朝晩が涼しくなり、だいぶ過ごしやすい季節になりました。私もこの季節が大好きです。さて、前々回のブログでモノクロ仕上げにした待合室の写真を掲載しましたが、あのジオラマの種明かしをいたしましょう。
こういう状況下で書きたい、と思った記事で、さらにあの記事に合わせたジオラマを作りたいと思って作ったものであります。いつものようにNゲージやHOゲージサイズの人形では伝えたいものが伝わらないと思い、1/35でジオラマを作ってみようと思いました。ただし、あまりお金は使わず、手元にある素材や材料を使っての工作となりました。
全景はこんな感じです。
キオスクがある小さな待合室の風景を切り取りました。ジオラマの土台は100均で売っているディスプレイケースです。床面は津川洋行のNewデザインプラスチックペーパー・石積80を使用しています。壁面は5mm厚のスチレンボードを使っています。リキテックスのモデリングペーストを塗って表面を壁っぽくしていますが、少しオーバーな表現でした。壁同士の接着ですが、爪楊枝を刺して接着面を補強しています。
主役の人形ですが、中国のmeng modelというメーカーのイスラエル軍戦車クルーというキットから連れてきました。
箱絵のとおり戦闘中ではなくて休憩中の兵士の姿をモデル化しています。以前別のジオラマを製作した時に使わなかったパーツから今回の座る男のフィギュアができました。胸ポケットをエポキシパテで追加し、服も適宜削ったりしながら民間人に化けてもらったわけですが、服と頭の大きさがややアンバランスな感があります。もともとこんな上着(薄手のものでしたが)を私が10代後半の頃よく着ており、そのイメージです。ハイライトやシャドウをことさら強調する人形の仕上げ方は決して好きな方ではないのですが、やはり写真にすると効果があります。足元の荷物はタミヤの連合軍車輛アクセサリーセットに入っていたダッフルバッグを元に、ジッパーや肩かけのストラップを追加しました。ストラップはカーモデル用のシートベルトから作りました。バッグの色ですが「リトルアーモリーカラー」のステンレスシルバーを使ってみました。ちょっと粗い感じのある色です。私が10代から20代にかけて、こういう色のバッグを使っていたのです。
ベンチの上のペットボトルは人形のキットに入っていたものです。ラベルの部分を適当な色で塗っています。
ベンチはコバアニ模型工房のものを使いました。紙製キットですが接着して組みあがるとしっかりとしたものになります。枠の部分はファレホのブロンズグリーンで、座面、背面の木部は同じくマホガニーで塗りました。
奥のポスターは昭和63年夏の青春18きっぷのものです。モデルは和久井映見さんだそうですね。
こちらもプラ板、プラ材を中心に組んでいます。こういったポスターですが、フェルトの布を張った面に画鋲で止めていることが多いので、緑のラシャ紙でフェルトの布っぽさを出しています。画鋲はコトブキヤやWAVEなどから発売されている1mm程度のリベットなどのパーツです。実際の大きさに換算するとオーバースケールになりますが、あえて目立たせています。ポスターの上の「JRからのお知らせ」なのですが、もともとは「国鉄からのお知らせ」とあったところに民営化に合わせて「JR」と紙で上から貼ったという設定です。民営化からしばらくはこういう光景をよく見かけました。モデルでも「国鉄からのお知らせ」という自作デカールを貼った上から紙で「JR」と印刷したものを貼っています。
ポスターの横は自販機です。こちらはカプセルトイの「ザ・ミニチュア自販機コレクション」を使用しました。カプセルに収めるためか丈も低いですし、サンプルのドリンクの数も実際にはもっと多いでしょう。よりリアルさを求めるようでしたらハセガワから休憩中の工事現場の作業員のフィギュアと一緒に自販機がモデル化されていますので、最近の自販機を再現するなら好適と思います。横のごみ箱ですが、macone modelというメーカーのレジンキットです。化粧板のオレンジの部分は朱色1号に塗りました。
なお、自販機についてはそのまま接着するのではなく、底面の四隅に1mm程度の厚さのプラ材で足をつけています。実物でも四隅に台がついていて、ボルトで自販機と固定されていたり、地震で転倒しないような機構がついている場合もあります。
キオスク側の説明にまいりましょう。本来、キオスクはホーム上でも待合室上でも独立した店構えで、前方、左右両面に向かって開き、スペースを稼いでいますが、こちらは壁についているような感じです。もともと立ち食いそばやにするか迷ったのですが、やはり駅の風景と一目で分かるようにするためには誰もが知っている売店の方が、となりました。ロゴなどはネットから落としたものをデカールにして貼っています。シャッターは建築模型のプラ材から、左の業務用の扉はプラ板で作り、枠はプラ材を切り出しています。営業時間は7:00~20:30となっており、閉店時間はこの駅に一番遅い時間に停車する特急の時刻に合わせています。シャッターや扉にはプラ材でドアノブ、鍵穴などをつけています。
