まさおさまの 何でも倫理学

日々のささいなことから世界平和まで、何でも倫理学的に語ってしまいます。

盛岡のディープな1日

2011-01-24 19:28:41 | 飲んで幸せ・食べて幸せ
一昨日はダンス部の卒業生の結婚式に呼ばれて、盛岡に行ってまいりました。
仙台からさらに盛岡へと北上です。
このところ福島がものすごく寒いので、
岩手はどれほどひどいことになっているんだろうかと恐れつつの旅行でしたが、
年末にどっさり降った雪が道の脇にうずたかく盛られているものの、
当日は雪もなく、とてもあたたかかったので、拍子抜けしてしまいました。

結婚式は盛岡グランドホテルでした。
盛岡では一番格式が高い結婚式場だそうです。
市街地からちょっと離れた小高い丘の上に立派な建物が建っているのですが、
そこのチャペルは 「天空のチャペル」 と呼ばれていて名物なんだそうです。



こんな感じでチャペルの正面が壁ではなく、一面ガラス張りです。
その向こう側に盛岡の街並みと山並みが広がっています。
この絶景を望みながらの結婚式でした。
牧師さんも本物だそうで、近年臨席したなかでは最もちゃんとした講話をうかがえました。
オルガンも生演奏、聖歌隊も3人くらいいるし、
最後2人が退場するときにはチャペル中に本物の羽根が大量に降らされていましたし、
盛岡一という噂はダテではないなと感心させられました。

披露宴も結婚式に負けないぐらい力が入っていました。
受付時にもらった席次表を見てみると、招待客の数がハンパじゃありませんし、
招待されている人の肩書きもハンパありません (これについてはまた別の機会に書きます)。
さて、披露宴の会場に入っていくと、
テーブルに着く前に司会の方から 「小野原先生」 と呼び止められました。
今回は卒業生の結婚式としてはたぶん初めてだと思うのですが、
来賓祝辞も乾杯の音頭も何も事前に依頼されることなく、ものすごーく気楽にやってきたというのに、
開会前に司会の人に声をかけられるなんて何ごとだろうと一瞬緊張が走ります。
しかし、よく見てみると司会者は私の知り合いでした。
一緒にキャリア・カウンセラーの資格を取った、大村陽子さんです。
彼女がフリーのプロの司会者として盛岡で活躍されているということは知っていましたが、
まさかこんなところでお会いすることになるとは思ってもいませんでした。
私が盛岡の結婚式に出席するなんていう機会はほとんどなく、
そこをたまたま大村さんが担当するなんていう偶然もまったく想定していませんでしたから、
私はただただ意表を突かれて、ことばを失ってしまいました。
彼女も前日に席次表を渡されて私の名前を発見し、ビックリしたんだそうです。
しばらくのあいだ2人で立ち話をしていたところ、
参列した卒業生たちから、なんで司会の方と知り合いなんですかとみんなに聞かれてしまいました。



新婦とは初対面だったんですが、のちに3次会の席で聞いたところによると、
新婦は7年間盛岡グランドホテル・グループに勤めていたそうなんですが、
たくさんいる司会者のなかでも大村さんはホテルの従業員に人気があるらしく、
従業員が結婚式を挙げるときはたいてい大村さんを指名するんだそうで、
彼女も迷わず大村さんを指名したのだそうです。
というわけで、読者の皆さんで盛岡で式を挙げる人がいらっしゃいましたら、
ぜひ盛岡グランドホテルで、
そして司会には大村洋子さんを御指名ください。
(大村さんは専属ではないので別の式場でも指名可能ですが、
 新婦の元職場でもありますし、天空チャペルもぜひお試しください。)

披露宴は3時スタートで料理もめちゃくちゃ美味しく、
質 (たち) の悪いダンス部の卒業生たちとベロベロになるほど飲みまくりました。
そのまま2次会へ。
ここでも引き続き飲み続け、さらには3次会へ。
新郎新婦も最後まで付き合ってくれて、もうとっくに12時を回っているというのに、
質 (たち) の悪い先輩たちはさらに新郎新婦を拉致して、カラオケに乗り込んでいきました。
さすがに前日も仙台で遅くまで盛り上がってしまった私は、
この上カラオケに行く元気はなく、みんなと別れてひとりホテルに歩き出しました。
疲れているんだからそのままスッとホテルに戻ればいいのに、
酔っ払ってると判断力を失ってしまうのですねえ。
そして、ふだんあんなに記憶に障害を抱えているというのに、
お酒のことになるとなんで記憶が甦ってきちゃうのでしょうか。
昨年のゴールデンウィークにダンス部の試合で盛岡に来たとき、
前日に寄った今はなき 「Wine Pub Your’s」 のマスターに教えてもらって、
バーテンダー仲間 (後輩かな) のお店 「The Bar 佐藤」 に行ったことを、
急に思い出してしまいました。
この店がなかなか見つけづらくて、電話番号まで教えてもらって、
直接行き方を聞いたにもかかわらず全然たどりつけなかったことも思い出しました。
ケータイの中を探してみたら、もう電話番号は見当たらず、
だからどうせ見つけられないだろうなあと思いつつ、
盛岡の中心的な繁華街である大通 (「おおどおり」 という地名) をブラブラ歩き始めてしまいました。

