読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

さくら さくら

2012-04-30 23:51:20 | 観た、聴いた
当地方の桜は土曜日が一番見頃だった。

今年はやっぱり1週間程度遅れ気味である。
そこで、もう少し北上して桜の状況はどうなのか観に行ってきた。

最終目的地は「北上展勝地」

東北道を北上すると、ここ数日の暖かさからなのか、満開は過ぎてしまったようにも思える。
それにしても、桜は日本人にとって特別なものなのか、いたるところで咲いている。

さて、北上展勝地である。
絶対にものすごく混んでいるだろうということで、対岸の「ホテルシティプラザ北上」に行く。

ホテルのカフェでコーヒーを飲んで、渡し船で展勝地へ向かう。
調度昼前ということもあり、渡し船も順番待ちであった。



北上川には渡し船のほかに遊覧船もでており、これらが集まるとこのような状況になる。

さて、上陸してみると、桜は満開状況。
しかし、人も多い。
ゆっくりと散策なんてことは無理。
ましてや、売店で何か食べるものを買おうと思ったって行列で待たなければならない。



まあ、それでも、桜は桜。
いいカンジである。



さらに船の上からは通常では眺めることのできない景色がひろがる。

珊瑚橋と桜と鯉のぼりである。



昼食はホテルの中華ランチをいただいた。
このホテルはランチバイキングが人気であるが、バイキングは食べ過ぎてしまうので・・・といいながら、中華ランチもボリュームたっぷりであった。

その後、水沢競馬場の桜を眺め、中尊寺の桜を遠望し、一関の釣山公園の桜の下を通り、さらに、栗原市若柳の桜のトンネルをくぐって帰ってきたのであった。

昨年は、桜に気持ちが向く余裕もなかったが、今年は、地元の桜も遠方の桜も見ることができ、なんだか気持ちがゆったりとしているのである。

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哲学探偵 鯨統一郎 光文社文庫

2012-04-28 22:55:22 | 読んだ
鯨統一郎は、近年のめり込んでいる作家である。

そして、この哲学探偵は、これまで読んだものとは違うシリーズである。

では、これまで読んだシリーズとは

・サイコセラピスト探偵波田煌子シリーズ
・タイムスリップシリーズ
・間暮警部の事件簿シリーズ
・作家六波羅一輝の推理シリーズ
・早乙女静香シリーズ
・桜川東子シリーズ
・とんち探偵一休さんシリーズ

このほかにもシリーズにはなっていないものの、シリーズになるのではないか?と予感させられるものがある。

上記に掲げたものの多くはいわゆる「推理小説」に分類されるものであるが、まじめにというか従来の推理物と同様に事件に正面から向かい合っているものは「作家六波羅一輝シリーズ」くらいである。

では、他の小説はどういうものかといえば、トリックやアリバイなどは解明されるものの、その解明に至る手法が「異常」なのである。

『こじつけ』『ひらめき』という推理で、そんな馬鹿な!という理屈がぴったりとあたる、のだ。

で、今回の哲学探偵もその類である。

事件が起こり、警視庁の特捜班に所属する高島警視と久保主任が捜査を行う。

そして事件の謎を解くために競馬場に行く。
一応の理由は被害者あるいは関係者が競馬好きということと、久保主任が競馬好きということである。
しかし、本当の理由は、競馬場でであう「哲学探偵」に謎を解いてもらうためである。

第1回目は偶然その哲学探偵に出会うのであるが、その後は完全に哲学探偵頼みである。

哲学探偵とは、名前も住まいも年齢も明かされない。

警視庁の二人の話を聞いて、短歌と哲学について述べ、そして推理する。
それだけで哲学探偵は謎を解いてしまうのである。

だから、この推理小説は、謎を解くまでの過程を楽しむのではなく、突拍子もないこじつけを楽しむものである。

物語は8つ

第1話 世界は水からできている    (タレス)  <中山金杯>
第2話 汝自身を知れ         (ソクラテス)<皐月賞>
第3話 われ思う、ゆえにわれ在り   (デカルト) <優駿牝馬:オークス>
第4話 人間は考える葦である     (パスカル) <ダービー>
第5話 純粋理性を求めて       (カント)  <菊花賞>
第6話 厭世主義(パシミズム)の暴走 (ショーペンハウアー) <天皇賞>
第7話 神は死んだ          (ニーチェ) <ジャパンカップ>
第8話 存在と時間の果てに      (ハイデッガー)<有馬記念>

