模型屋さんに行きますとアクリル、エナメル、水性といった別だけでなく用途別でもさまざまな塗料が並んでいて「こんなの出ていたんだ」と改めて発見することもあります。
GSIクレオスから「ラスキウスカラー アウラ」という塗料のシリーズが出ています。もともとラスキウスカラーはアニメ・キャラクター系モデルやフィギュアなどの顔の塗装の為に開発され、皮膚の質感などをMr.カラーと同じ性質の塗料で再現できるというのが売りです。こういう塗料はファレホなどの水性塗料の独壇場と思っていましたので、Mr.カラーで塗りたい、というユーザーからの声があってクレオスさんも作ったのかな、という感じでみておりました。「アウラ」についてはフィギュアの髪の部分を再現できるという触れ込みで開発されたそうで、ミリタリー系やスケールモデルなら髪の毛は黒かマホガニーかグレー、金色あたりを混ぜて、あとはつや消しのトップコートでおしまい、となりますがそう簡単にはいかないジャンルの模型のための塗料ということで「濡烏」、「栗毛色」、「亜麻色」といった髪色として想像がつく色から水色やライラックなど実にさまざまな色が出ております。発売はだいぶ前で、私もなんとなくは知っていましたが模型屋さんで蓋の色を見て、この淡い色って自動車、それも1960年代の今よりずっとカラフルだったころのそれに使えないか?となって興味のある色を買ってみました。
我が家にはトミーテックから発売のカーコレクション第1弾がまとまって買ってありました。若い方ですと既に昔のカーコレクションは知らないよ、と言われそうなので説明しますと、第1弾はブラインドパッケージで1960年代初頭の自動車をセットしており、日産セドリック、ダットサン・ブルーバード、トヨタ・コロナ、プリンス・グロリアスーパー6といったあたりが入っていました。そのうちコロナを除いた三車種についてはまとまった数があるのは良いのですが、同じ色のものもあって、カタログカラーにないけどあの時代の自動車っぽくカラフルにしたいなあ、ということで今回の「実験」の対象となったわけです。
まずは車体を分解し、もとの塗装をはがします。以前からカーコレクションの塗りかえは経験があり、イソプロピルアルコールなどで落としていたのですが、作業中も、また作業後の処理なども含めていろいろと手間ですし、小さな子供もいますので今回は密閉できる容器にMr.カラーの薄め液を入れて俗にいう「シンナードボン」で落としました。10分~15分くらいでもとの塗装があらかた落ちてくれました。長く漬けると車体が割れる恐れもあるので、ほどほどに。
モールド色が半透明の白系の色ですので、そのまま色を塗っていくことにしました。なお、塗装は一部を除いてエアブラシによります。
CL101 ブロンドで塗ったのがこちら
セドリックとブルーバード、淡いクリームイエローという感じです。そういえばフォルクスワーゲン・ニュービートルにもこんな色がありました。
CL104 ピンクパープル
ピンク色はMr.カラーでもラインナップにありますが、ピンクよりもやや落ち着いた感じになります。セドリック(右)の屋根はグランプリホワイトに塗っています。あの時代の外国車にありそうな色になりました。
CL105 ライラック
グロリア(左)にこういう色はありません。黒とか紺とか、割と重厚な色が多かったようです。皇族方も乗られていたそうですね。屋根はGMカラーのアイボリー(小田急のアイボリー)です。このグロリアについては日本駐在の某国の大使夫人がこの車の性能にほれ込んで自家用で使っている、という設定にでもしましょうか。
ブルーバードもこの色が似合っています。うちの近くにバンデンプラス・プリンセス(!)というかなりレアな車が駐車していて、もうちょっとグレー系に振った色でしたが、1960年代の自動車ならライラックが似合いそう、とヒントをもらった次第です。
CL108 浅葱色
浅葱(あさぎ)色はごく薄い藍色、明るい青緑色とネットには書かれています。この塗料に関しては緑の痕跡はあまり見いだせず、どちらかというと103系、201系の時代までの国鉄の青22号に近い感があります。GMカラーの青22号がなんだか物足りない、というモデラー諸兄は試してみたら!?
