まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

Q.テストでいい点を取るにはどうしたらいいんですか?(その1)

2010-02-25 20:00:31 | 教育のエチカ
看護学校の 「哲学」 や 「倫理学」 の授業の最初に、
哲学・倫理学の先生に聞いてみたいこととして質問を受け付けていますが、
「どうやったら集中力ややる気がつくのか、
 テストでいい点が取れる勉強法を教えてください」
という質問を頂戴してしまいました。
私の意図とはズレていますので、
「哲学・倫理学ファック」 のカテゴリーで扱うべき問題ではありませんが、
学生の皆さんにとっては最も重要な問題でしょうから、
こちらの教育関連のカテゴリーの中でお答えすることにしましょう。

いつものように、まずは問いを問い直さなくてはいけません。
「テストでいい点を取りたい」 というのは学生の誰もが思う切なる願いだと思いますが、
こういう心持ちでする勉強というのが、
一番効率の悪い勉強法だということは知っておいたほうがいいでしょう。
皆さん、定期試験のために一夜漬けの勉強とかしたことがあるだろうと思います。
それは、集中力が高まって一見効率的な勉強法であるかのように思えます。
しかし、そのときに覚えたことって、
テストが終わった瞬間にきれいさっぱり忘れてしまっていませんでしたか?
人間の脳は本当に効率的にできているので、
「直近のテストをしのぐために」 という目的意識をもって学んだことは、
その目的が果たされたとたんに不必要な知識として捨て去られてしまうのです。
(正確に言うと、覚えてはいるけれど思い出せなくなる)
例えば、看護学校の皆さんに引きつけて言うと、
各講義を学び終えたあとにその科目の試験を受ける際、
「この単位を取るためにテスト勉強しなきゃ」 と思って勉強すると、
そのテストが終わるときまでしか覚えていられません。
で、けっきょく看護師の国家試験を受けるときには、
またイチから勉強し直さなきゃいけなくなってしまうのです。
これは短期的には効率よかったのかもしれませんが、
結果的に効率が悪いですね。
では、常に目先のテストではなく、
3年後だか4年後の国家試験を念頭に置いて勉強しておけばよいのか。
それも違います。
皆さんが勉強しているのは国家試験に合格するためでしょうか。
そうではないはずです。
看護師になって現場に出たときに必要な知識だからそれを学んでいるはずなのです。
ですから、国家試験に合格した瞬間に忘れてしまってはいけないのです。
なので、「現場に出たときに最高の看護を提供するために学んでいるんだ」
という心持ちでふだんから勉強しておくと、
定期試験が終わっても、国家試験が終わっても失われることのない、
長期記憶を獲得することができるでしょう。
今回はたまたま看護師国家試験を例にとって説明していますが、
教員採用試験や公務員試験の勉強に関しても同じことです。
けっして試験勉強をしてはいけません。
勉強する目的は常に、合格後実際に現場に出たときに使うため、
というところに置いておかなくてはなりません。

この点は、集中力ややる気の問題とも連動しています。
講師の先生のお話を聞いたり、教科書に書いてあることを覚えるときに、
ただ覚えなきゃいけないからとか、
国家試験に出るからという理由で勉強しようとしても、
なかなかやる気にはならず、集中もできないでしょう。
すべての知識を、現場に出たときにどう活かせばいいんだろう、
どうやったらよりよい看護 (よりよい授業やよりよい行政) に繋がるんだろう、
という主体的な関心と結びつけて学ぼうとするならば、
先生方の退屈な話にも、お経のような教科書の文章にも、
眠くならずに積極的に取り組むことができるし、
集中して身につけることができるでしょう。
勉強しようとすることに対して、興味や関心をもつというのは、
とても大事なことです。
逆に教員の側から言うと、
生徒に対してまず興味や関心をもたせるというのが、何よりも重要です。
それがない人たちに対してどんなに素晴らしいことを話してあげても、
全部右から左へ通り抜けていってしまうでしょう。
ところが、お医者さんや大学の先生たちというのは、
自分が面白いと思っていることは、
誰もが面白いと思ってくれるはずだと勘違いしている人たちが多いので、
興味・関心を抱かせるという努力はしてくれないと思います。
ですので、そこは自助努力で、自ら興味や関心をかきたてておかなくてはなりません。
そのためにも、手っ取り早い興味・関心としては、
現場でどう使ったらいいんだろう、という観点で考えてみることをオススメします。

もう少し具体的な話はまたしたいと思いますが、
さしあたり、以上お答えしておきます。