哲学と競馬と、そして数多くの短歌。
この組み合わせで推理小説を作るのは、鯨統一郎だけであろう。
ホント感心する。

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めしばな刑事(デカ)タチバナ 第5巻 原作:坂戸佐兵衛 作画:旅井とり 徳間書店

2012-04-23 21:58:41 | 読んだ
はまってしまった「めしばな刑事(デカ)」、第5巻「ほか弁ウォーズ」である。

主人公のタチバナ刑事は「めし」の話が大好きである。
というより「めし」のことしか考えていない。

ゆえにこの物語は、ただひたすら「めし」の話である。

何故、主人公が刑事であり、舞台が警察なのか、必然性はない。
主人公の職業がなんであろうと、その部隊がどこであろうと、この物語は成立するのではないか。
と思うのである。

さて、第5巻は『第52ばな』から『第63ばな』まで12の『ばな』が掲載されている。そのうち59から63は「ほか弁ウォーズ」である。
そのほかは「マカロニサラダ」「塩天丼」「タイカレー缶詰」「疑惑のチャーハン①②」「コロッケそば」「ブラックチャーハン」である。

題名から想像がつくとおり、扱っている食べ物はチープ、D級E級である。
庶民の食べ物、といっても、庶民はこういう食べ物ばかり食べてはいない。時にはB級、特別な時にはA級だって食べる。

でも、タチバナ刑事はAもBもCにも目をくれない。
ひたすらにこのチープ部門なのである。

さて、今回私がもっとも興味深くそして大きくうなずきながら読んだのは「コロッケそば」である。

本書にあるが「コロッケそば」は認知度が低い。
私は家人に「そんなものがあるはずがない。たべたくもない」とゲテモノ扱いであった。

しかし、絶対においしい。「立ち食いそば」だったらコロッケそばに限る、と思っている。

で、タチバナはコロッケそばを「スペクタル」という。
おおいに納得した。

そして、このコロッケそばがカップ麺になっているという。
『まるちゃんのほくほくコロッケそば』というらしい。

今私はこのそばを探している。

こういういわゆるグルメ漫画を読んでこれほど「食べたい」と切ないほど思ったのは初めてである。

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堕落しています

2012-04-17 22:36:03 | 日々雑感
近頃は、本を読まない日々が続いている。

で、何をしているのか?というと、マンガを読んで、テレビを見ているのである。

本を読み始めても、あまりページが進まない。
なぜ、こんなふうになってしまったのか?

東日本大震災以降、なんとなくそうなっちゃったのである。
困ったことだ。

というわけで、今、マンガ雑誌を3冊定期購読して読んでいる。

「モーニング」「ビックコミック」そして「ビックコミックオリジナル」である。

ついでに、各雑誌のお気に入りを紹介しておこう。

モーニング
「社長 島耕作」(弘兼憲史)
「特上カバチ!!」(原作:田島隆、漫画:東風孝弘)
「う」(ラズウェル細木)
「グラゼニ」(原作:森高夕次、漫画:アダチケイジ)
「ひらけ駒」(南Q太)

ビックコック
「総務部総務課山口六平太」(作:林律雄、画:高井研一郎)
「星を継ぐもの」(星野之宣)(原作:J.P.ホーガン)
「華中華(ハナ・チャイナ)」(作:西ゆうじ、画:ひきの真二)
「ゲゲゲの家計簿」(水木しげる)
「ゴルゴ13」(さいとう・たかお)
「C級さらりーまん講座」(山科けいすけ)