左側のみカーコレクション第2弾のハコスカが入っています。真ん中はセドリックのタクシーで銀色帯のデカールを貼りました。右側のグロリアはフレンチブルーのフランス車気取りになっています。
CL109 ライムグリーン
軽快感があって、とてもいい色です。このくらいのサイズの自動車に似合っている感じがします。Mr.カラーの「ルマングリーン」の鮮やかな黄緑でもなく、艦船模型用の外舷色でもなく、GMカラーの黄緑6号(山手線の車体色)、ライトグリーンB(京阪の上半色)でもない明るいライトグリーンです。
塗装をはがしたことで本来印刷されていた灯火や銀色のモール部分も落ちてしまっていますので、面相筆で極力再現はしていますが、仕上がりが汚くなってしまっては元も子もないですから、自分の技量に合わせてほどほどにしています。
この「アウラ」ですが、隠蔽力が強く、こういった中間色ですと下地の色に影響されがちなものですが、うまく乗ってくれたと思います。クレオスからは以前「みるきいぱすてるカラー」というパステル色系のカラーもあって、このブログでも国鉄の2等車の帯色に応用した記事を書きましたが、入手できなくなって久しいですし、あちらは「色の源」など他の色との混色なども想定して作られていましたので、色単体としての隠蔽力では若干弱いかな、という印象を持っていました。また、アウラに関しては変に「混ぜて」いないのでピュアな色が欲しい時に便利かなという感もあります。
今回使わなかったCL102 栗毛色とMr.カラーの「茶色」とは何が違うのかとか気になりますが、CL107 亜麻色も昔の車の2トーン部分に使えそうとか、CL111 空色は混じりっけのない水色で使えるなあという感じで、いろいろな模型に使えそうです。アリイ(旧LS)1/32のオーナーズクラブでも昔の乗用車はラインナップされていますので、気になる方はトライしてみては。
昭和30年代の乗用車というと、観音開きのクラウンが取り上げられたりするわけですが、今回ご紹介したセドリックやブルーバードなども好きで、国産車が外国車のノックダウンからようやく抜け出した時期の自動車ですので、どこか外国車の影響が見て取れたりもします。ということで私も今回塗り替えた自動車については「なんちゃって外国車」として欧州型のストラクチャーと組み合わせたいなとか、いろいろ考えています。ちなみにセドリックのパトカーも灯火の赤い塗装を薄め液で落としてクリアブルーに塗り替えて、車体も塗り替えてヨーロッパのパトカーや憲兵のパトカーにして楽しんでいます。Nサイズの昔の欧州車は海外メーカーからもリリースされていますが、それなりに値段もしますので、こういう楽しみ方もありますよ、ということでご紹介した次第です。
GSIクレオスから「ラスキウスカラー アウラ」という塗料のシリーズが出ています。もともとラスキウスカラーはアニメ・キャラクター系モデルやフィギュアなどの顔の塗装の為に開発され、皮膚の質感などをMr.カラーと同じ性質の塗料で再現できるというのが売りです。こういう塗料はファレホなどの水性塗料の独壇場と思っていましたので、Mr.カラーで塗りたい、というユーザーからの声があってクレオスさんも作ったのかな、という感じでみておりました。「アウラ」についてはフィギュアの髪の部分を再現できるという触れ込みで開発されたそうで、ミリタリー系やスケールモデルなら髪の毛は黒かマホガニーかグレー、金色あたりを混ぜて、あとはつや消しのトップコートでおしまい、となりますがそう簡単にはいかないジャンルの模型のための塗料ということで「濡烏」、「栗毛色」、「亜麻色」といった髪色として想像がつく色から水色やライラックなど実にさまざまな色が出ております。発売はだいぶ前で、私もなんとなくは知っていましたが模型屋さんで蓋の色を見て、この淡い色って自動車、それも1960年代の今よりずっとカラフルだったころのそれに使えないか?となって興味のある色を買ってみました。
我が家にはトミーテックから発売のカーコレクション第1弾がまとまって買ってありました。若い方ですと既に昔のカーコレクションは知らないよ、と言われそうなので説明しますと、第1弾はブラインドパッケージで1960年代初頭の自動車をセットしており、日産セドリック、ダットサン・ブルーバード、トヨタ・コロナ、プリンス・グロリアスーパー6といったあたりが入っていました。そのうちコロナを除いた三車種についてはまとまった数があるのは良いのですが、同じ色のものもあって、カタログカラーにないけどあの時代の自動車っぽくカラフルにしたいなあ、ということで今回の「実験」の対象となったわけです。
