私のような趣味人というのは多分にコレクター気質もございまして、長く趣味を続けてまいりますと、さまざまなものが手元に集まってまいります。
そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものやおもしろいものをご紹介するのが「モノものがたり」です。
今月はスケジュールに入っていた中国GPがキャンセルされたことで、レースが1か月ほど空いた状況になっています。レースの無い時期にちょっとF1に因んだ話となります。
今から20年近く前になりますが、私は勤め先で広報担当のようなことをしていました。月刊1万部弱の無料の広報紙を作っていて、仕事に関係したところにちょくちょく取材に出ておりました。出先でインタビューをしたり、誰かの講演やセミナーをまとめて記事にしたりということをしていたのですが、その時によく使っていたのが、今回の「モノ」であるメモ帳です。
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(2003年オーストリアGP、2004年サンマリノGPのものです。2003年のミナルディにはフェルスタッペンのお父さんが、2004年にはハンガリー出身のバウムガルトナーがいました)
これはイタリアに本拠を置くF1チーム・ミナルディがメディアなどの関係者向けに配っていたものでした。以前恵比寿にあった「Mr.CRAFT」という模型店でF1関連のグッズ、ミニカーなどを扱っていて、海外のグランプリのプログラムやドライバーの集合写真、大きなものでは本物のレーシングスーツやF1マシンのパーツ、変わったところではエンツォ・フェラーリ、ニキ・ラウダらのサインの入った大きな灰皿なんていうものもありました。そんな中にこのメモ帳が売られていました。
安価だし、チームのメディア向けグッズなんて珍しいから買ってみるかというわけで、いくつか購入しました。どのチームでもこういったものを作っていると思われますが、各国で開催されるグランプリごとに製作されていて、コースのレイアウト図や前年のグランプリの結果などが掲載されています。
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ミナルディチームはこのブログでも何度か紹介していますが、もともとはイタリアの小さなF1チームで、日本人スタッフが在籍していたこともありましたし、日本人ドライバーが在籍していたこともありました。現在ではレッドブルの傘下に入り、トロ・ロッソを経てアルファタウリという名前になっており、2021年シーズンから角田裕毅選手が所属しています。
さて、このメモ帳ですが、広報担当になってしばらくして「そう言えばあのメモ帳あったなあ。取材で使ってみるか」という感じで棚から取り出してきました。今ですと会議でも講演でも、パソコンに打ち込んでいる方の姿を見かけますし、私のところでも、会議中はペーパーレスということで、パソコンでメモを取ることが多いのですが、当時は手書きが幅を利かせており、私も手書き派だったこともあり、簡単に書けてポケットにも入るこのメモ帳は便利でした。
他のチームやブリヂストンのようなサプライヤーのメモ帳などもあったのですが、ミナルディのそれはとても使いやすいものでした。おそらく、四角く薄いグレーのマス目が主張し過ぎず、書きやすかったからでしょう。また、表紙がそこそこ厚みがあって、手にしたときに安定感があったからでしょう。
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一字一句間違いなく記載する必要がある場合は、ICレコーダーに録音して、それを再生しながら記事を書きましたが、そうでないときの方が圧倒的に多く、このメモ帳も大活躍しました。
私自身は人見知りなところもありまして、初対面の方に取材というのがいつも緊張の連続でした。そんな中でこのメモ帳を持っていると妙に落ち着いたものです。そしてこのメモ帳で書きつけたあとは、一度取材先の近くの喫茶店などに場所を移し、B5サイズのノートに「清書」していきます。インタビューの様子や相手の表情、空気感などを思い返しながら、メモ帳に書いた内容を起こしていくわけです。
そのあとは職場に戻り、パソコンの前に向かいます。1時間もすれば1,000字の原稿を打ち込むことができました。
私が携わったのはわずか2年でしたが、この仕事はとても貴重な経験でした。何よりいろいろな方と会えましたし、読者の方から「どこに行けば手に入りますか?」といった定期購読のご要望をいただくと嬉しかったものです。インタビューではあまり考えすぎたり、自分の意見をさしはさまず、シンプルに「なぜ?」と聞いてみることが相手の答えをたくさん引き出せることに気づかせてくれたのもこの仕事でした。
その後、取材と言った形でメモ帳を使うこともないのですが、このメモ帳を見ると今もあの頃のことがよみがえってきます。
そしてこちらはGP Car Storyのミナルディ特集号。小さなチームがたくさんの人に愛された理由がわかります。
