迷走する帝国、という副題のとおり、いよいよ(?)ローマ帝国の迷走が本格化してきた。
本書の中では、ローマ皇帝が10人も登場する。
また、1年間で5人も皇帝が誕生するときがある。
ローマの皇帝は、いわば「終身制」であるので、皇帝が代わるということはその前の皇帝が亡くなったということである。
本書に登場する皇帝たち10人の殆どが天寿を全うしていない。
自軍の兵士に殺されたり、戦死したりしている。
つまり「迷走」の結果なのである。
ローマ帝国が長い間かかって築き上げてきた「システム」が環境の変化に伴って、いわば「陳腐化」してきたことが、「迷走」の要因である。
では、環境の変化とはなにか?
それまで「蛮族」と呼んでいたローマ帝国周辺の民族が、蛮族なりに進歩しローマ帝国へ抵抗もしくは侵入し始めたのである。
これまで完璧に蛮族を押さえ込んでいたローマ帝国のシステムは、相手の進歩についていけなくなっていた。
そして、それはシステムだけではなく、ローマ人たちの気質も変わっていたのである。
それは、平和ボケ、とでも言うべきものなのかもしれない。
人間は平和が続くと危機管理意識が薄れていく、のかもしれない。
そして危機管理に対応する人物が、平和を築き上げたてきた人物たちに比べれば質が落ちるのである。
特にこれまで皇帝を提供し続けてきた「元老院」の質が落ち、前線で戦っている軍人たちが皇帝に推される。
著者は言う
「3世紀のローマ帝国は、持てる力の無駄遣いに、神経を払わないようになっていたのである。これもまた、ローマ人がローマ人でなくなりつつある兆候の一つであった。」
ここでいう「持てる力の無駄遣い」とは「政略面での継続性を失ったこと」であり、継続性がエネルギーの浪費を防ぐ方法であることだと著者は言う。
時間がたつと、何故か基本的なものの継続性について軽く扱う傾向がある。というのは私の経験でも言えることだが、このことが帝国全体であらわれたのだろうと思う。
平和を継続する、ということは人間にとって無理なことなのかもしれない。
人類全体の生き残りをはかるため、人間には殺し合うDNAがあるのかもしれない。
また、地球全体の環境を守るために、人間が増えないようなシステムが地球にあるのかもしれない。
歴史を読むとそういうことを思ったりする。
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本書の中では、ローマ皇帝が10人も登場する。
また、1年間で5人も皇帝が誕生するときがある。
ローマの皇帝は、いわば「終身制」であるので、皇帝が代わるということはその前の皇帝が亡くなったということである。
本書に登場する皇帝たち10人の殆どが天寿を全うしていない。
自軍の兵士に殺されたり、戦死したりしている。
つまり「迷走」の結果なのである。
ローマ帝国が長い間かかって築き上げてきた「システム」が環境の変化に伴って、いわば「陳腐化」してきたことが、「迷走」の要因である。
では、環境の変化とはなにか?
それまで「蛮族」と呼んでいたローマ帝国周辺の民族が、蛮族なりに進歩しローマ帝国へ抵抗もしくは侵入し始めたのである。
これまで完璧に蛮族を押さえ込んでいたローマ帝国のシステムは、相手の進歩についていけなくなっていた。
そして、それはシステムだけではなく、ローマ人たちの気質も変わっていたのである。
それは、平和ボケ、とでも言うべきものなのかもしれない。
人間は平和が続くと危機管理意識が薄れていく、のかもしれない。
そして危機管理に対応する人物が、平和を築き上げたてきた人物たちに比べれば質が落ちるのである。
特にこれまで皇帝を提供し続けてきた「元老院」の質が落ち、前線で戦っている軍人たちが皇帝に推される。
著者は言う
「3世紀のローマ帝国は、持てる力の無駄遣いに、神経を払わないようになっていたのである。これもまた、ローマ人がローマ人でなくなりつつある兆候の一つであった。」
ここでいう「持てる力の無駄遣い」とは「政略面での継続性を失ったこと」であり、継続性がエネルギーの浪費を防ぐ方法であることだと著者は言う。
時間がたつと、何故か基本的なものの継続性について軽く扱う傾向がある。というのは私の経験でも言えることだが、このことが帝国全体であらわれたのだろうと思う。
平和を継続する、ということは人間にとって無理なことなのかもしれない。
人類全体の生き残りをはかるため、人間には殺し合うDNAがあるのかもしれない。
また、地球全体の環境を守るために、人間が増えないようなシステムが地球にあるのかもしれない。
歴史を読むとそういうことを思ったりする。
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