もともと売り場面積がそれほど広くないのか、ポスターの下に什器を置いて商品を並べたりしているようです。産直市の貼り紙がある什器はコバアニ模型工房のシェルフを組み立てたものです。ビールケースはだいぶ前に量販店で買ったノーブランド品です。キオスクの扉の前の足元に段ボール箱がありますが、こちらはベルギーのマソモデル(MATHO MODEL)の製品を組み立てました。印刷された紙を切り出して様々な箱を組むことができるのですが、いかんせん薄い紙ですので、下にケント紙をのりづけして、それを切り出してから組みました。この荷物、おそらく閉店後に届いたものなのでしょう。
柱時計はスチレンボードを丸く切り出し、1/48のドラム缶の蓋を文字盤にして、その上にマソモデルから発売されているデカールを貼りました。デカールが乾いてからエナメルのクリアーを塗ってガラスっぽさを出しています。
最後に壁面や看板などに軽くウェザリングをかけました。ファレホのクリームや薄緑系の色をごくごく薄く溶き、筆塗りしています。
駆け足ではありましたが、以上が待合室の説明でございます。ジオラマの主人公ですが、写真を見た方から「何か訳アリの人が夜汽車に乗ろうとしているイメージ」というコメントをいただいておりますが、私のイメージとしてはこんな感じです。
「夏のある日、私は友人たちと東北地方のローカル線や私鉄をめぐり、弘前で解散となった。そこからは各自、好きなところに行くのである。私は日本海側を南下して旅を続けていた。今夜は夜行に乗って次の土地へ向かう。8月の終わりともなるとこのあたりはだいぶ涼しく、夜は上着を羽織ることにした。時刻表でしか見たことがなかった小さな町に、列車を待つという理由でありながら数時間滞在するというのは、なんとも不思議な感じである。いまは23時を回っている。そろそろ列車が入線する時刻だ。荷物をまとめて、改札に向かうとしよう。」
この待合室のモデル、他にも場所や時代を超えて作ってみたいものがあります。そのときはまた、皆様にお目にかけるとしましょう。
(本稿については10月2日に一部加筆しています。また、掲載できていない写真がありましたので、追加しております。あらためてご覧いただければ幸いです)
こういう状況下で書きたい、と思った記事で、さらにあの記事に合わせたジオラマを作りたいと思って作ったものであります。いつものようにNゲージやHOゲージサイズの人形では伝えたいものが伝わらないと思い、1/35でジオラマを作ってみようと思いました。ただし、あまりお金は使わず、手元にある素材や材料を使っての工作となりました。
全景はこんな感じです。
キオスクがある小さな待合室の風景を切り取りました。ジオラマの土台は100均で売っているディスプレイケースです。床面は津川洋行のNewデザインプラスチックペーパー・石積80を使用しています。壁面は5mm厚のスチレンボードを使っています。リキテックスのモデリングペーストを塗って表面を壁っぽくしていますが、少しオーバーな表現でした。壁同士の接着ですが、爪楊枝を刺して接着面を補強しています。
主役の人形ですが、中国のmeng modelというメーカーのイスラエル軍戦車クルーというキットから連れてきました。
箱絵のとおり戦闘中ではなくて休憩中の兵士の姿をモデル化しています。以前別のジオラマを製作した時に使わなかったパーツから今回の座る男のフィギュアができました。胸ポケットをエポキシパテで追加し、服も適宜削ったりしながら民間人に化けてもらったわけですが、服と頭の大きさがややアンバランスな感があります。もともとこんな上着(薄手のものでしたが)を私が10代後半の頃よく着ており、そのイメージです。ハイライトやシャドウをことさら強調する人形の仕上げ方は決して好きな方ではないのですが、やはり写真にすると効果があります。足元の荷物はタミヤの連合軍車輛アクセサリーセットに入っていたダッフルバッグを元に、ジッパーや肩かけのストラップを追加しました。ストラップはカーモデル用のシートベルトから作りました。バッグの色ですが「リトルアーモリーカラー」のステンレスシルバーを使ってみました。ちょっと粗い感じのある色です。私が10代から20代にかけて、こういう色のバッグを使っていたのです。
ベンチの上のペットボトルは人形のキットに入っていたものです。ラベルの部分を適当な色で塗っています。
ベンチはコバアニ模型工房のものを使いました。紙製キットですが接着して組みあがるとしっかりとしたものになります。枠の部分はファレホのブロンズグリーンで、座面、背面の木部は同じくマホガニーで塗りました。
