そう語ったのは作家の開高健氏であった。今年になってからガラスのウイスキーグラスを一つ探している。ショットに適した大きさで、大き過ぎず小さ過ぎず程好い大きさで、懲り過ぎのデザインではなくて、手に馴染み、色と香を楽しむ事が出来る、そんなグラスだ。ネットで調べたり御店に寄って実物を観たりした。機会を設けてアンティークショップも覗いた。自分ではその探しているグラスが具体的にどういったグラスなのかさえ他人には上手く伝える事が出来ないでいる。ある店で観た透明なグラスが候補にはあるので、今後それで妥協するか、探し続けるかではある。僕は両方を選択するつもりではいる。ウイスキーは何時も飲む訳ではない。多くて月に数回である。しかし、その時は至福を感じる時間である故に、その為の一つのグラスを探す時間も楽しんでいる。お気に入りの好いグラスを手にしたらそのグラスをカバンの底に押し込んであっちこっちに出かけたい。手にするシングルモルトは変動的であるが一つのお気に入りのグラスは固定的な存在(小さな友)なのである。