読書日記 嘉壽家堂 アネックス

読んだ本の感想を中心に、ひごろ思っていることをあれこれと綴っています。

散歩もの 作:久住昌之 画:谷口ジロー 扶桑社文庫

2011-10-01 23:11:56 | 読んだ
「孤独のグルメ」は、連載時に時々読んでいたかもしれない、と言う理由でパスして、こちらを選んだ。

作者の久住昌之が、作中の人物と同様にある条件により「散歩」する。
その条件とは
①調べない
②道草を食う
③ダンドらない
である。

つまり、思い立った時にブラブラとなんとなくダラダラと歩くのである。

「いいなあ」と思う。

そういえば、昔は知らない町に行ったとき、ブラブラ歩いていたような気がする。
といっても、目的はあった。
概ね「昼飯」か「夕飯」であった。
一人で食べなければならない時に、店を探して歩いた。
で、店をナカナカ決められない。だからずっと歩く。

今年の3月11日の昼飯もそうだった。
麻布十番の街の中を、昼飯を食べる店を探して2時間近く歩いた。
つまり決めかねて歩いた。
そのうち住宅街にまで入り込んでしまった。

この物語の主人公は、何かを探して、或いは、何かを決めかねて、歩いているわけではなく、「なんとなく歩く」ことが目的であり、それはそれは非常にうらやましいことだ。

それは私にはできないことだからだ。
日常的にそういう時間が取れないこともある。

というわけで、この本には8話収録されている、
そして、そのあとに「あとがきにかえて」というものが14ページあり、「原作うらばなし」が27ページもある。

8話のうち私のお気に入りは
第2話 品川の雪駄
そして
第8話 目白のかき餅
であった。

それにしても、谷口ジローの絵はいい。
こういう「こだわり系」の話には、谷口ジローだなあ、としみじみ思う。


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