ビックコミックオリジナル
「どうらく息子」(尾瀬あきら)
「ひよっこ料理人」(魚戸おさむ)
「深夜食堂」(安倍夜郎)
「岳 みんなのやま」(石塚真一)
「テツぼん」(永松潔)(原作:高橋遠州)
「弁護士のくず」(井浦秀夫)

中でお薦めは

「グラゼニ」野球好きな人には特にお薦めである。
「テツぼん」いわゆる鉄道オタクのてっちゃんが国会議員で主人公。
「深夜食堂」大人の食べ物の話。

である。

テレビと漫画、堕落してしまった。

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球春

2012-04-15 21:12:01 | 日々雑感
プロ野球が開幕して3週間になる。
楽天は本日も負け。
昨年から星野監督になり期待度が高いだけにがっかり度も大きい。

さて、私も野球の現役選手である。
といっても「50代野球」というジャンルであるが・・・

我々のリーグもすでに開幕し、先週が開幕戦であった。
種々の事情により先週の開幕戦(なんと年に1度のKスタで行われる試合)には出場できなかったが、本日の開幕第2戦には出場した。

今日は、今年初めてというくらいの穏やかなポカポカした陽気で、野球日和、であった。

先発投手として出場し、6イニング2失点、結局6回時間切れ引き分けで終了した。

相手チームは、昨年の成績でいえば格上なので、引き分けは大きいのだが、実際には勝つチャンスがあった。

主力を3人くらい欠いていたので善戦ではあったのだが・・・

今年は、自主トレをしていたので、割と自信を持ってマウンドに立つことができ、さらにある程度の余裕を持つことができた。

これはこのチームに入って初めてのことである。

というわけで、身体のあちこちが痛い。

翌日が痛いというのは20~30代
翌々日が痛いというのは40代

50代は、やっている最中から身体が痛い。
ただし、今年は自主トレである程度体を作っていたので、痛さが違うような気がする。

今シーズンは12試合が予定されているが、今のところ1敗1引き分け。

勝ち負けよりも野球ができるのが楽しい、というのは表向き。やっぱり勝たないと面白くない。

自主トレーニングを続けていくと何とかなりそうな気がする。
ガンバロウっと!

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廃墟に乞う 佐々木譲 文春文庫

2012-04-08 22:13:38 | 読んだ
オール読物に掲載された物語である。

連載時に読んだ覚えはあるのだが、何しろ毎月掲載ではなかったので、連作の物語なのかどうかわからなかった。

ちなみに「小説新潮」は毎月連載物が多くて、何が何だかよくわからない、という状況に陥るし、「オール読物」は連作が多くて、しかも決まった間隔ではないので、前に読んだものを思い出すのが大変で、いずれにしても『どうにかしほしい』のである。

閑話休題
というわけで「廃墟に乞う」である。

物語は6つの短編の連作である。

オージー好みの村
廃墟に乞う
兄の想い
消えた娘
博労沢の殺人
復帰する朝

である。

主人公・仙道孝司は、北海道警察本部捜査一課に籍を置く刑事である。
この「籍を置く」というのが問題。

仙道は「抑鬱性の感情不安定」で休職中である。
その症状は公務によるものらしく(どういう事件で何があったのかは最後の物語で明らかにされる)、本人は、もう回復してきているので復職したいのだが、まだ医者からの許可が下りていない。

それなのに、仙道は事件に首を突っ込む、というか、首を突っ込むようになってしまう。
それは、過去の事件で知り合った人や、昔一緒に働いた刑事からの依頼によるものである。

そういう設定なので、仙道が事件の謎を解き犯人を逮捕するというものではない。また、科学的な物証を突き付けて謎を解くこともできない。
あくまでも、状況を調べて考えて、謎を解くのである。

