工作台の休日

模型のこと、乗り物のこと、ときどきほかのことも。

T-TRAKジオラマ ローマ・マエストラーレ通りを作る (3)

2024年08月30日 | T-TRAKジオラマ ローマ・マエストラーレ通り

 いくつか手元にやってきたストラクチャーでしたが、初めに組んだのがフォルマーの「ギフトショップ」でした。フォルマーしかり、ファーラーしかりですが、ヨーロッパのストラクチャーキットはGMのストラクチャーキットなどに慣れている身からすると驚くことも多かったです。

 まず、接着にほぞなどがないため、ほとんどが狭い面同士のイモ付けとなります。また、設計に「遊び」の部分が少ないせいか、仮組をして隙間なく組む準備をしておかないと、後でどこかに大きな隙間が開いて・・・となってしまいます(私もやったけど)。

「Coin」の看板は自作したものです。見えづらいですが建物横のブランド名の看板もレーシングカーのデカールから拝借しました。

 キット多色成型ですので、塗装をしなくてもそのまま組み立てても良いのですが、日焼けしたりもしますので、パーツがランナーについた段階で塗装しています。この建物の場合、白い部分はMr.カラー・グランプリホワイトで、壁のクリームはGMカラーのクリーム4号で、茶色い部分は同じくぶどう色2号をそれぞれ缶スプレーで吹き付けています。

 そして、欧州型ストラクチャーの特徴としてもうひとつ、それは内装でして、カーテンやショーウィンドウ内の展示、装飾などは紙に印刷されたものが入っています。この印刷された紙を折って組み立てて糊付けすることで四角い箱状のものができあがり、それを建物の内側に置くことで内装が再現されます。内装を紙にしているのは室内灯などを組み込んだときにプラスチックと違って光が漏れるのを防いでくれる効果があるからでしょうか。他の欧州製の建物でもそうですが、中でずれたりしないよう、建物の内側と紙でできた内装部分は両面テープや透明ゴム系接着剤で固定しています。

 また、この建物の左側のエレベーターか何かが入っていそうな部分ですが、装飾が施されたガラスをイメージした透明プラパーツの内側も紙です。ただし、これは私の好みでメタリックが入った市松模様の折り紙が買ってあって、それを使いました。

 最後に、Coinのロゴの看板などを取り付けて完成です。ネットから落としたロゴを自作デカールに出力、看板はプラ板で作り、ファレホの「Old Gold」を塗った後にデカールを貼りました。

 

 今回はもう一軒、バール「All'Ombla」の入っている茶色いビルです。

映画館やホテルとともに、近代的な建物群を構成していますが、こちら、カトーの「ジオタウン オフィスビル1」です。

こちらは完成品ですので、カラーを活かしつつも、ウェザリングを施してあります。また、1Fはバールと呼ばれるイタリアの喫茶店風にするため、写真では分かりませんが1F部分は立ち姿の人形を配置し、ウィンドウにはイタリアのバールということで日本でもおなじみセガフレード・ザネッティのロゴをデカールにして貼っています。直営ではなくセガフレードから豆などを買っているのでしょう。立ち姿の人形と書きましたが、イタリアのバールではコーヒーを飲む際に立って飲むより席に座って飲む方が料金が高くなります。もともと量の少ないエスプレッソを飲み、軽くおしゃべりをして、長居しないで出ていく人が多く(その分一日に何度もバールを利用するようですが)、バールでイタリア人が立っているというのは、そういう意味があるのです。

 お店の名前の「ALL'OMBRA」ですが、OMBRAにぱ「影」という意味があります。この建物は2階から上が前方に張り出していて、1階部分に影を作っていることから名づけられたとか。

 4階建ての建物ですが、4階に男の姿が。4階に探偵事務所を開いている私立探偵、という設定です。ハードボイルドに憧れていますが、実際はいなくなった猫を探したりといった「街の便利屋」稼業らしいことは、黙っておきましょう。

 2~4階はカーテンを入れてありますが、こちらはクレープ紙の折り紙から使いました。ちょうどカーテンに使えそうな淡い色がありました。

 さて、屋上の看板は製品には無く、プラ板、プラ材から自作です。左のミシュランのキャラクター「ビバンダム」はレーシングカーのデカールから、右側はイタリア映画の看板を差し替えられるようにしてあります。

