一刀入魂 勇往邁進

2012年4月デビュー
2015年5月初勝利&再起不能
2019年、人生本番開始(笑)

生き様

2015-12-30 02:38:37 | 日記

職場に、とても生真面目で家庭思いで、そして優しい事務の方がいる。

この人には、一体どれだけ救われた事だろう。
何も分からない状態の僕に、押し付けず、それでいて丁寧に、
誠意と敬意を以て、あらゆる仕事を教えてくれた。

新参者の僕はとにかく朝は誰より早く出勤して、
開院準備と掃除、そして精算などの処理を済ませようとする。

でもその人は、1分僕より遅れただけでいつも謝る。
すいません、遅くなっちゃいました、と。

そんな事ありません、謝らないで下さい、
自分がしたくてしてるだけなのに、と言っても

その人はいつも謝る。
駆け足で出勤するから、肩を揺らして
白い息を吐きながら、いつも謝ってくる。


朝早く起きて小学生のお子さんの弁当を毎日作り、
無事に学校へ送り出し、家事を済ませて。

僕には到底真似出来ない。
それでもいつも笑顔で、患者さんからも愛され、院長の信任も厚い。


僕の仕事は施術だけじゃない。
患者さんの全てに纏わる事務処理も、
事務員さんに任せていたのでは半人前でしかない。
全て一人で回せるようにならねば、独立なんて出来やない。


なのにいつもこの人は「先生はご自分のお仕事だけに専念してください」と笑う。

とんでもない事だ。
でもそれをこの人は、僕が現れるまでの二年もの間、
一人で完璧にこなしていた。


ドラコンの事も心から応援してくれる。

自分が如何に大変でも、
仕事と資格取得とドラコンとトレーニングをこなす先生には敵いません、
必ず日本一になって下さいね、と手を休めずに笑う。


そんな人が昨日、
1月から少しだけ入院するから、先生、暫くご不便掛けます、と言った。

聞けば手術をすると言う。

どこが悪いのか聞くと、甲状腺の癌だと言う。
それも淡々と。


そんなそぶりは少しも見せなかったのに。
辛そうな顔も一切見せず、いつも子供たちの事を心配しては
仕事で帰りが遅くなった時などは家に欠かさず連絡をし、
子供たちに「大丈夫?すぐに帰るから待っててね」と笑ってたのに。


僕は、人の生き様というものが分からなくなった。

自分の痛みは自分にしか分からないものだし、
辛い時はどうしても辛いものだ。

時には愚痴の一つも溢したくなるだろう。
クシャっとなってしまう時もあるだろう。

奇しくも毎日来る患者さんで、自分の境遇をさも不幸そうに
周りの患者さんにまき散らしている人がいる。
それだってある意味で仕方のない事だ、色んな人がいるんだから。

でも、その事務員さんは違った。

決して完璧主義者という訳ではないけれど、
だけど一生懸命、文字通り一生懸命に動き、働き、守っていた。
それをエラそうに語ったりもせず、ただひたすら笑顔とジョークを忘れず、
痩せた身体で目一杯汗をかいて、一生懸命に生きている。


どうかその人には、ゆっくり療養して貰って、いつか必ず全快して欲しいと願う。

帰って来てくれる頃には、僕がその人の仕事を全て回してあげるから、
二人の子供の為にも、そしてご自分の為にも、必ず全快して欲しい。


家族や身内以外の誰かの為に祈るなんてあまりなかった事だけど、
でもこんな素晴らしい人の生き様を見せられて、祈らずにはいられない。

















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