以前にも書きましたが、T-SQUARE(本稿ではスクエアと略)で長年キーボードを務められた河野啓三さんがバンドを離れ、昨年秋に最後の参加作品となった「Creme de la creme」(クレームの中のクレーム、ではなくてフランス語でクリームの中のクリーム=最上のもの、最高の人々という意)がリリースされました。料理の用語が転じて「最高の~」といった使われ方をするのはフランスらしいところですが、それはさておいてこのアルバムは現メンバーでのセルフカバー、河野さんの作曲された曲のベスト、レコーディング風景のDVDの三枚入った豪華版であります。
このCDを聴きながら、河野さんとスクエアの20年を思い出していました。

私が河野さんの名前を初めて知ったのは2000年秋、スクエアが安藤まさひろ、伊東たけし両名のユニットとして「再出発」したときのライブの場でした。5人編成で長く続いてきたスクエアでしたが、1998年に和泉宏隆さん(キーボード)、本田雅人さん(サックス、ewiなど)の退団があり、その後は新しいメンバーを入れながら続いておりましたが、いろいろあって(本稿ではそれがテーマではないので詳しくは書きませんが)、1991年にバンドを離れた伊東さんが戻ってきたタイミングで二人のスクエアとなり、他のメンバーはレコーディングやライブによって変動するスタイルとなりました。そこで河野さんに声がかかったというわけです。
この再出発のCDは「FRIENDSHIP」と言って、発売記念ライブだったかが六本木の(今はなき)スイートベイジルで行われ、私も観に行きました。お店の名前は聞いておりましたがお洒落な店というイメージが強く(実際そうでしたが)、少しばかり緊張して入店した記憶があります。
「FRIENDSHIP」のCDの帯のコピーではありませんが「おっ、伊東たけしが帰ってきた」という気持ちでライブを楽しみました。この時のドラムは1985年からバンドを支えていた則竹裕之さん、ベースは村上聖さんでした。河野さんについては「秘蔵の古いライブ音源などを持っていて、古い曲のエンディングなどをよく知っている」と紹介されていました。
このライブには私以外に同行者がいたのですが、同行者は1999年、2000年のキーボード・松本圭司さんの没入するようなソロプレイのイメージが強かったのか、河野さんの演奏はあまり印象的ではなかったようでした。先日、このライブを収録したDVD「FRIENDSHIP LIVE」を改めて見てみましたが、河野さんのキーボードはバンドとしての一体感やこれまでの積み重ねを大切にしつつも、ソロプレイでは時折オリジナリティを見せており、その後のスクエアでの演奏の片鱗を感じさせるものがありました。

その後もツアー、さらにはスクエアが「ユニット」から「バンド」に戻ってからも河野さんはスクエアの一員として活躍し続けることになります。2003年にはスクエアのデビュー25年を記念し、1987~1990年メンバーによる「THE SQUARE」名義のツアーやカシオペアとの「VS」ライブもありましたが、河野さんはサポートメンバーとしてシンセサイザーなどを演奏されていました。
その後もスクエアには欠かせないメンバーとして、また旧メンバーによる「Reunion」ライブでもサポートを務められ、リーダーの安藤さんの次に長くステージの上に立ち、スクエアと関わっているのではないかというくらいの活躍をされていました。
先日リリースされた「Creme de la creme」の河野さん作曲のベスト盤を聴きますと「RONDO」や「THROUGH THE THNDERHEAD」のようにそれぞれのパートに見せ場があってライブで大盛り上がりになる曲もあり、得意な都会的でおしゃれな曲もありで、バンドの作曲者としても多大な活躍をされてきたんだなあと改めて気づかされました。都会的なナンバーは私もお気に入りで、伊東さんのサックスや安藤さんのギターが絡むとまたいい味になるのです。バラードについてはライブでは以前のキーボード奏者・和泉宏隆さんの名曲が演奏されることが多いとはいえ「かわらぬ想い」などの名曲もあり、この曲は初めてスクエアのライブを聴きに行った私の家人がとても感動したと言っており、個人的にも思いのある曲です。ソロ名義のアルバムからも私の好きな「FIRST IMPRESSION」も入っておりますし、ここに含まれていない曲も含めて、たくさんの名曲を書かれてきたんだなあと思います。インストゥルメンタルの曲は歌詞が無い分、聴き手がイメージをそれぞれ膨らませながら聞くことになりますが「RONDO」や「時間旅行」などは私の中で明確なイメージがいつも浮かぶ曲となっています。
フュージョンのキーボードというと、前述の和泉さんやカシオペアの前キーボード・向谷実さんのようにステージで笑いを取るような方もいるのですが、河野さんはそういうタイプではなく、マイクを向けられてもおとなしめなMCをされていました。そうは言っても謎のラップだったり(失礼)、年末ライブで琴の音色にしたシンセサイザーでTRUTHを演奏したりとった面もあり、真面目に音楽をしながらお客さんを楽しませるという感じがありました。
一昨年のご病気の治療とリハビリに専念されるということで、ライブなどから離れるわけですが、新しいアルバムへの曲の提供など、今後もスクエアと関わるとアナウンスされています。体を大切にされ、機会があればステージでお姿を拝見できることをお祈りいたします。
この稿、セルフカバー盤の方も書きたいことがありますので、次回に続きます。もしかすると別の記事をはさんで、となるかもしれませんが、ご容赦ください。