 近代的で個性がそれほど強くない二棟の解説でした。このシリーズですが、今後2回は別のテーマのためお休み、また近いうちにマエストラーレ通りに戻ってきます。

 

 

 

 

 

 

 


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T-TRAKジオラマ ローマ・マエストラーレ通りを作る (2)

2024年08月29日 | T-TRAKジオラマ ローマ・マエストラーレ通り

2-1大まかな街の配置を決める

 前回ではどんなテーマで作るか、という話を書きました。もう少し踏み込んで、街の大まかなつくりを考えてみましょう。

 路面電車が走る(ダミーでもいいから)ジオラマにしたい、と書きましたが、ジオラマに共通する手前の複線部分を軌道敷にして・・・というのも最初は考えました。しかし、いろいろな車輌が走るモジュールレイアウトですので、軌道敷の似合わない車輌もいるでしょうし、軌道敷に車輌の底部やスカート、スノープロウが擦ってしまう恐れもあります。結局、複線部分はそのまま使うことにしました。

 欧州のレイアウトやモジュールを見ておりますと「本線」部分は低いところに置き、街並みを一段高い位置で再現している例を見かけます。つまり、線路は切通しのところを走っていたりするわけです。たしかに駅などが一段低い位置に作られ、切通しとなっている事例は見かけます。このため、本モジュールでも「見せたい」街並みは切通しの上に展開し、線路は線路で本来の高さの上を走るという形にしました。路面電車の線路や道路がジオラマ手前の方に伸びていてるように見せるため、小さな橋をかけて本線をまたぐ形にして、、そこで立体交差にできたら、と当初は考えていました。

 こうして切通しと街、という基本的な考えがまとまり、古い建物と新しい建物を路面電車線路の左右に分けて並べ、その対比を表現する、ということもこの時点で考えたところでした。後は図面に簡単なスケッチを落とし込んだりということで具体的にすすめていきます。本人の想像とはだいぶ違った姿になったのですが、そのあたりの話はおいおいしてまいりましょう。

 

2-2 建物の調達開始

 ジオラマに必要な建物も徐々に集まってきました。「大物」の三軒の店舗付き住宅ですが、こちらはまだ円高の時に取り寄せたものです。ドイツ、ファーラー製で、製品の写真が厚紙の箱の上を取り巻き、それをシュリンクパックしています。

完成見本です。

この紙を取ると

こんなデザインの内箱にキットが入っていました。内箱のデザインは共通です。

 

そして海外ものではこちらも

フォルマーの「ギフトショップ」です。イタリアのデパートというのは日本などに比べるとこじんまりしており、デパ地下のような食料品売場も、屋上の庭園や小さな遊園地もありません。奥行きのあまりない(薄い)建物なので、重宝しそうです。

続いて教会ですが、ドイツ製のストラクチャーでは基本的にプロテスタントのそれになりますし、屋根の傾斜もドイツの方がかなり深いです。逆にトミーテックの「建物コレクション」で使えそうな教会があります。

このスタイルの教会、もとはれんが造りだったのですが、石造りのバリエーションも出ていたので、数年前に購入しました。

 

ホテルは同じくトミーテックの「昭和のビルC2」からです。

朝食はつくけどシングルルームはシャワーだけ、みたいなホテルとして使えそうです。

 

そして映画館です。

こちらは建物がピンクと、ちょっと派手目です。塗りなおした方がよさそうです。

そんなわけで建物も集まり始めたので工作開始、となりました。まずはこれらの建物の組み立てを1月くらいから始めました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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T-TRAKジオラマ ローマ・マエストラーレ通りを作る(1)

2024年08月25日 | T-TRAKジオラマ ローマ・マエストラーレ通り

 先日T-TRAKジオラマSHOWや国際鉄道模型コンベンションで展示しましたジオラマ「ローマ・マエストラーレ通り」ですが、今回から何回かに分けて、メイキングとまではいきませんが、ジオラマの見どころも含めての少し詳しいご紹介を書きたいと思います。