まずは車体を分解し、もとの塗装をはがします。以前からカーコレクションの塗りかえは経験があり、イソプロピルアルコールなどで落としていたのですが、作業中も、また作業後の処理なども含めていろいろと手間ですし、小さな子供もいますので今回は密閉できる容器にMr.カラーの薄め液を入れて俗にいう「シンナードボン」で落としました。10分~15分くらいでもとの塗装があらかた落ちてくれました。長く漬けると車体が割れる恐れもあるので、ほどほどに。
モールド色が半透明の白系の色ですので、そのまま色を塗っていくことにしました。なお、塗装は一部を除いてエアブラシによります。
CL101 ブロンドで塗ったのがこちら
セドリックとブルーバード、淡いクリームイエローという感じです。そういえばフォルクスワーゲン・ニュービートルにもこんな色がありました。
CL104 ピンクパープル
ピンク色はMr.カラーでもラインナップにありますが、ピンクよりもやや落ち着いた感じになります。セドリック(右)の屋根はグランプリホワイトに塗っています。あの時代の外国車にありそうな色になりました。
CL105 ライラック
グロリア(左)にこういう色はありません。黒とか紺とか、割と重厚な色が多かったようです。皇族方も乗られていたそうですね。屋根はGMカラーのアイボリー(小田急のアイボリー)です。このグロリアについては日本駐在の某国の大使夫人がこの車の性能にほれ込んで自家用で使っている、という設定にでもしましょうか。
ブルーバードもこの色が似合っています。うちの近くにバンデンプラス・プリンセス(!)というかなりレアな車が駐車していて、もうちょっとグレー系に振った色でしたが、1960年代の自動車ならライラックが似合いそう、とヒントをもらった次第です。
CL108 浅葱色
浅葱(あさぎ)色はごく薄い藍色、明るい青緑色とネットには書かれています。この塗料に関しては緑の痕跡はあまり見いだせず、どちらかというと103系、201系の時代までの国鉄の青22号に近い感があります。GMカラーの青22号がなんだか物足りない、というモデラー諸兄は試してみたら!?
左側のみカーコレクション第2弾のハコスカが入っています。真ん中はセドリックのタクシーで銀色帯のデカールを貼りました。右側のグロリアはフレンチブルーのフランス車気取りになっています。
CL109 ライムグリーン
軽快感があって、とてもいい色です。このくらいのサイズの自動車に似合っている感じがします。Mr.カラーの「ルマングリーン」の鮮やかな黄緑でもなく、艦船模型用の外舷色でもなく、GMカラーの黄緑6号(山手線の車体色)、ライトグリーンB(京阪の上半色)でもない明るいライトグリーンです。
塗装をはがしたことで本来印刷されていた灯火や銀色のモール部分も落ちてしまっていますので、面相筆で極力再現はしていますが、仕上がりが汚くなってしまっては元も子もないですから、自分の技量に合わせてほどほどにしています。
この「アウラ」ですが、隠蔽力が強く、こういった中間色ですと下地の色に影響されがちなものですが、うまく乗ってくれたと思います。クレオスからは以前「みるきいぱすてるカラー」というパステル色系のカラーもあって、このブログでも国鉄の2等車の帯色に応用した記事を書きましたが、入手できなくなって久しいですし、あちらは「色の源」など他の色との混色なども想定して作られていましたので、色単体としての隠蔽力では若干弱いかな、という印象を持っていました。また、アウラに関しては変に「混ぜて」いないのでピュアな色が欲しい時に便利かなという感もあります。
今回使わなかったCL102 栗毛色とMr.カラーの「茶色」とは何が違うのかとか気になりますが、CL107 亜麻色も昔の車の2トーン部分に使えそうとか、CL111 空色は混じりっけのない水色で使えるなあという感じで、いろいろな模型に使えそうです。アリイ(旧LS)1/32のオーナーズクラブでも昔の乗用車はラインナップされていますので、気になる方はトライしてみては。
昭和30年代の乗用車というと、観音開きのクラウンが取り上げられたりするわけですが、今回ご紹介したセドリックやブルーバードなども好きで、国産車が外国車のノックダウンからようやく抜け出した時期の自動車ですので、どこか外国車の影響が見て取れたりもします。ということで私も今回塗り替えた自動車については「なんちゃって外国車」として欧州型のストラクチャーと組み合わせたいなとか、いろいろ考えています。ちなみにセドリックのパトカーも灯火の赤い塗装を薄め液で落としてクリアブルーに塗り替えて、車体も塗り替えてヨーロッパのパトカーや憲兵のパトカーにして楽しんでいます。Nサイズの昔の欧州車は海外メーカーからもリリースされていますが、それなりに値段もしますので、こういう楽しみ方もありますよ、ということでご紹介した次第です。