写真は2017年名古屋で。終演後に観客に撮影許可があって撮影したものです。左から、安藤まさひろさん(ギター)、河野啓三さん(キーボード)、伊東たけしさん(サックス、ewi)、坂東慧さん(ドラム)、田中晋吾さん(サポート・ベース)。サポートの田中さんも含め、このメンバーで実に15年(5年に一度のスーパーバンドはありますが)変わらず演奏をされていました。
このCDを聴きながら、河野さんとスクエアの20年を思い出していました。

私が河野さんの名前を初めて知ったのは2000年秋、スクエアが安藤まさひろ、伊東たけし両名のユニットとして「再出発」したときのライブの場でした。5人編成で長く続いてきたスクエアでしたが、1998年に和泉宏隆さん(キーボード)、本田雅人さん(サックス、ewiなど)の退団があり、その後は新しいメンバーを入れながら続いておりましたが、いろいろあって(本稿ではそれがテーマではないので詳しくは書きませんが)、1991年にバンドを離れた伊東さんが戻ってきたタイミングで二人のスクエアとなり、他のメンバーはレコーディングやライブによって変動するスタイルとなりました。そこで河野さんに声がかかったというわけです。
この再出発のCDは「FRIENDSHIP」と言って、発売記念ライブだったかが六本木の(今はなき)スイートベイジルで行われ、私も観に行きました。お店の名前は聞いておりましたがお洒落な店というイメージが強く(実際そうでしたが)、少しばかり緊張して入店した記憶があります。
「FRIENDSHIP」のCDの帯のコピーではありませんが「おっ、伊東たけしが帰ってきた」という気持ちでライブを楽しみました。この時のドラムは1985年からバンドを支えていた則竹裕之さん、ベースは村上聖さんでした。河野さんについては「秘蔵の古いライブ音源などを持っていて、古い曲のエンディングなどをよく知っている」と紹介されていました。
このライブには私以外に同行者がいたのですが、同行者は1999年、2000年のキーボード・松本圭司さんの没入するようなソロプレイのイメージが強かったのか、河野さんの演奏はあまり印象的ではなかったようでした。先日、このライブを収録したDVD「FRIENDSHIP LIVE」を改めて見てみましたが、河野さんのキーボードはバンドとしての一体感やこれまでの積み重ねを大切にしつつも、ソロプレイでは時折オリジナリティを見せており、その後のスクエアでの演奏の片鱗を感じさせるものがありました。

その後もツアー、さらにはスクエアが「ユニット」から「バンド」に戻ってからも河野さんはスクエアの一員として活躍し続けることになります。2003年にはスクエアのデビュー25年を記念し、1987~1990年メンバーによる「THE SQUARE」名義のツアーやカシオペアとの「VS」ライブもありましたが、河野さんはサポートメンバーとしてシンセサイザーなどを演奏されていました。
その後もスクエアには欠かせないメンバーとして、また旧メンバーによる「Reunion」ライブでもサポートを務められ、リーダーの安藤さんの次に長くステージの上に立ち、スクエアと関わっているのではないかというくらいの活躍をされていました。
先日リリースされた「Creme de la creme」の河野さん作曲のベスト盤を聴きますと「RONDO」や「THROUGH THE THNDERHEAD」のようにそれぞれのパートに見せ場があってライブで大盛り上がりになる曲もあり、得意な都会的でおしゃれな曲もありで、バンドの作曲者としても多大な活躍をされてきたんだなあと改めて気づかされました。都会的なナンバーは私もお気に入りで、伊東さんのサックスや安藤さんのギターが絡むとまたいい味になるのです。バラードについてはライブでは以前のキーボード奏者・和泉宏隆さんの名曲が演奏されることが多いとはいえ「かわらぬ想い」などの名曲もあり、この曲は初めてスクエアのライブを聴きに行った私の家人がとても感動したと言っており、個人的にも思いのある曲です。ソロ名義のアルバムからも私の好きな「FIRST IMPRESSION」も入っておりますし、ここに含まれていない曲も含めて、たくさんの名曲を書かれてきたんだなあと思います。インストゥルメンタルの曲は歌詞が無い分、聴き手がイメージをそれぞれ膨らませながら聞くことになりますが「RONDO」や「時間旅行」などは私の中で明確なイメージがいつも浮かぶ曲となっています。
フュージョンのキーボードというと、前述の和泉さんやカシオペアの前キーボード・向谷実さんのようにステージで笑いを取るような方もいるのですが、河野さんはそういうタイプではなく、マイクを向けられてもおとなしめなMCをされていました。そうは言っても謎のラップだったり(失礼)、年末ライブで琴の音色にしたシンセサイザーでTRUTHを演奏したりとった面もあり、真面目に音楽をしながらお客さんを楽しませるという感じがありました。
一昨年のご病気の治療とリハビリに専念されるということで、ライブなどから離れるわけですが、新しいアルバムへの曲の提供など、今後もスクエアと関わるとアナウンスされています。体を大切にされ、機会があればステージでお姿を拝見できることをお祈りいたします。
この稿、セルフカバー盤の方も書きたいことがありますので、次回に続きます。もしかすると別の記事をはさんで、となるかもしれませんが、ご容赦ください。

写真は2017年名古屋で。終演後に観客に撮影許可があって撮影したものです。左から、安藤まさひろさん(ギター)、河野啓三さん(キーボード)、伊東たけしさん(サックス、ewi)、坂東慧さん(ドラム)、田中晋吾さん(サポート・ベース)。サポートの田中さんも含め、このメンバーで実に15年(5年に一度のスーパーバンドはありますが)変わらず演奏をされていました。