南斗屋のブログ

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公判請求された場合、裁判所は罰金の判決ができるか

2008年10月10日 | 交通事故刑事事件の基礎知識
 以前、 
 「略式罰金か公判請求かはどう決まるのか」
という記事を書いたことがあります。
 
 加害者の刑事の処分で検察官が略式罰金を請求するのか、公判請求(正式裁判)をするのかはどのような事情で決まるのかについて述べたものですが、その記事にこんな質問が寄せられました。
 
 ”公判請求され、有罪が明らかな場合、刑は(執行猶予がつくとしても)必ず懲役刑以上となるのでしょうか。検察の求刑が懲役であったとしても、裁判官の判断で罰金刑になることはあるのでしょうか。”

 質問の答えとしては、こうなります。
 検察官が公判請求をしても、裁判官は、懲役刑でも罰金刑でも自分で考えたとおりに判断できます。

 実際にも、最近の判決で、検察官が懲役刑を求刑したのに、裁判官は罰金を言い渡したというケースがあります。

 仙台地裁平成20年9月19日判決は、
 宮城18人死傷事故で、助手席に乗っていて道交法違反(酒酔い運転幇助(ほうじょ))で起訴(公判請求)された被告人に対し、罰金25万円の判決をしました(検察官の求刑は懲役1年6カ月)。
 
 しかし、これはまれなケースと思っていただいた方がよいと思います。
 一般には、検察官が「このケースは、罰金ではおさめるべきではない、懲役刑を求刑する」というものが公判請求(正式裁判)になるのですから、裁判官もその考え方にのって、罰金にはしないという方が多いです。

 上記の仙台地裁判決は、検察官と裁判官の考え方が大きく分かれたケースと評価できるでしょう。



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