いつもは平和な我が街(Edgewater)に緊急事態宣言(State of Emergency)が発動された。昨日の夕方に発生した火災は冬篭りの大衆を脅かせ、火の持つ恐怖や力を市民に見せつけた結果となった。継続する消火活動は無力であり、火を消すという事よりも火の繁殖を防ぐのが精一杯であった。火は一晩中燃え続け、出火から24時間以上が経過した現在も依然として大きな煙を上げている。その煙はハドソン河を越えてマンハッタンを覆い、ニューヨークの街中にも焼き焦げた匂いを巻き散らかしている。昨晩はニューヨークに架かるジョージワシントンブリッジからその炎を目撃した。遠くから見る炎は暗闇の中でうだっており、その光景は地獄の底から闇の生き物が叫びうごめいている様で恐怖以外の何物でもなかった。思い起こせば火や煙で恐怖を感じた事が人生の中でいくつかある。まずは子供の時(小学校の頃)に見た真っ赤な夢。そしてニューヨークで経験した911、そして昨晩見た炎である。
ヘリコプターが上空を迂回する音を聞きながらこの大火事のニュースを追った。一晩。いや、夕方の数時間という時間に所有物の全てを失った人達が沢山写し出されその衝動を語っていた。その中には知った顔もいくつかあった。不幸中の幸い事に、400人以上の人々が住む家を失ったが、煙を吸って病院に運ばれた人はいても大怪我をしたり行方不明者や死人はいなかったのだ。火事の規模からみてもこれは奇跡ではないかと感じている。また、この大火事は何かの示唆を教えてくれている。それは個人個人によって捕らえ方は異なるであろうが、僕はまず火の恐ろしさを感じた。また、火災という状況下で不動産や自動車などのアセット(資産)が数時間で灰になってしまう現象をみて、所有物というものを人生の中でどう位置付けるのか、という課題を感じたのであった。
街の混沌状態は暫くは続くであろう。
昨日は火事の為に帰宅が随分と遅くなったので今日はもう寝る事にする。
体を横にして安心して眠れる場所があるって、それだけで本当に有難い事(幸せ)なんだなと改めて感じさせられた。