釧路」が舞台。
でも、釧路の印象悪い。
暗い、寒い、何もない。
という印象を受ける。
物語は、副題にあるように「刑事・大門真由」が主人公である。
彼女の管轄地域で殺人が起きる。
まず被害者の身元を特定するのに時間がかかる。
札幌に住む独居老人。
また捜査中に、釧路に住むかまぼこ店を営む家族と出会う。
小さな蒲鉾店に潜む「金」の謎。それを追ううちに抱く違和感。
被害者を追い、八戸まで追う大門。(と、先輩刑事・片桐)
そこで知る、昔の話、つらいつらい貧乏の話。
この話が、ちょっと時代錯誤ふうなのが気なる。
そういう話が現代に聞くことができるのか?
というふうに思った。
携帯電話と昔話が合わない、と感じてしまった。
なんというか、横溝正史の世界、のようだった。
暗く寒い感じや、時代錯誤というようなことを感じながらも、面白いのは面白い。
加害者に同情してしまって、もうこれ以上謎を解かないほうが、被害者にも加害者にも警察にとっても、そして社会にもいいんじゃないの?
と思ってしまう。
いにしえの名探偵であれば、事件の解決を2種類示して真相を葬るところである。
でも、この物語の探偵さんは警察なので、真相を採用する。誰も幸せにならないのに。
さて、この本のあとがきは「塩見三省」さんである。
何故なのかなあ、と思い読み進めると、なんと、この物語、テレビドラマになっていて、塩見さんは大門真由の父親役である。
この父親は脳梗塞で倒れ左半身が不自由なのである。
塩見さんも脳出血で倒れ左手足に障害を抱えた。
テレビでの大門真由の父は末期がんという設定だったということであるが、塩見さんは役柄に自分を重ねた、そんなことを書いている。
びっくりした、そうだったのか。
この物語はそういうことを抱えている。
テレビ版をみていない、見てみたい。