奥のポスターは昭和63年夏の青春18きっぷのものです。モデルは和久井映見さんだそうですね。
こちらもプラ板、プラ材を中心に組んでいます。こういったポスターですが、フェルトの布を張った面に画鋲で止めていることが多いので、緑のラシャ紙でフェルトの布っぽさを出しています。画鋲はコトブキヤやWAVEなどから発売されている1mm程度のリベットなどのパーツです。実際の大きさに換算するとオーバースケールになりますが、あえて目立たせています。ポスターの上の「JRからのお知らせ」なのですが、もともとは「国鉄からのお知らせ」とあったところに民営化に合わせて「JR」と紙で上から貼ったという設定です。民営化からしばらくはこういう光景をよく見かけました。モデルでも「国鉄からのお知らせ」という自作デカールを貼った上から紙で「JR」と印刷したものを貼っています。
ポスターの横は自販機です。こちらはカプセルトイの「ザ・ミニチュア自販機コレクション」を使用しました。カプセルに収めるためか丈も低いですし、サンプルのドリンクの数も実際にはもっと多いでしょう。よりリアルさを求めるようでしたらハセガワから休憩中の工事現場の作業員のフィギュアと一緒に自販機がモデル化されていますので、最近の自販機を再現するなら好適と思います。横のごみ箱ですが、macone modelというメーカーのレジンキットです。化粧板のオレンジの部分は朱色1号に塗りました。
なお、自販機についてはそのまま接着するのではなく、底面の四隅に1mm程度の厚さのプラ材で足をつけています。実物でも四隅に台がついていて、ボルトで自販機と固定されていたり、地震で転倒しないような機構がついている場合もあります。
キオスク側の説明にまいりましょう。本来、キオスクはホーム上でも待合室上でも独立した店構えで、前方、左右両面に向かって開き、スペースを稼いでいますが、こちらは壁についているような感じです。もともと立ち食いそばやにするか迷ったのですが、やはり駅の風景と一目で分かるようにするためには誰もが知っている売店の方が、となりました。ロゴなどはネットから落としたものをデカールにして貼っています。シャッターは建築模型のプラ材から、左の業務用の扉はプラ板で作り、枠はプラ材を切り出しています。営業時間は7:00~20:30となっており、閉店時間はこの駅に一番遅い時間に停車する特急の時刻に合わせています。シャッターや扉にはプラ材でドアノブ、鍵穴などをつけています。
もともと売り場面積がそれほど広くないのか、ポスターの下に什器を置いて商品を並べたりしているようです。産直市の貼り紙がある什器はコバアニ模型工房のシェルフを組み立てたものです。ビールケースはだいぶ前に量販店で買ったノーブランド品です。キオスクの扉の前の足元に段ボール箱がありますが、こちらはベルギーのマソモデル(MATHO MODEL)の製品を組み立てました。印刷された紙を切り出して様々な箱を組むことができるのですが、いかんせん薄い紙ですので、下にケント紙をのりづけして、それを切り出してから組みました。この荷物、おそらく閉店後に届いたものなのでしょう。
柱時計はスチレンボードを丸く切り出し、1/48のドラム缶の蓋を文字盤にして、その上にマソモデルから発売されているデカールを貼りました。デカールが乾いてからエナメルのクリアーを塗ってガラスっぽさを出しています。
最後に壁面や看板などに軽くウェザリングをかけました。ファレホのクリームや薄緑系の色をごくごく薄く溶き、筆塗りしています。
駆け足ではありましたが、以上が待合室の説明でございます。ジオラマの主人公ですが、写真を見た方から「何か訳アリの人が夜汽車に乗ろうとしているイメージ」というコメントをいただいておりますが、私のイメージとしてはこんな感じです。
「夏のある日、私は友人たちと東北地方のローカル線や私鉄をめぐり、弘前で解散となった。そこからは各自、好きなところに行くのである。私は日本海側を南下して旅を続けていた。今夜は夜行に乗って次の土地へ向かう。8月の終わりともなるとこのあたりはだいぶ涼しく、夜は上着を羽織ることにした。時刻表でしか見たことがなかった小さな町に、列車を待つという理由でありながら数時間滞在するというのは、なんとも不思議な感じである。いまは23時を回っている。そろそろ列車が入線する時刻だ。荷物をまとめて、改札に向かうとしよう。」
この待合室のモデル、他にも場所や時代を超えて作ってみたいものがあります。そのときはまた、皆様にお目にかけるとしましょう。
(本稿については10月2日に一部加筆しています。また、掲載できていない写真がありましたので、追加しております。あらためてご覧いただければ幸いです)