主人公が警察官(刑事)であるのに、警察組織による捜査でなく、あくまでも個人の操作であることが、この物語の特徴である。

それゆえに、制約を取り外した行動と推理が新鮮である。

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駅弁ひとり旅 がんばっぺ東北編 <監修>櫻井寛 <作画>はやせ淳

2012-04-06 23:07:17 | 読んだ
この物語を読もうと思って第1巻を購入したが、それ以降読むことはなかった。
別につまらなかったわけではなく、よく行く本屋に見当たらなかったからなのだが、気にはなっていた。

そうしたら、偶然、コンビニでこの「がんばっぺ東北編」を見つけた。

三陸沿岸の鉄道はズタズタで「駅弁」どころではないはずだが、どんな物語になっているのか大きな興味を持って読んだ。

「がんばっぺ東北編」は
第1話 原ノ町はいま
第2話 宮古駅「魚元」再訪
第3話 久慈のお母さん
第4話 がんばっぺ東北
の4つの話である。

これに、過去の物語から東北の話を5つ
① 八戸駅 八戸小唄寿司 さば蒲焼き風當當當弁当
② 久慈駅 うに弁当
③ 宮古駅 いちご弁当
④ 仙台駅 海鮮常長辨當 網焼き牛たん弁当
⑤ 原ノ町駅・いわき駅 浜べんとう 汐干がり弁当 カニ・ウニ欲張りピラフ弁当
である。

がんばっぺ東北編は、作者の気持ちが素直に出ていた。
「鉄道も心配、駅弁も心配、でもそれより出会った人たちが心配」
という気持ちが、主人公・中原大介を通じて伝わってくる。

同じような企画で「美味んぼ」があったが、ずっとこちらのほうがいい。
それは、主人公の目線が我々と変わらないからだ。

被災地を巡って、悲しいと思い、励ます言葉も見つからない。
ひたすらがんばれと思い、何かできないかと思い、一人の力の弱さを嘆く。

それは中原大介が庶民だからだ。
「美味んぼ」の山岡士郎がいつの間にか権威になってしまったことと違うところだ。

それにしても、よく食べる。
こういうのを見ていると、なんだか食べたくなる。

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黒澤明という時代 小林信彦 文春文庫

2012-04-03 22:44:05 | 読んだ
黒澤明とその監督作品を中心に時系列で論じている。

小林節というのか、独特の論理による評論である。

私は黒澤明の映画をそんなに見ていないのに、なぜか面白く読めるのである。

一つには、自分で見たことしか書かないということ、また見たことであっても隠さなければならないことは隠し続けること、このあたりが強いのだとおもう。
その強さが、この本を面白くさせている。

黒澤明のデビュー映画『姿三四郎』を、著者は小学4年生から5年生にかけての春休みに見て
「生まれて始めて<文化的事件>を経験したことになる」
と感じたという。

なんという早熟。
翻って自分が小学4年生から5年生の春に何を思っていただろうか。さらに言えば「文化的事件」を経験しただろうか。
なんだか惨めである。

以後、黒澤映画とつかず離れずの関係を持っていく。
「つかず離れず」といったって、相当濃厚な「つかず離れず」なのである。

第1章から最終章の21章まで、映画を追い続けて黒澤明論が続く。

私が黒澤明という映画監督を知ったのは、すでに「天皇」と呼ばれた頃であったと思う。

そもそも、あまり映画に興味がなく、さらに映画に芸術を求めるものではなく、映画とは面白いか面白くないか、興味があるのは物語の「スジ」だけな私には、こんな風に映画を見るのか、という驚きがあった。

黒澤明という人、そしてその作品を通じて、著者は昭和を語りたかったのか、あるいは自分史をつづったのか。
その真意は知らないが、というか知りたくもないのだが、私にとっては映画というものはある面「難しいもの」なんだということがわかった。

難しく芸術性があるものだから、東大をでて映画監督になる人が多かったのだろう。

まあ、なんだあれ、面白く読んだのであった。

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