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そんな私の周りにあるものから、趣味に因んだ珍しいものやおもしろいものをご紹介するのが「モノものがたり」です。
今月はスケジュールに入っていた中国GPがキャンセルされたことで、レースが1か月ほど空いた状況になっています。レースの無い時期にちょっとF1に因んだ話となります。
今から20年近く前になりますが、私は勤め先で広報担当のようなことをしていました。月刊1万部弱の無料の広報紙を作っていて、仕事に関係したところにちょくちょく取材に出ておりました。出先でインタビューをしたり、誰かの講演やセミナーをまとめて記事にしたりということをしていたのですが、その時によく使っていたのが、今回の「モノ」であるメモ帳です。
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(2003年オーストリアGP、2004年サンマリノGPのものです。2003年のミナルディにはフェルスタッペンのお父さんが、2004年にはハンガリー出身のバウムガルトナーがいました)
これはイタリアに本拠を置くF1チーム・ミナルディがメディアなどの関係者向けに配っていたものでした。以前恵比寿にあった「Mr.CRAFT」という模型店でF1関連のグッズ、ミニカーなどを扱っていて、海外のグランプリのプログラムやドライバーの集合写真、大きなものでは本物のレーシングスーツやF1マシンのパーツ、変わったところではエンツォ・フェラーリ、ニキ・ラウダらのサインの入った大きな灰皿なんていうものもありました。そんな中にこのメモ帳が売られていました。
安価だし、チームのメディア向けグッズなんて珍しいから買ってみるかというわけで、いくつか購入しました。どのチームでもこういったものを作っていると思われますが、各国で開催されるグランプリごとに製作されていて、コースのレイアウト図や前年のグランプリの結果などが掲載されています。
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ミナルディチームはこのブログでも何度か紹介していますが、もともとはイタリアの小さなF1チームで、日本人スタッフが在籍していたこともありましたし、日本人ドライバーが在籍していたこともありました。現在ではレッドブルの傘下に入り、トロ・ロッソを経てアルファタウリという名前になっており、2021年シーズンから角田裕毅選手が所属しています。
さて、このメモ帳ですが、広報担当になってしばらくして「そう言えばあのメモ帳あったなあ。取材で使ってみるか」という感じで棚から取り出してきました。今ですと会議でも講演でも、パソコンに打ち込んでいる方の姿を見かけますし、私のところでも、会議中はペーパーレスということで、パソコンでメモを取ることが多いのですが、当時は手書きが幅を利かせており、私も手書き派だったこともあり、簡単に書けてポケットにも入るこのメモ帳は便利でした。
他のチームやブリヂストンのようなサプライヤーのメモ帳などもあったのですが、ミナルディのそれはとても使いやすいものでした。おそらく、四角く薄いグレーのマス目が主張し過ぎず、書きやすかったからでしょう。また、表紙がそこそこ厚みがあって、手にしたときに安定感があったからでしょう。
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一字一句間違いなく記載する必要がある場合は、ICレコーダーに録音して、それを再生しながら記事を書きましたが、そうでないときの方が圧倒的に多く、このメモ帳も大活躍しました。
私自身は人見知りなところもありまして、初対面の方に取材というのがいつも緊張の連続でした。そんな中でこのメモ帳を持っていると妙に落ち着いたものです。そしてこのメモ帳で書きつけたあとは、一度取材先の近くの喫茶店などに場所を移し、B5サイズのノートに「清書」していきます。インタビューの様子や相手の表情、空気感などを思い返しながら、メモ帳に書いた内容を起こしていくわけです。
そのあとは職場に戻り、パソコンの前に向かいます。1時間もすれば1,000字の原稿を打ち込むことができました。
私が携わったのはわずか2年でしたが、この仕事はとても貴重な経験でした。何よりいろいろな方と会えましたし、読者の方から「どこに行けば手に入りますか?」といった定期購読のご要望をいただくと嬉しかったものです。インタビューではあまり考えすぎたり、自分の意見をさしはさまず、シンプルに「なぜ?」と聞いてみることが相手の答えをたくさん引き出せることに気づかせてくれたのもこの仕事でした。
その後、取材と言った形でメモ帳を使うこともないのですが、このメモ帳を見ると今もあの頃のことがよみがえってきます。
そしてこちらはGP Car Storyのミナルディ特集号。小さなチームがたくさんの人に愛された理由がわかります。
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