バーモント州のナンバープレートを付けたランドローバーのシリーズⅢ?(正確には分からない)右ハンドルを考慮すると英国か英国の影響圏で使用されていた車体である。
注目したのはこのルーフです。屋根の板が2重になっています、この機能をトロピカルルーフと呼びます。灼熱の太陽の下で走行風をルーフの隙間に巻き込み車体上部の熱を後方に逃がすという仕組みになっています。車体内部のルーフには頭上から車内へ風を誘うベンチレーションがあります。
トロピカルルーフはボディと同じアルミ製で車体にしっかりとした形で固定されており、走行風の圧力に十分耐える事が出来る。頭上のルーフラックはクリップ式では無くて完全にボルト閉めで取り付けられている。
フロントウィンドウの下にもベンチレーションが存在します。
最近の事情は知らないが、基本、サハラ砂漠等を走る四駆は燃料をセーブする為にクーラーは使用しません。砂漠の様に外気が熱いと室内の温度をクーラーによって涼しく維持するにはクーラーを常時最強で稼働させ続ける必要があります。しかし、40度近い砂漠の乾燥した灼熱の空気風に当り続けると息苦しくなるのは事実です。ですから灼熱の砂漠での自動車の旅は昼間の暑い時間帯は木陰で休息し、なるべく涼しい時間に移動します。トロピカルルーフ、ベンチレーション等、三角窓、最近は姿を消してしまいました。全てはクーラーの普及によるものです。同時に四駆は機能美を失ってしまった様に思われます。
7月が始まり暑い季節となりました。ランドクルーザーを走らせながら走行によって発生する風、この風をいかに活すか?それらを考察すると、その課題には面白さがある事を感じる。嘗てランドローバーの設計者達はこの課題に熱く取り組んだのであろう。自動車のメーカーが放棄し封印された感のある走行風を使って涼しく走るという機能や構想は旧式な古い機能だと理解されるが、それは自転車が古い乗り物で、自動車が新しい乗り物であるという理解に近い。四駆においてはマニュアル的な思考こそが四駆に求められている機能であると僕は感じている。ディフェンダーやシリーズが現在も人気を維持しているのはこの部分を秘め持っているからである。