私のような趣味人というのは多分にコレクター気質もございまして、長く趣味を続けてまいりますと、さまざまなものが手元に集まってまいります。
そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものやおもしろいものをご紹介するのが「モノものがたり」です。
今日は「鉄道の日」ということで、それに因んだものを紹介したいと思います。
こちらでございます。
この画像にピンと来た方は鉄道の歴史に詳しい方かと思います。これは、明治初期に鉄道が開通した際に輸入されたレールをスライスしたものです。通常のレールと何か違いますね。通常のレールならば片側(下側)が広く平らになっていますが、こちらは上下ともに車輪と接する面になっています。
こういったレールを「双頭レール」と呼び、鉄道開業時の日本にイギリスからもたらされたものでした。ダーリントン・アイアンというメーカーのもので、双頭式にすることで片側が摩耗しても上下逆さにして使える、ということでしたが、実際には摩耗の関係で片側しか使えなかったそうです。このため、双頭レールはダーリントン製の一部に限られ、ほどなくして平底型の(我々がよく知っている)形のレールが入ってきました。この中にはダーリントン製のものもあったそうです。失敗だった、ということなのでしょうね。一般的ではない錬鉄製というのも珍しいところです。
役目を終えたこれらのレールはホームの屋根を支えたり柵になったりと第二の人生を歩むわけですが、鉄道とは関連の無い建物の基礎や柱になつたものもありました。有名なところでは三越大阪店を解体した際に建物の基礎としてこのレールが使われていたことが判明したということで、特に第一次大戦時やその直後は鉄材も相当不足したと言いますから、役目を終えたレールは格好の材料となったことでしょう。今でもウクライナ紛争などで半導体が不足している、という話を聞きますが、歴史は違う形で繰り返すのです。
さて、このレールですが、役目を終えた後で国鉄(当時)の静岡鉄道管理局に保管されていたものだそうですが、昭和44年に切断されて倉庫に眠っていたと商品説明にあります。
私も古いレールを見つけにあちこちに出かけておりますが、双頭レールがスライスされて売られていると聞きまして、飛びついたわけです。「毒食らわば皿まで」なんていう言葉を思い出しましたが、鉄道開業時のレールの実物に行きつくとは、どこか必然だったのでは、と我ながら思いました。
今日(10月14日)は鉄道の日、ということで新橋~横浜間に鉄道が開通してちょうど152年目に当たります。入手したのが去年でしたので、鉄道150年に間に合わなかったわけですが「モノものがたり」に相応しいと思いまして採り上げた次第です。
今夜は家人と子供がいないのをいいことに、簡体字の看板と中国語が飛び交い、今や「ここは上海か重慶か」といった風情の高田馬場の街を歩き、知り合いのビアバーに向かいました。いつもならテレビに映している野球中継も今夜はありません。代わりに「みんなの鉄道」を流していました。旅情あふれる風景を肴に一杯いただき、ご主人がその昔、ヨーロッパでクシェット(簡易形の三段寝台)で大変な目にあったという話を聞きながら、旅に思いをはせておりました。