そうしたら奇跡的にも、auショップが1階に入っているビルの前を通りかかったとき、
あれ、ここなんとなく見覚えがあると閃いてしまったのです。
前回なぜお店を見つけられなかったかというと、
看板らしきものをちゃんと出していないからです。
大通を普通に歩いていると 「The Bar 佐藤」 の表示を見つけることはできません。
そのビルが 「アキヤマビル」 ということもやはり通りからはわかりません。
このビルに入るつもりでちょっと奥まったところにあるエレベーターのところまで行くと、
その脇にこんな、ビルのテナント案内の看板がこじんまりと貼ってあります。



これを見ても 「The Bar 佐藤」 が本当にあるのかはすぐにはわかりません。
よーく眼を凝らしてみてみると下のほうのちっちゃい銀色のプレートがそれだとやっと気づくでしょう。



とまあ、こんなに秘密主義のお店なのに、中に入ってみるとけっこう広いです。
こちらのマスターは女性で、従業員を1人くらい雇って営業しています。
最初のお通しにちっちゃいカップでコンソメスープが出てきたり、
スプーンに一口で食べられるオードブルが乗っていたりするんですが、
これはいかにも女性マスターらしい趣向です (あいかわらずジェンダー・バイアスですが何か?)。
もう限界はとっくに超えているはずですが、
甘くないロングのカクテルを1杯と、スコッチウィスキーのアードベックのロックを1杯いただきました。
前回は満員でしたが、今回は時間が遅かったせいか、客は私だけでした。
おかげでいろいろ話をすることができたのですが、
マスターは前回私が座った席や、アードベックを頼んだことまで覚えていました。

マスターとの話の中で盛岡が誇る3大麺の話になりました。
言わずと知れた、わんこそば、ジャージャー麺、盛岡冷麺の3つです。
キュウリたっぷりのジャージャー麺は論外ですが (キュウリ抜きにもしてくれるんですが…)、
わんこそばと盛岡冷麺は大好きです。
ただし、どちらも飲んだ後のシメとしてはどうだろうと思っていました。
いくら、そばとはいえ夜中に大量に食べるのはいかがなものかと思いますし、
あのもっちりした冷麺も消化が悪そうな感じがしたからです。
ところがマスターによると盛岡冷麺はラーメンなんかよりも遥かに消化がいいのだそうです。
そんな話をうかがっていたら無性に冷麺が食べたくなってしまいました。
お腹というよりも脳が冷麺を求めるのです。
そこで近くでお奨めの店はないか聞いてみました。
すると、一般ウケするような店ではないけれど、
自分も含めてお店をやっているような人たちが営業終了後に通う、
玄人に評判のお店を教えてくださいました。
こちらの冷麺はスープがむちゃくちゃ濃厚で、
スープが上手く取れないと冷麺は出さなかったりするときもあるそうです。
そんなことを聞いたら食べに行かないわけにいかないじゃないですか。
マスターはあらかじめ今日は冷麺をやってるか電話で確認してくれて、
丁寧に地図まで書いてくださった上、ビルの外まで出てきて指差して教えてくれました。

そうやって深夜の2時くらいに訪れたのが、
ホテルロイヤル盛岡の裏手にある 「炭焼厨房 HAKO」 です。
ここも丁寧に教えてもらったから来られたようなものの、
ビルの奥まったところにわかりにくく存在していますし、
普通の観光客ではゼッタイに見つけられなかったでしょう。



もちろん、基本は焼き肉屋さんです。
しかし、冷麺だけでもイヤな顔ひとつせず対応してくださいます。
さすがにもうアルコールも入らないくらいでしたので、
本当に冷麺だけ注文させていただきました。
出てきたのがコレです。



キムチは別盛りになっています。
まずはその濃厚なスープだけで味わってくださいとのことだそうです。
たしかにそれだけで十分美味しいです。
コラーゲンたっぷりでお肌にも相当よさそうな気がします。
ちょっと他では味わえないような冷麺です。
このままいっちゃってもいいくらいですが、
辛いもの好きの私としてはやはりキムチも合体させることにします。
このキムチとキムチの素、見た感じは大人しそうに見えるのですが、
食べてみるとけっこう凶悪です。
辛いものが苦手な人はほんの少しで様子を見ながら食べる必要があるでしょう。
私はけっきょく全部投入して激辛にして食べていきました。
麺もスープもこの辛みと出会うことで、抜群の味わいとなっていきます。
お腹が空いているわけでもないのに、こんな時間に盛岡冷麺を食べられるのかと、
実は注文しながら内心ヒヤヒヤしていたのですが、
その美味しさにペロリと完食してしまいました。
今度、盛岡に来たときにはぜひ焼き肉からちゃんとスタートして、シメに冷麺を食べ、
そのあと 「The Bar 佐藤」 に行くようにしようと心に決めました。

けっきょく盛岡に来て、12時間近く飲み続け食べ続けていたことになるでしょうか。
思いがけぬいろいろな出会いもあり、忘れえぬ旅となりました。
新郎新婦の幸せとダンス部のみんなの益々の活躍を祈りつつ、
パンパンに膨らんだ腹をさすりながら、深い眠りについたのでした。