1-1 テーマとサイズを決めるまで

 以前からヨーロッパをテーマにしたジオラマを作ってみたいと思っていました。もともと日本型と同じくらいの情熱で外国型の鉄道模型を見ておりましたが、自分の好きなイタリアをモチーフにしたものが作れないかなあ、などと思っていました。私は都会生まれの都会育ちですから、自然の風景より街の風景の方が再現できそうですし、イタリアでは随分と街歩きをしたものです。イタリアの場合ですと、フィレンツェは「花の聖母寺」の存在感が強いですし、ヴェネツィアの場合は鉄道が入れるのは本島の端までと限定されていますので、あとはミラノかローマか、となります。自分の中ではミラノよりローマの方が人がせわしなくて「ドラマ感」があるように感じたものですから、ローマのどこかにありそうな風景、となりました。

 サイズの話になりますが、端から大きなレイアウトにするつもりはなく、モジュールで作って他のモジュールとつなげることができたらと思っていました。現在の日本では「路面モジュール」と呼ばれる主に路面電車を走らせるための小さなモジュールと、そこから生まれた(というか親戚筋のように感じられるのですが)T-TRAKと呼ばれる規格のモジュールが知られています(このあたりの誕生の経緯とかは、ネットで調べてください)。イベントやコンテストで各々が作ったモジュールをつなぎ合わせて一つの大きなレイアウトにできます。街の風景を作るために路面電車は欠かせないので路面モジュールでトライしようかとも考えましたが、建物を置いたりしていくとそれなりの面積が必要ですので、T-TRAKで作ろう、となりました。

 T-TRAKはこんな寸法となっていて、ルールが事細かに決められています(はずです)。はずです、と書いたのは、規格から逸脱したようなモジュールがときどき見受けられるからです。

(画像はT-TRAK2024 募集要項より)

ほぼ30cm四方のボードなわけですが、これを横に2枚使う「ダブル」というのもあります。私は「ダブル」で作ってみることにしました。MDF素材で組み立てるとこの規格になり、さらに複線線路がついたボードがカトーさんから出ていますので、それを使えばルール通りのモジュールは作れます。

建物を仮配置しているので見づらいのですが、建物の下に見えるのがボードです。この時点では完成時と建物の配置が違いますね。

 

1-2 どんな建物と景色を入れていくか

 このジオラマを作るに先立ち、もっと小さなサイズのジオラマを作っています。2019年6月の拙ブログで「トラムのジオラマを作った話」というのを書きました。この時に思ったのが、もっと大きくていろいろな建物が入ったジオラマにしたい、というものでした。まだコロナ禍前、円高の頃に欧州型のストラクチャーを取り寄せたりとかもしていましたので、自分の中で、これとこれは入れたい、というのがありました。

・やっぱり路面電車が(ダミーでもいいので)走る風景がほしいな

・イタリア風の大衆食堂(トラットリア)・・・食堂系のお店は人形なども入れると映えます。

・比較的リーズナブルなホテル・・・観光都市でもあるローマならではでしょう。豪華ホテルである必要はありません

・教会・・・カトリックのイタリアならではです。ローマはバチカンもありますし「宗教都市」な一面もあります

・バール・・・イタリア人なら一日に何度も利用すると言われ、日本式に言うと喫茶店でしょうか。イタリアの風景なら外せません

・名画座系の映画館・・・街中にあるのかは不明ですが、入れてみたいと思っていました。

これ以外にも、

・せっかくローマの風景なのだから、ローマ時代の遺跡の一部を再現したいな。フォロ・ロマーノのような大規模なところじゃなくて、街中に20m×10mくらいの小さな遺跡がぽこん、と出現しているところもあるぞ。

・街中に近代的な郵便局とかどうだろう。はたらくくるまが使えるぞ。

・ネットカフェとコインランドリーがついたビルで、上階がかなり安価なホテルになっているのとかあるよな

・日本とは違って規模の小さいデパートとかあるとにぎやかだよな

・そうそう、イタリアの街角と言うと「エディコラ」と呼ばれる新聞スタンドも欲しいな

などと置きたい建物、観たい風景のリストが増えていきます。図面の上だけで考えていた今年の1月時点では、これらすべてを詰め込めると思っていたのですから、妄想は自由です。実際にはそこまでのスペースを取るのは大変だったのですが・・・。

 既に買ってあったストラクチャー、キットなどもありましたし、ネットで購入した中古の完成品のストラクチャーもありました。先に建物があらかた揃った状態で、工作スタート、となりました。

 

 

 


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